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「何度も言ってますけど、私にはアリバイがありますよっ!警察にも言ったんですから!」
黒髪で清楚そうに見えるが、気は強そうだ。
一ノ瀬さんは私たちを威嚇するようにそう言った。
「どんなアリバイかお聞きしても?」
「…その日はニューオープンしたレストランに行っていました。
11時からのランチタイムに行っていて、1時間は居たと思います。
埼玉近くのレストランだったので、青山にはその時間行けませんよ。」
彼女は言った。
それが本当ならば、立派なアリバイだ。
「それを証明する物、又は人は居ますか?」
「これです。
1/31にオープンしたレストランの記念品のハンカチです。
11時に開店で、それから30分以内に来たお客さんにしか配ってないんですよ、これ。
日付も2025.1.31で間違い無いはずです。」
一ノ瀬さんはどうだ?と言わんばかりのしたり顔でそう言った。
「なるほど。
分かりました。
レストラン『ロゼ』ですね?
ありがとうございます。」
「いいえ!
もう私に近寄って来ないでくださいね!」
彼女はそう捨て台詞を吐いて去って行った。
「どう思いますか?」
「嫌な感じですね。
犯人ぽいですけどね。」
宇賀神先生の問いに私はそう答えた。
しかし、アリバイがあっては犯人扱いは難しい。
「ロゼに行ってみませんか?」
「はぁ?
でも、確かに2025.1.31オープンと書いてありましたよ?」
「まぁ、いいからいいから。」
そして、私たちは埼玉近くまで車を走らせた。
なるほど、これでは犯行時間に青山に行くのは無理だろう。
到着すると、森の中にそのレストランはあった。
素敵なレストランだった。
私たちは席に着いた。
「あの、少しいいですか?」
宇賀神先生がウェイトレスを呼び止めた。
「はい、ご注文ですか?」
「いえ、それは後ほど…
このお店いつオープンしたんですか?」
「えーと…
1/31ですね…」
「へぇ、記念品が配られたみたいですけど?」
「え、えぇ…
あの、ハンカチですよね…」
ウェイトレスは口籠る。
「どうかしましたか?」
「実は…」
♦︎♦︎♦︎
そして、第2回目の裁判が始まった。
「まず、証人・上田咲さんに尋問します。
裁判長、許可をお願いします。」
先生は言った。
「許可します。
上田咲さんは前に出てください。」
「まずは、自己紹介をお願いします。」
「上田咲です。
ロゼというレストランでウェイトレスをしています。」
「はい、ありがとうございます。
ロゼがオープンしたのは何月何日ですか?」
「1月30日です…」
「おや、おかしいですね。
被疑者の1人一ノ瀬さんが持っていた記念品には、1月31日と書いてありましたが?」
先生は質問する。