テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
12月30日 PM14時 スモーク山
俺は異世界の任務が一旦終わり、一度元の世界へ帰還することにした
悠「それじゃ、一旦俺は戻る」
カノン「お気をつけて!くれぐれも人間にこの世界のことを喋ってはだからね!」
悠「分かってるさ」
悠「繋がれ」
俺の目の前に円形のワームホールが顕現した
探偵事務所のドアの前だ
カノン「ねぇ、繋がれって何だか安直すぎない?」
悠「そうか?シンプルで好きだけどな」
カノン「もうちょっと技名っぽくしてみたらどうかな」
カノン「リンク…とか??」
悠「リンク?」
カノン「繋げるってそっちの世界で英訳したらリンクでしょ?」
悠「確かに…いいかもな」
そういうと俺は門の先へと歩いた
悠「久しぶりの現世だな…」
ガチャリ…
目の前の事務所のドアを開いた
飛鳥「おかえり、一体どこで何をしていたんだい?」
悠「あ、所長」
珍しく、所長がデスクで作業をしている
飛鳥「まぁいい、ところで釜野くんがここへ訪ねてきてね、何か君に用があったみたいだよ」
悠「え、マジですか」
俺はポケットの中からスマホを取り出した
20件の不在着信…さすがに異世界に居すぎたかもしれない、怪しまれてないかな…
主に姫川と釜野だ、あとは…
悠「ん?」
見知らぬ番号だな
見覚えのない番号から5件かかっていた
新たな発見として、どうやら異世界では携帯が通じないらしい
釜野「やっとおでましか、この重役出勤野郎」
悠「い、いや、悪かった。ちょっと急な仕事でな」
釜野「ほう、そうかそうかってなると思ったか?」
ガバッ!
釜野は俺の胸ぐらを掴みかかった
釜野「一体お前は何を企んでる。最近あまりに不自然だ」
悠「なんもしてねぇよ」
釜野「まさかとは思うが、誘拐事件を調べてんのか?あれは今や捜査対象ではないんだ、ちゃんと上層部の許可はとったか?」
悠「お前に関係ねぇだろうが」
ガチャリ
姫川「失礼しまーっす!!」
コーヒーカップを二個持った姫川が部屋に入った
姫川「あ、ありゃ、取り込み中でしたか?」
釜野「外してくれ、姫川」
ガチャリ
???「おいおい、何やってるかと思えば、君が噂の探偵か」
高身長の髭面のクールビズ姿男がやってきた
悠「誰だ?」
山田「俺は山田っちゅう刑事だ」
釜野「や、山田さん…」
山田「釜野、お前が規則に忠実なのは良いことだ、だが、誘拐事件をほったらかしにしてる狂った上層部の規則に従う、一体どれが本当の正義かはお前も考えなければならん」
山田は釜野の肩をポンポンと叩いた
釜野「…」
山田「ちょっと探偵借りてくぞ、話がしたい」
山田「ついてこい、探偵」
俺たちは捜査室を出て、廊下を歩いた
俺は山田刑事の横顔をちらっと見た、狼のようなとても鋭い目つきをしていた
まるでティードやクライスの目つきのようだった
カチャ
山田は誰もいない喫煙室のドアを開けた
山田「お前、吸うのか?」
悠「あ、あぁ、吸いますよ」
がさがさと胸ポケットをまさぐり、ボロボロのタバコ箱を取り出した
ジュッ!ジュッ!
山田はタバコを咥えて、つきの悪いライターをカチカチと押した
悠「使いますか?」
俺は自分のライターを山田に差し出した
山田「お、悪いな」
すぅーっと山田はタバコを吸い、ゆっくり吐き出した
山田「お前、誘拐事件を追ってるんだろ?実は俺もだ」
悠「え?」
俺は驚いた、こっちが今まで捜査してきたことが全て筒抜けになっているような気分だった
山田「警視庁上層部は何か重大なことを隠している」
悠「やはりそう思いますか、俺もです」
山田「はっきり言う、警視庁上層部は誘拐犯グループのメンバーだと考えてる」
悠「ま、まさかそんな」
いや、ちょっと待てよ、ティードたちはもう既に世界を渡る術を持ってる
レガースっていうむかつくクルーの力でな
もし、魔法の力で警視庁の人間に化けているのだとしたら…
こっちの捜査状況や動向は全て奴らの思うつぼってことだよな…
山田「そこでだ、君には警視庁本部へお使いを頼みたいんだ、この報告書を窓口に差し出せ。この封筒の中には小型の録音機が取り付けられてる」
そう言って山田は俺に封筒を差し出した
悠「この封筒の中に録音機があるとして、これをどうするんです?」
山田「警視庁の窓口に、岡本という気だるそうな女の刑事がいる。そいつは俺と一緒に極秘で誘拐事件を追う仲間だ、その岡本を探して渡すんだ。俺からも岡本に連絡入れとく、この録音機を局長室のコンセントに取り付ける、なんとかして証拠を集めるんだ」
警視庁 局長室
???「ふん、この頃の気温変化はどうなってやがるんだ、ぬるいったらありゃしないぜ」
局長のデスクに足を上げて座る図太いおじさんがいた
???「仕方がないでしょう、地球温暖化の影響です。我々にはどうしようもない」
ビュン!
室内の中心部にワームホールが出現し、レガースが歩いてきた
レガース「船長からの命令だ、おそらくそろそろ探偵が訪ねてくる。奴をどさくさに紛れて何とか殺せ、との命令だ。じゃあな、頑張れよ」
レガースはワームホールと共に消え去った
局長?「ふふふはあははあは!!!」
奇妙な笑い声をあげ、局長と思われる人物の肉体が変化していく
本部長?「ついに奴が来るのか…わくわくするな」
局長、本部長と思われた人物はみるみるうちに海賊の姿へと変貌した
なんと警視庁は、もう既にティードの息がかかっていたのだ