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12月30日 PM17時 警視庁 1階受付窓口
ざわざわとした雰囲気で哀愁感漂う警視庁の受付窓口
俺は一階に降り、岡本という女性刑事を探し始めた
ずらりと並ぶ様々な窓口ブースを歩いていると、俺耳元で囁く声が聞こえた
岡本「…屋上で待ってる」
ハスキーな声でそう言い残しおれの真横を小柄な丸眼鏡の女性が歩き去っていった
あいつが岡本か…?
俺は窓口を出て、彼女とは違うエレベーターで屋上へと昇った
警視庁 屋上
岡本「ようやく来たようね、探偵君」
岡本はプシュッと缶コーヒーを開け、そういった
悠「あんたが岡本さんか?山田刑事から伝言は預かったはずだ、ここに長居するのはまずい、さっさとブツを渡すぞ」
岡本はバシっと封筒を奪い、中身を確認した
岡本「確かに、受け取ったわ」
岡本「あなたは誘拐事件を単独で捜査しているの?」
悠「そうだが?」
岡本「そっか、じゃあさ、私と山田刑事の部署に来る気はない?」
岡本「あなたの経歴をざっと調べさせてもらったの、かなり乱暴だけど、山田さんはあなたを買っているわ、あの人、最初からあなたと協力したかったみたいよ?」
俺は一瞬動揺したが、すぐに冷静になれた。彼らのところに行くことはできない
もし異世界のことにまた触れてしまうと呪いが発動して石になってしまう
悠「…悪いけど、遠慮しとくよ」
岡本「そう?残念」
そう言って岡本はグイッと缶を飲み干し、去っていった
PM18時 飛鳥探偵事務所
悠「はぁ…ただいま帰りました…」
事務所のドアを開けた途端、ドッと疲れが出てきた
飛鳥「お疲れ様、残念だけどね、浪野くん」
え、なんだよ、まさかこれ以上大変なお知らせはいらんぞ?
飛鳥「ここ最近ずっと探偵事務所の仕事を放り出しているね、警察にもマークされてるとか、君は今まで何をしていた?どこまで誘拐事件に関与している?もしかして…君は既に誘拐された子供たちを一度見ているのではないかな?」
ぐっ…やはりばれてる…異世界に居すぎた…
どうする…どうすんだ
悠「…」
あぁ、だめだ!黙るな!なんか言えよ!
長く続いた戦いや浮かび上がる新たな事実の連続でもう俺の脳は回っていない
おれは下を向いて口を噤んだ
飛鳥「さて、もう興ざめだ、あーあ、君には本当にがっかりだ、人間はやはりそんな程度だったんだね」
飛鳥は椅子から立ち上がり、コツコツと俺の前まで歩いてきた
悠「は?」
飛鳥「変身魔法 解除」
スーッと飛鳥の容姿は黒装束の姿へと変化した
あの凛々しい顔つきは変わらず耳は尖った耳へと変化していく
変身魔法が解け、飛鳥だった人物はこちらを見ている
カチャ!と即座にポケットから取り出し拳銃を向けた
悠「あんた…一体誰だ!?」
ロイス「私はロイス、魔王討伐メンバーの一人よ」
ロイス「ずっと、期待して見てきたわ、あなたの活躍を」
悠「本物の所長はどこだ!言え!」
ロイス「本物?ああ、そういうことね」
理解したロイスは微笑んだ
悠「ま、まさか」
ロイス「20年前、魔王を倒して不老の魔法書を見つけたあと、私は”世界を繋ぐことの出来る少年”のせいでこの世界に迷い込んでしまったの」
ロイス「その後は、人目につかないように山で暮らしていたわ。その間は人間世界の学習をしていたの。そして8年前、東京に来て、飛鳥とかいう探偵を殺して魔法で成り代わったのさ」
悠「じゃあ、最初から…あんたは…本物の所長じゃなかったのか…?」
ぷるぷると銃口が震える
悠「なぜだ、なぜ今それを打ち明けた?」
ロイス「あなたがもう無理そうだったからよ、私はそもそもこの誘拐事件には微塵も興味はないの、海賊、警察、魔族今の時点であなたには既に王手が指されている、次不審な動きがあったらすぐに警察が動くでしょうね」
ロイス「そこで、私が手助けをしてやろうと思ってね」
ロイスは大きな鋼鉄の杖を取り出し、俺に向けた
悠「な、なにする気だよ!」
ロイス「動かないで」
ヒュン!とロイスは大きく杖を上げた
その途端に、身体が一気に軽くなった
悠「あ、あれ、身体が凄く楽に…なにしたんだ」
ロイス「君にかかっている呪法ベベルを取り払った、ヴェンデッタの魔法はかなり強度でね、他の魔法使いでは除去できないが、私ならできる」
俺に付きまとってきた呪いが解けた瞬間であった