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手を洗う時、いつも思い出す。
あいつの鮮血が、純白の洗面台を染める。
爪の隙間、手の皺、皮膚の繊維に染み込み、いくら洗っても拭えないような心地悪さ。
そして、その血を流しきった時、もうあいつの生きた跡は、人生の軌跡は、命の灯火は、
無くなったんだと感動した事。
私の人生がやっと、何かの一歩目を踏み出せたのだと感じた、あの日を。
同時に、あいつの息や血、声が今でも、私の喉元にしがみついていることも。
復讐。
それは、確かに私がした事。
私があいつを呪い、果たした事。
そして、終えた後、同時に私にも降りかかったもの。
これは復讐を終え、見出した希望と、降りかかった呪いを背負う、私の話。