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月城 蓮桜音
36
耀聖(ようせい)
244
耀聖(ようせい)
549
205
「じゃあ、ちょっと待ってね」
そう言って、アリスが空に向かって指笛を鳴らした。
ピィーーー!!
しばらくして、パタパタと何かが飛来してアリスのそばにきた。
まって、これは……。
チューン
かわいいぃぃ!
この丸いフォルム! くりっとしたおめめ! もふもふの胸の薄茶色い羽毛!
どこからどうみてもスズメだー!
「アリスちゃん、この子は?」
「ボクが拾った、実は1番大きい子。ソーイにもヒミツなんだけどね」
ん? 大きい? どうみても小さいんだけど。
「この子はマリョククイ。魔力を食べると大きくなるんだ」
こんな風にと、アリスが嘴に指を当てると、ボフンという音とともに、先程の姿からは想像できない大きな鳥が現れた。もふもふの羽毛は健在だけど!
「外の国に行く時によく手伝ってもらってるんだー」
「外の国?」
「うん、ライトコールの第2王子は世を忍ぶ仮の姿! 本当のボクは国から国を渡るさすらいの旅人アリストなんだ!!」
ドーンと、昨日のミュカのように言うアリス。
「あの、王子様を仮の姿にしちゃダメなんじゃ」
つい冷静に突っ込んでしまう。
あははと、笑うアリスが答える。
「まあ、王子の仕事はほとんど兄上がしてるから問題ないよ。ボクはあくまで予備だからね」
「そうだ、仕事! 大丈夫なの?」
「うん、ボクの分は優秀なお友達にお願いしてきたから。言ったでしょ? ボクは自由がきくって」
ハックシュン
気のせいか、ソーイのくしゃみが聞こえた気がした。
(すいません、ソーイさん! よろしくお願いします!!)
私は心の中で、叫んだ。
「リサちゃん、その鞄。こっちにもってきて!」
大きくなったスズメのもふもふのところでアリスが手招きする。
つつかれないか怖いけど、そーっと近づく。
「ぴーちゅんはいい子だから、怖がらなくていいよー?」
「ピチュピチュ!」
あれ、この鳴き声。まさか……?
「アリスちゃん、この子普段はどこにいるの?」
「ん、お城のまわりで飛んでるよ?」
やっぱり、朝の小鳥さん!!
名前はぴーちゅんって、そのままな名前だなぁ。
私は面白くなってさっきまでの恐怖がなくなり、笑いながらぴーちゅんのところへとたどり着いた。
「鞄をどうするの?」
アリスに渡すと、彼は無造作にズボッともふもふの中へ突っ込んだ。
「よし!」
「まってまって!? 大丈夫なの!?」
「んー? 大丈夫、この中、他にも色々はいってるよー」
ほら、といって彼はぴーちゅんのもふから別の鞄をだした。
いえ、そういう意味じゃなくてですね……。
あのもふの中は……いったいどうなっているんだろう。
さすがに顔を突っ込む勇気なんてないので、これ以上は詮索しようがないのだけれど。
「じゃあ、よろしくね!」
そう言って、もふから大きな首飾りを取り出しぴーちゅんに掛ける。掛けおわると、首飾りの環にロープを引っかけていた。
「準備できたよ。上に乗るから」
横にきたアリスがはい、と手をだしたので、その上に手をのせるとぐいっと引っ張られて、またお姫様抱っこされた。そして、トンッと、一跳びで大きなぴーちゅんの背へと降りる。
「ここからは、リサちゃんの出番だよ。準備できたら教えて」
「うん」
私は、ライトに命令する。
ぴーちゅんごと覆う結界をはって!
「ライト!」
パキーンという音と同時に、キーヒを助けたものと同じ結界が現れる。
「これで通り抜けられるはず」
「オッケー! 行くよー!!」
アリスがぽんぽんと軽くたたくと、ぴーちゅんが飛び上がった。
結界も一緒に動くようにイメージする。
「しゅっぱーつ!!」
カナちゃんがはった結界にむかっていく。
どうか、成功しますように!!
私達は、ぶつかる衝撃もなくスッと結界の外の大空へと飛び出した。
「よかった! 成功したー!!」
「お疲れ様」
いつものように、頭をなでなでされる。照れるけど、やっぱりこの瞬間はとても心地いい。
「行くよー! 火の精霊の国、フレアストーン!」
アリスと私は、気持ちのいい風を感じながら東へと飛んでいく。
ぴーちゅんの尻尾に、小さな2つの光を連れて。
コメント
1件
**寺島あおいです🌷** わあ、ぴーちゅん可愛いすぎます…! 朝の小鳥さんだったんだね、しかも「マリョククイ」って魔力を食べて大きくなる設定がユニークで、もふもふの羽毛に隠された秘密の収納も気になる(笑)。アリスが「本当は旅人アリスト」ってカミングアウトしたシーン、王子の立場をさらっと置いてきてるところが彼らしい自由さで好きです。結界を張って無事に飛び立った瞬間、胸がスッとしました。火の国へ向かう2人と、小さな光を連れたぴーちゅんの背中、とても素敵なラストシーンでした✨