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もどかしさと2人の話し方の解像度の高さとお話しのテーマ全てが好きです
『やっぱり触れたい』のsm視点です
『夢?』のつづき
R18表現ありません
sm視点
あんなことがあってから、俺はずっときんときの動向を注視していた。しかし彼はいたって普通で、何事も無かったかのように話しかけてくるし、本当に俺の勘違いだったのか?とまで思い始めている。
あの日から数週間後、ワイテハウスにてメンバーで集まっているとき、またもや俺は寝てしまった。
記憶があるのは、誰かの「行ってきまーす」が聞こえてから。まだ意識が曖昧だったので、目を瞑って少しずつ体を起こそうと思っていたとき、そこに誰かがいると気づいた。うっすら目を開けると、その誰かがきんときであると分かる。俺は、この前のことが本当だったのか、また今回も起こるのか、確かめるチャンスだ!と思った。少し恥ずかしいがこれは検証だ…と意を決し、寝返りを打ち、きんとき側に体を寄せた。
「…んん。」
この前のことが本当だったとしても、さすがに警戒してもう一度はやってこないだろう、また、普通に俺の勘違いかも、と考えていると、頭になにか触れた気がした。
風かなんかか…?いや、違う、これは手だ。
サラサラ。
さらに頭を撫でられたことで、俺ははっきりと疑惑は確信を得る。
俺の頭を撫でている腕をスっと強く掴む。
逃げられないように。
「…はっっ!なに?!」
俺の目にはきんときの焦る顔がうつる。
「お前、やっぱり触ってんじゃねーか!」
きんときは未だ返事をしない。焦って言葉が出ない様子が、容易に理解できる。
「…いや。これは違くて。」
「なにがだよ!じゃあこの手はなんだ?別に触ってるなら触ってるでいいんだよ。ただ、俺は何が理由で触ってるのか知り..」
ガチャッ
「「ただいまーーー」」
メンバーの声に吃驚し、腕を掴む手が弱まる。きんときは、すぐに俺の手をはらって、スマホを触り始めた。
「おかえり。早くボドゲ始めよう。」
「いいねーー!あれ?スマイル起きたんだ?」
「…今な。」
「そうか、じゃあ始めるか!!」
どんどん時間が過ぎていく。酒を入れているにもかかわらず、頭の中はなぜ?どうして?などの疑問がぐるぐる回っている。きんときは…すごく普通そうだ。なんでこいつはこんなポーカーフェイスなんだよ…。
自分とは違い落ち着いているきんときを見て、無性にイライラする。
そろそろお開きという雰囲気になってきた頃、俺はきんときに声をかける。
「きんとき、ちょっと話あるんだけど。この後どっか…。」
きんときは一瞬嫌そうな表情をした気がした。
「ごめん用事あるから、もう帰るね。」
彼が荷物を持ち、帰ろうとドアに向かったので、俺は急いで奴の腕を掴む。
「いや!なら帰り道だけでもいいよ。絶対今日話したい。」
「……わかった…。帰り道だけね。」
「ありがとう!ちょっと待っててすぐ準備する。」
俺は急いで帰る準備を始める。
今日中に話をつけないと、奴はなにか言い訳を見つけて、本当のことを話さなくなるだろう。
「すまん待たせた、帰ろう。」
「うん…。」
なにから切り出せばいいか少し迷い、考える。きんときからもなにも言葉が発せられない。俺から…話さなきゃ…。
「…今日の話なんだけど、どういう意図を持ってああいうことをしてきたの?しかも隠して。こっちも寝たふりとか試すようなことして悪かったけどさ。」
「…なにもいえない、俺からは。ごめん。」
「だからごめんとかじゃなくてさぁ!なんでか聞いてんのに、意味が分からん。」
「お前には理解できないことなんだよ、だからごめん。」
「何が…理解できないだ?!言いもしないくせに。1回言ってみて、俺が理解できなかったらそれでいいじゃん。とりあえず言ってくれよ…。」
俺は声を大きくしてきんときの目を見て訴えた。
「……。」
辺りがシーンと静まり返る。
今日は無理か、と諦めの体制を取る。
「…はぁ、分かった。もういいよ。ただ、こういうことは今後一切やめてね。」
「…それは、できないかもしれない。」
「はぁ?!一体なんなんだよお前!」
「ごめん!!俺スマイルのこと…その、恋愛的な目で見てるのかも。あんときも、衝動的にやってしまった。1回ちゃんと離れるように、離れるようにするから、ああいうことは今後しないように頑張る。本当にすまなかった。」
きんときは深く頭を下げた。
嘘だろ…一体どういうことだ?頭が停止し、何も考えられなくなる。恋愛的…?は?ほんとかよ…。わけわかんねぇ…。
「おま…え…まじかよ…。その……。」
「すまない、突然こんなこと…。じゃあ解散ってことで。」
「…えっ、と。えっ…。」
呆然と立っていると、きんときはすぐに見えないところまで行ってしまった。
今まであいつと何年も一緒にいて、恋愛的に…だとかそんな態度は1度も取られてこなかった。なんなら、メンバーの中ではなかむだとかもっと仲良い奴だっているのに、なぜ俺のことを…?突然の発覚に頭が混乱する。
しかし日にちはすぐに経ってしまうもので、ハッキリ自分の意思が統一する前に、また再び会う日が来てしまった…。