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「三散花〈サザンカ〉!」
「ほえ?」
わたし、ここに来てから「ほえ」が口癖になってるね。
さっちゃん曰く、わたしがビックリして思考停止すると出る口癖らしい。
今日はそれだけビックリすることが多いってことだ。わたしの短い人生でも、一日でこんなにビックリしたことはないと思う。
今、目の前で起きたこともビックリ案件だ。
ユリ姉さんが技名? を叫んだと思ったら、並んでる6体のかかしが斜めに両断されていた。
突っ込みどころが多すぎて反応に困る。「2刀流」の「木刀」で「鎧を着たかかし」を「6体同時に両断」。
……うん、意味が分からない。
さっちゃんとの戦闘ではよくわからなかったけど、こうしてみるとユリ姉さんの強さが異常なレベルだっていうのがよく分かる。
……さっちゃん、この人に勝つつもりなの? わたしが次は勝とうって言ったのが悪いんだけど、怪我しない? 大丈夫?
「じゃあ、サっちゃん。やってみようか」
「……はい」
え、さっちゃん、今の出来るの? 人をやめちゃ駄目だよ。
かかしが光を帯びて元に戻っていってる。かかしが元に戻ったのを見て、さっちゃんがユリ姉さんと同じ構えをとった。
……大丈夫かな、無理してないよね?
「三散花〈サザンカ〉!」
ガガガッて音が聞こえて3体のかかしの鎧がへこんだ。
……いや、十分凄いよ。わたしには逆立ちしても真似できない。ユリ姉さんみたいに6体を木刀で両断するのがおかしいんだよ。
「おおー、出来てるよサっちゃん、流石だねー」
「でも、片手3連撃しか出来ませんでした……」
「元が初級武技で、1本の剣での3連撃だからね。2刀流6連撃は中級武技相当だから今はまだ無理かなー。完全に能力不足だね」
「そうですか……。でも初めて武技を使えました、ありがとうございます」
……武技って凄い。魔術の武器版って感じなのかな。来年になったら習うはずなので今から楽しみだよ。
わたしは魔戦士だからね! 魔術も武技も使うんだ!
……でも、さっちゃんが今日初めて使えたって言うくらいだから、相当難易度が高いのかな? どうなんだろう……。
「ユリ姉さん、今の技ってわたしにも使えますか?」
「アリアちゃんにはまだ無理かなー、戦闘初心者だし。サっちゃんはオバースペックだったから直ぐに使えたけど、本当は何年も訓練が必要なんだよ」
「そうですか……」
「うん、と言う訳で、アリアちゃんの先生の登場です!」
え、ユリ姉さんが教えてくれるんじゃないの?
ユリ姉さんの手を追って部屋の入口を見ると、黒目黒髪に長いポニーテールの美人さんがいた。ユリ姉さんより少し年上かな? 顔が似てるから姉妹……とか?
……見慣れない格好……ファッション誌で見た気がするけど……あ、着物とハカマだ。確か、サムライスタイル、だったはず。
白い着物に赤いハカマ。花ビラの模様がハカマに入っていてオシャレだ。
高そうなロングソードを2本も腰にさしてる。
……あ、よく見るとロングソードじゃない………あれって、カタナだ。サムライスタイルの人が好む剣って書いてあった。ユリ姉さんが腰に下げてる剣も、よく見たらカタナだ。
……あ、こっちに来た。
「紹介します! 私のお姉ちゃんです!」
「略しすぎだ、ユリカ」
睨み顔が怖すぎ! しかも凄い威圧のオーラ! 思わず姿勢を正してビクッとしてしまうほどだ。ユリ姉さんには効いてないみたいだけど……。
「ユリカの姉のシズカだ。よろしく、アウレーリア、ザナーシャ」
「はいぃぃ! よろしくおおねがいしますぅぅ!」
「ザナーシャです。よろしくお願いします」
さっちゃんはやっぱり凄いね、普通に挨拶してる。
……わたしは緊張度MAXだよ! この人やばいよ!
「お姉ちゃん、威圧したら可愛そうだよー。アリアちゃんは素直でいい子なのに」
「ユリカが普段からだらしないせいで身に付いた特殊スキルだ。己の意思での切り替えはまだ出来ん」
「修行不足だねー。自分がまだまだ成長出来るって知れて嬉しいでしょ」
「減らず口を叩くな」
ヒュ!
「グェ!」
「ほえ?」
ユリ姉さんがお腹押さえてうずくまったけど? なに、攻撃?
「さて、ブリギッテさんから聞いてはいたが……成程……」
……わたしの体、つま先から頭のてっぺんまで観察されたよ! 怖すぎ! なにされるの、わたし!
「アウレーリアには武技はまだ無理だ。身体能力が低すぎる、もっと鍛えろ」
「はいぃぃ!」
「だが、魔術は別だ。魔術は魔力と想像力だけで扱える」
「……」
「まだ4年生らしいが、学校で常識的に指導されるより、私に教わった方がいいと言うブリギッテさんに同意する。アウレーリア、どうする? 私に教わるか?」
#ファンタジー
「……」
「返事は!!」
「はいぃぃぃ!!お願いしますぅぅぅ!!」
怖すぎて現実逃避していたら無理やり戻された。
……ホントに怖い! さっちゃん、助けて!
「アリアちゃん、頑張って。一緒に強くなろうって言ってくれたよね」
……ユリ姉さん! 助けて! ……返事がない、うずくまってただの置物と化してる。
「では始めよう。魔術についてどの程度の知識がある?」
「何にもありません!!」
「いい返事だ。魔術とは想像、イメージだ。まずは「焔〈ホムラ〉」。これをやってみろ」
「ほえ?」
……なに言ってるのこの人。やってみろって、それを?
手の平を上に向けて、人の顔くらいの火の塊を出してる。それをやれって?
……え、いきなりそんな大きな火の塊? 初心者って、マッチくらいから始めるんじゃないの?
「やれ、出来る。これをしっかりイメージしろ」
……うん、もう無理。言う通りにしよう。失敗しても何も起きないだろうし。
「んー……、焔〈ホムラ〉」
ボウ……
「ほえ?」
「よし、次だ。それを野球ボールをイメージしながら……あの鎧に投げつけろ」
「はいぃぃ!!」
もう、どうにでもなれーーー!!
ゴォォーーーー……
わたしがヤケクソ気味で投げつけた火は、鎧に当たって燃え続けてる。
呆然としてみてると鎧が崩れ落ちた。……こわっ!
「私が編み出した初級魔術「焔」だ。一般的な初級魔術のファイアボールは瞬間的な威力はあるが継続ダメージは低くてあの鎧は壊せないな。「焔」は瞬間的な威力はないが継続ダメージが多く、総合的なダメージが大きい。お勧めだぞ」
「ほえー……凄いですね……」
「では次だ」
次!? もう色々といっぱいっぱいだよ!!
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