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ここは何処にでもある黄泉の国の小さな雑貨店”魚屋(ととや)”
この店の裏側に置かれた茶室に二人の男が居た。
一人はこの店の主人である千利休、黒尽くめの和服で身を包み、
近年付き合いを始めた取引先から仕入れた紅茶なる新しいお茶を”売銭(マイセン)”なる茶器にて淹れる事しばし、
「ふむ、これは香りがいい……」
その様を見たもう一人の”邪味(ジャージ)”なる洋装に身を包んだ男が、
「おみゃあがそういう物ならまぁ、良いんじゃろう」
「で、利休よ。それはそれとして、お前から見たあの男はどう評する」
「そうですな…… 為人(ひととなり)は小人のそれでしょう。
求める欲と成し遂げる事の大きさが全くもって不釣り合い故、実に分かり辛いのでしょうが、その本質は善。
我らが生きた時代では市井の民の一人に過ぎなかったでしょう」
「で、あるか。だが、只の小人では神の御心を掴む事等出来ようはずも無し」
「しかり。なれば、なればこそ。彼は時代に現れる風雲児なのでしょう。かつての貴方様の様に」
「ふ。おみゃあがそこまで言うとはの」
「信長様も何某かを感じられたからこそ、彼の元に私を赴かせたのでは?」
「まぁ、こんな所に来て千学万来なんぞ掲げる様な歌舞伎者何ぞ終ぞ見かけんかったからな。
偶に来る現世の連中もパッとしない奴らだったしのう」
「で、今日は茶飲み話をしに来た訳ではない。利休。お主、次の出兵について何か聞き及んでおらぬか?」
「おやおや、信長様は戦にあまり乗り気ではなかったのでは?」
「ふん、やり残した天下統一の続きに西国の連中とやり合ったのは確かだがそれ以上はやる気が無かったからのう」
「じゃが、あ奴があの世にまで現世の欲望を持ち込んだからのぅ?利休よ、このペリカとやら、本当におみゃあの入れ知恵ではないのか?」
異星蛸なる雅号が打たれた1ペリカ札をひらひらさせながら信長が問うと、
「ええ、あれは彼が死者の戦意を引き出すために考え抜いた策ですよ。人を動かすもっとも強い動機は欲。
彼は小人であるが故にそれをよく理解しています。」
「うむ。黄泉中でどこもかしこも大わらわじゃ。サルも竹千代もかく言う儂もおかげで募兵に苦労しておるわい」
今も魚屋の前で前回の戦功で手に入れたド派手な現世物品(ゲーミングPC)をこれ見よがしに掲げた伊達の徴兵官が大声で募兵をしているのが聞こえてくる。
「所で利休、ものは相談じゃが、”パソコン”なる絡繰りをツケで一台都合してくれんか?前回の報酬で購入した分を帰蝶のヤツに奪われたんじゃ。NOBUNYAGAの野望の続きがやりたくてのう……」
「恐れながら当店ではツケ払いが効くのはそれまでの利用ペリカが100万ペリカ以上のお買い上げ実績のある御方のみでございます。
信長様の今後のご活躍を御祈り申し上げるばかりでございます」
「ううむ、厳しいのう……
はっ、もしや前回の戦勝記念せえるとやらの目的は…!?」
「私共がご用意した商品には値段相応の価値があると自負させて頂いておりますが、お使いいただけなければ魅力も伝わらぬという物。現世では広告宣伝費と言う物らしいですな」
「で、あるか。 まっこと小憎らしい者共よ」
「小人故の小賢しさと一笑頂ければ……」
「あ、次の戦については何も言いませんでしたが、近々黄泉の国に通信設備という物を導入しようと話は聞きましたな」
「通信設備とはなんじゃ!!どんな効果で何時発動する!?」
「さて、まずは設置運用できるか現世の大店に話を持ちかけるとの事でしたので詳しい事は何とも。ただ、これの運用が出来ればパソコンの価値が跳ね上がるとは仰っておりましたな。おっと、これは口が滑りましたな……」
「パソコンに関連するのか、パソコンが関連するのか……
利休。草の者の手配はしておく故、次にあの男が来たらすぐに知らせい!?」
いつか感想で聞かれた兵力少なくない?の作者の答えが前話の衣食住(アレ)で
それに対する対策が以前から今話までの貨幣経済導入による労働意欲の喚起。(コレ)
今企業勤めしている人で死んでからも働きたい奴、オリュ?
安らかな眠りをって昔から望まれているんだよなぁ……
尚、市場は拡大予定の模様。