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●第3話
気づかなかった?」
「ああ、完璧に騙された。ノーショウも! そして無断使用も!」
気持ち悪い女だと痛感した。架空の予約で面子を集め、旧知のスマホを弄る。
「パスコードも性格も5年間同じなのね」
「俺はそういう男だ。変化はうんざりだ」
極造は腕を組んでそっぽを向く。
「その性分が貴方を守ったの」
「同僚二人が料理されたが」
「命に別状はないわ。息のかかった病院が護ってる」
「お前、どんだけヤバい橋を渡ってんだよ?」
「いま瀬戸大橋を渡ってる」
二人を乗せた四国新幹線は夕日を追いかけて高知駅に着いた。
美子の過去、劇団のスキャンダル、極造のフォロワーとその裏切り、謎のUSBメモリとその内容、美子が四国に案内した先にあるもの。点と点が不気味に錯綜していく。(続く)
第二章
技術の多様性はドックを見学するもない。美子はコースを外れた。ドアノブを回すと高知造船界の闇が開く。
「わざわざ御大層な逃避行をどうも」
ナッパ服の男は機械油まみれのタオルで手を拭く。
「しまらない黒幕だ」と極造は零した。
「随分ですな!」
節くれた指が鍵盤を這い、蜂の様な環境音が消えた。赤い点がグーグルマップの外へ逃げていく。
「ドローン?」
美子はベランダに出た。
「|手土産《ガセネタ》を持たせてお引取り頂いたよ」
男は別のモニタを数字で満たした。
「余計なことを!」
美子が青筋を立てた。
「これからの俳優は二階席も視なくちゃな」
男は飄々と返した。
「お前ら誰と戦ってんだよ?」
見かねた極造が間に入る。
「「|юг《ユーク》」」
ユーク音楽出版抜きで演劇界は潰れると言われる。その女帝ことメイ南が紅夕青月の千秋楽に逝去。病死とされたがユークの圧政を恨む者は多い。メイの課した枕営業ノルマが箝口令とマスコミ対策を突き破り海外に流出した。
「で、そのUSB含めてアンタの仕業? 冗談じゃない。俺と店は関係ない」
「極造さんのお仲間はどうなる」
帰ろうとする彼に男が冷水を浴びせた。
「知るかよ。一本百億のブツは返した。まだ何か?」
極像は背中で返事する。
「その値段、おかしいと思わんか?」
「殺すぞ! 俺は店を開けなくちゃ」
そこで美子は吐息した。
「鈍い学者ね。お店も貴方も買われたのよ」
「何を言い出すんだ?」
「暴露ネタに百億も払うバカがいると思う?」
「いるだろう。ユークは2兆円企業だぞ」
極造は憤慨した。問題は金の動きだ。「俺は関係ない」
故買商の名前は鴉谷(からすだに)竜也といい、表向きは路地裏で古物を売買する商人として知られています。しかし、彼は裏社会で情報の収集と取引を行っている謎のフィクサーでもあります。竜也は元々はサイバーセキュリティのエキスパートで、そのスキルを使って秘密裏に情報ネットワークを築いていました。
竜也はある日、極造と美子に偶然出会い、彼らがUSBを持っていたことに興味を持ちました。USBの中には極めて重要な情報が含まれており、竜也はそれを狙っていました。彼は情報ブローカーとしての顔を隠し、故買商として接触しました。
極造は地下鉄の工事現場へと足を運んだ。彼は昔の仲間たちと再会することを期待していたが、現場には新しい顔ぶれしかいなかった。しかし、その中に美子の姿を見つける。彼女は南極での映画撮影以来、彼を探し続けていたのだ。
「極造さん、やっと見つけました。」
彼女の瞳は涙で濡れていた。極造は驚きと喜びで彼女を抱きしめた。二人は互いの過去と現在、そして未来について語り合った。
「私はあの時、南極での出来事を忘れられなかった。あなたと再会することをずっと願っていました。」
「私も同じです、美子さん。私たちの運命はもう一度交差することになると思っていました。」
二人はその夜、料亭で再び食事を共にし、昔の思い出を語り合った。極造は美子に、料亭での仕事を辞め、再び南極へと戻ることを提案した。美子は驚きながらも、彼の提案を受け入れることにした。
二人は数ヶ月後、南極へと旅立った。そこで彼らは新しい冒険を始め、永遠の愛を育んでいった。