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失った人なのか、失った人に似ているだけなのか...難しいですよね こや って100年以上生きてるけど大事な人は一生大切にしてそう
「メリークリスマス!パーティしよう!」
「‥‥来るの早いな」
「だって小柳さん居なかったら嫌だから」
「お前来るの分かってるのに何処にも行かないだろ」
「本当優しいよね、小柳さんって」
「ここで待たれて風邪引かれたら俺が困るからな。それだけだ」
ライは家に入ると手に持っていたケーキの箱を開き、中からホールのケーキを出した
クリスマスにケーキだなんていつぶりだろう
「これ、チーズケーキなんですけど良かったかな?」
「ん?俺は好きだけど」
「あんまり甘いのはって思って。星導さんも大丈夫かなぁ」
「星導はなんでも良いだろ。いつ来るかもわからんからな」
「え?星導さん来ないの?」
「いや、アイツは好き勝手にこの家に来るやつだからな。今日は来ないんじゃないか?こんなに雪が降ってちゃ」
「ホワイトクリスマスですよ!綺麗ですね」
「何が良いんだか。歩き辛いだけだろ」
「ムードが大事でしょ?クリスマスなんだし」
「必要ないだろ、そんな物」
他愛のない話をしながら時間を過ごす
昔もくだらない話ししながら一緒に過ごした事を思い出す
お前はどんな大人になるんだろうか
頭が良いからきっと目標の教鞭を執るんだろうな
「小柳さん、俺‥‥帰る前に渡したい物があって」
「え‥‥何?」
「クリスマスプレゼント」
「‥‥‥‥」
「俺があげたくて買った来たんですから貰ってもらえますか?」
ポケットから小さな箱を出す
赤い包み紙に緑のリボン
「開けて下さい」
「‥‥‥‥‥‥」
包み紙を開ける
中には皮の袋に入った何かがある
俺はその袋の口を開け、手のひらに出した
「‥‥ネックレス?」
「気分悪くしたらごめんなさい。俺、小柳さんが服の中にネックレスしてるの見て‥‥大分年季の入ってる物だなって。良かったらこれもたまには着けて下さい」
俺が着けているネックレス
そこには昔、俺とライがペアで買った指輪が2つ付けられていた
「‥‥ありがとう。使わせてもらうよ」
そしてライが小さな声で呟く
「ねぇ小柳さん‥‥その指輪1つ俺にくれませんか?」
「ん?なに?‥‥よく聞こえな‥‥」
「まだ無理ですよね」
「だから何言って‥‥」
「俺、小柳さんの事が好きです」
「‥‥気持ちはありがたいが俺は」
「言わないでください」
そう言うと突然肩を掴まれキスをされた
「お、おい!何す‥‥」
「俺、その指輪とロウの事迎えに来るから。もう少しだけ待ってて。ロウだって待たせたんだから俺の事」
「え‥‥‥‥」
言うだけ言うとサッと立ち上がり玄関へ歩いていく
俺は言われた事を理解出来ず、ライがいなくなった空間を見つめる
「今‥‥なんて‥‥?」
俺は慌ててライを追った
ライは玄関を出て門を出ようとしている
「ライっ!」
「じゃあ正月はお雑煮作って下さいね!あとお年玉も!」
無邪気に笑って俺に手を振る
いつものライだ
「ライ‥‥‥‥」
あれは俺の幻聴か?
『ライ』に会いたくて頭がおかしくなったのだろうか
でも何故だろう
体の中心が温かい
これは俺たちにとって、必然の奇跡なのかもしれない
END.