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記者会見があった翌日、私はジョンさん達異星人対策室が用意してくれたホテルのスイートルームで目を覚ました。ベッドふかふかで気持ち良かったぁ。
昨日は大変だったよ。カレンさんに治癒魔法を使ってダウンした私は、取り敢えずプラネット号に戻って休んでたんだけど、疲れが予想以上に溜まってて、見事に遅刻してしまった。いや、フェルが気を利かせて起こしてくれなかったら朝まで寝てた自信がある。
アリアは私の体調を最優先にして、起こさない方針だったみたい。
『ティナの身を守るのが私の存在意義です』
有り難いけど、出来れば起こしてほしかった。慌てて地球へ降りたら案の定大騒ぎだったから、オペラハウスの天井へ転移してそのまま格好付けて登場して誤魔化した。良い意味で反響が凄くて、遅刻を誤魔化すことに成功。
後は簡単な紹介と質疑応答で終わった。事前に入念なチェックがあったみたいで、変な質問は飛んで来なかったな。
身体を起こした私は、そのままカーペットに素足を下ろしてベッドの縁に腰かけた。ちなみに寝間着として用意されたのはネグリジェみたいなもので、背中を大きく開いて翼が出せるようになった特別仕様。メリルさんが手配して仕立ててくれたらしい。着心地は抜群なんだけど、とんでもないお値段なんだろうなぁ……。
昨夜の記者会見のあと、ハリソンさんは今日国連の緊急会合を開いて各国首脳が参加する場を整えてくれると言ってた。ただ、やっぱりスケジュールの問題で1ヶ月は必要だとも言われた。私としても自己紹介は終わったし、ファーストコンタクトは達成されたと判断してる。
先ずはその報告をしたいし、地球の品物を持ち帰って反応を見てみたいとも思ったから、今日中に太陽系を後にしてアードへ帰還することにした。
その事をハリソンさんに伝えたら、お土産を用意してるからお昼に異星人対策室のビルへ来て欲しいと言われた。有難い。
地球に来るまでは娯楽品を考えていたけど、何だか食べ物の方が受けるような気がする。もちろん娯楽品も受けるだろうけど、先ずは食べ物だ。
アードでは基本的に栄養スティックが必要な数無料で配給されるから飢えは存在しない。天然物の食べ物は海産物以外は娯楽的な側面が強い。とんでもなく高いしね。
確かに栄養スティックがあれば飢えないけど、味はお察し。いやはっきり言って不味い。無味無臭なんだもん。せめてフレーバーくらいはと思うけど、無料なんだから文句も言えない。
庶民は新鮮な野菜やお肉なんて滅多に食べられない。贅沢してエナジーカートリッジを買って調理ロボットに任せるくらいかな。バカみたいに高いからそれも基本的には無理。だから庶民は海産物か栄養スティックで日々を過ごしてる。
そこへ地球産ではあるけど新鮮な野菜やお肉をお手頃価格で売ったらどうなるか。
この辺りはやってみないと分からないけど、上手くいけば住み分けは出来る気がする。富裕層は誇り高い人が多くて、アード産の食べ物に拘るだろうし。そもそも庶民はアード産の新鮮な野菜やお肉を口に出来ないから。
そんなことをぼんやり考えながら素足をプラプラ……あー……。
「アリア、今の私を撮影して」
『分かりました』
悪戯心が起きちゃったから、何となく今の私を撮影して、データを……そうだね、日本のスレに……あった、私の話題で大騒ぎしてるスレッドに放り込んでみた。
『!!???』
『なんだこれ!?なんだこれ!?』
『ちょっと寝癖がある銀髪、眠そうな目、ピンクのネグリジェで……素足をプラプラさせてる天使!?』
『萌死させる気か!?』
『……はっ!?ここは……ヘヴンか』
『目を覚ませ、現実だ』
『これ、ティナちゃんだよな?誰かの加工か?』
『いや、加工にしてはリアリティが……誰が撮影したんだ?』
『はぁはぁ!おみ足ペロペロしたい!』
『踏まれたい!踏まれて蔑んだ目で見られたい!』
『通報待った無し』
『腹を切れ』
『末期だわ』
何だか大騒ぎになった。日本の紳士の皆さんは今日も元気だ。何だか嬉しくなるね。
『日本の皆さん初めまして、ティナです。私の話題で盛り上がってるみたいだから、ちょっとお邪魔しました』
『ファッ!?!?』
『本人!?マジで!?』
『成り済ましか!?もし本人ならダブルピースの写真をうpするんだ!』
ダブルピース?こうかな。
「アリア」
『お任せを』
放り込んでみた。
『はいどうぞ』
『本人キターーー!!』
『何てこった!?』
『紳士の集いに天使爆誕!!』
『待て待て待て!ティナちゃん!こんな場所を見ちゃダメだろ!w』
『紳士の集いw』
『ダメなんですか?』
『あー、基本ふざけてるからあんまり気持ちが良いものじゃないよ……?』
『憤死した』
『そういうのは止めろ!少なくとも今はw』
『皆さん楽しそうですね。日本は楽しい場所なのかな?』
『観光には良い場所だよ。色々立場があるだろうけど、ティナちゃんが来てくれるなら俺たちは大歓迎さ』
『ああ、日本の文化に触れてみて欲しい。日本は良いところだよ』
『じゃあ、次に来るときは日本へ行ってみようかな?』
『大歓迎さ。うん?次?』
あー、まあ良いや。自由にして良いって言われてるし。
『私は今日アードへ戻るつもりなんです。地球の皆さんのことを伝えないといけないし』
『そうなのか、随分と慌ただしいなぁ』
『もう少しゆっくりしていけば良いけど、そうもいかないかぁ』
『次に来る時は日本でゆっくりしていきなよ』
『はい、機会があれば是非お邪魔させてくださいね』
『もちろんさ。少なくとも俺達は君を歓迎してる。アードとの末永い友好を願っているよ』
『帰りも気を付けてね』
ティナの爆誕により、この日の日本のネット民達は普段より大人しかった。
しれっとネットを徘徊してティナ爆誕を目撃したジャッキー=ニシムラ(タチよりもネコ派)はこう語る。
「寝起きのティナちゃんに踏まれたい人生だった」