ミーン
ミーン
ミーン
ミーン
蝉は真っ昼間から合唱を為ていた
暑ぃ
うるせぇ
黙れ
そう思いながら重い瞼を半ば強引に開けた
手を頭の上に伸ばし、スマホを手に取って時間を確認した
12:06
「十二時六分か…」
中学3年最初で最後の夏休みの日曜日
俺は、のっそりと布団から起き上がった
中学初っ端から一人暮らしをしろと親にど突かれた
怠い、怠すぎる
そんな感情を手で振り払いながら電話をした
相手は近所で中学知り合った女友達の佐川愛香
美しく儚い容姿で、美脚で足も速い、オマケに高身長&好成績でデカイ(何がとは言わないが)と言う全人類の憧れの塊のような彼女は、少し莫迦である
簡単に言えば、考えるより躰が動く
脳味噌躰についてんのかって位に
『はいはーい!』
出た
阿呆みたいに可愛い声を出しながら
「やあ、愛香」
『珍しいね、そっちからなんて』
「そうかな」
『うん、で、どうしたの?』
声を聞きたくて電話した、なんて口が裂けようが言えない
「課題って終わった?」
自分でも良い言い訳が出来たと感心した
『まあまあって感じ?』
彼女の言うまあまあはほぼ終わっていると、決まっている
「そっか、俺はもう片付いた」
課題を終わらせて愛香とかの友だちのための時間を作ろうと没頭為ていたら、一日で終わってしまったのだ
『え早っ!?』
お互い様ではなかろうか、と言おうと思ったが辞めた
「まあ、頑張ってな、んじゃ」
『またね』
そう言って電話は途切れたと同時に
ピンポーン
チャイムが鳴った
俺はドアノブに手を掛け、ドアを開けた
男友達の中では一番(多分)親しい久崎新二だった
彼は何時もキラキラ光る瞳をより一層キラキラ為ながら云った
「愛香の家行こ!」
偶然が過ぎる
愛香が仕込んだ?と思ったが、彼女はそんなことはしないし、ほぼ家に引きこもっている
「何でさ」
「なんか行きたくなった!」
流石クラスの中では1番ポジティブで頭の中お花畑の久崎だ
理由が理由為てない
唯、やはり声だけじゃ物足りなく成って、逢いたくなっていた俺には、そんなの気にしなかった
手に潰れた蚊が居ても気にしないように
「良いよ、行こう」
「よっしゃー!」
相変わらず莫迦デカイ声を出して喜ぶ
俺は適当にゲーム機とジュースをリュックサックに詰め込んだ