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直哉が自分の服をスン・・・と嗅いだ
「あのさ・・・・俺・・・朝からずっと外にいたんだけど・・・匂うかな?」
匂う?それどころかこの人からはとても、素敵な香りがしていた、ハーブの自然の匂いと男性が髭剃り後につけるような、アフターシェーブローションと太陽の香り
男性の香りがこんなに素晴らしいなんて、新しい発見だ
父も姉二人の旦那もこんな匂いはしない、この人と違って二人の姉の夫は、赤抜けなくて無口だ、でも清潔には越したことはない
「そうだわ・・・ねぇ!お風呂に入らない?貴方の為に用意してあるの」
ウキウキと紗理奈は直哉の両手を引っ張って、自慢のバスルームに案内した
「うわ~っ!広いな!」
フフフ
「でしょう?ここから海も見えるのよ、お湯は24時間可動式で湧いてるから、ごゆっくりどうぞ!」
そう言って紗理奈はクスクス笑って、リビングに行ってしまった
なんだか泣いて気分がスッキリしたのか、今はお客さんが家に来て嬉しそうに、はしゃいでいる少女の様だ
直哉はドアを開け、広い風呂場を眺めた
24時間可動式の浴槽には、良い匂いのするバスジェルが入った、湯が循環して湧いていた、とても気持ちよさそうだ
そして新品の男性用のシャンプーとコンディショナー、まだ袋に入ったままのブラックのナイロンタオル、ボディーソープにおいては、クールタイプとノーマルタイプまで置いてある
次に壁一面鏡張りの洗面所に目をやった
大理石の天板に埋め込まれた透明の、洗面ボウルの横には、そこにも新品の男性用のカミソリ、櫛や髭剃り後のアフターシェービングローション、使い捨ての歯ブラシ、マウスウォッシュ、綺麗に折りたたまれたフェイスタオル、高級ブランドのアメニティの数々・・・
男一人が身だしなみを整えるのに、十分すぎるほどのアイテムが揃えられていた
さらに脱衣籠には新品の袋に入ったままの、トムフォードのボクサーパンツ、ヘインズのTシャツとユニクロのルームズボン、いづれもMとLサイズワンセットずつ・・・・
そしてその上に花柄の小さなメモ用紙に一言
―ご自由にお使いください―
直哉はそのメモを手に取って思った
彼女は見ず知らずの一夜限りの男娼に、これほどのもてなしをするのか・・・・
直哉はここに一歩入った所から、順番に思い出して一つ一つ検証した
玄関に飾ってあった見事な造花のアレンジ、そこにはくつろいで欲しいという真心が見られた
上手い料理に上手い酒が次々に出て来た、そして風呂に入ったばかりの良い匂いをさせた、彼女の美味しそうな体・・・きっと朝から用意して待っていたに違いない
直哉は彼女をこれほどまでに傷つけ、自己卑下の奈落に突き落とした、顔も知らない男に腹が立って仕方がなかった
本来なら彼女は崇められて当然の女性だ、社会的地位もあれば、ずば抜けた美貌もある
なのにあんなに自尊心を傷つけられて、ここに逃げ帰ってきている、いったい何があったのだろう、いつか全部聞き出してやる
直哉は彼女の恥じらいとぎこちなさ、そして少女のようにおびえた様子がたまらなく、愛おしくてこの数時間ですっかり興味を惹かれた
彼女の書籍は北斗が持っていたので、シリーズ全巻制覇していた、直哉は彼女の知性を高く買っているし尊敬もしていた
なのに実物の彼女はかわいい砂糖菓子のようだ
本当に今まで小説を書くことしか、してこなかったんだろうな・・・
スラックスのポケットからスマホを出して、画面をタップする
三回コールで電話の相手が出た
ガチャ・・・『もしもし・・・・』
「マダム!俺だ!直哉だよ!」
『あら~!ナオちゃん!BOY!お電話ありがとう、お久しぶりね!』
「突然だが今夜水谷紗理奈が注文した、男はまだそこにいるかい?」
直哉が単刀直入にマダムに聞いた
『紗理奈って?水谷先生のこと?ええ・・・いるわよ、今から先生のお宅にサプライズ企画と一緒に向かう所―』
「悪いけど全部キャンセルしてくれ、キャンセル料は俺が払うから」
『・・・・まぁ・・・どういうことか説明してくれる?baby?』
驚きながらも、マダムの声は面白がっているように思えた
「詳しい事はまた後日説明するよ、今はとにかくこれだけは言えるな」
直哉はある決意の元、鏡越しに自分を見つめて言った
「紗理奈の処女は俺がもらう!」
『ちょっと・・・ナオちゃん?BOY?―』
スマホをタップして直哉は電話を切った
次に直哉はポイポイ服を脱ぎ捨て、浴槽にザブンと飛び込んだ、炭酸の泡がはじけてとても気持ちいい、直哉は思わず浴槽に両腕をひっかけ上を向いて唸った
そして堅い決意の元、紗理奈の用意した男性用のボディーシャンプー、を使って体を隅々まで綺麗に洗った
直哉が選んだのは「クール」の方だった
洗いたての髪を拭きながら、直哉が浴槽から出るとリビングも廊下も灯りは消され、廊下には点々とキャンドルが灯されていた
キャンドルの淡い光だけが唯一の光で、どこか窓が開いているのだろう、聞こえるのは遠くの海の波の調べだけ・・・
「こっちよ・・・ナオ・・・」
彼女の声と、キャンドルの導きに従って、一晩奥のドアが開いている部屋に行った
そこは広々とした寝室で、窓から海が見え、天井まであるレースのカーテンが海風に揺れていた
目の前ベッドに座った紗理奈が、純白の官能的なレース素材のナイトドレスに、身を包んでこっちをみて微笑んでいる
レースの胸元にはサテンのリボンが二本渡して、あるだけだから、それをほどくとたやすく布が両脇に別れて、彼女のすばらしい胸があらわになるだろう
まるでプリンセスだ
ベッド―ボードにはシャンパンクーラ―に、冷えたボトルが突っ込こまれてある
上半身裸で紗理奈の用意した着替えを着用した直哉は、しばらくその光景を腕を組んでドア枠にもたれ、目に焼き付けていた
窓から海風が入ってきて心地良い、彼女の後ろで揺れる、レースのカーテンすら官能的に見える
「やぁ・・・着替えたんだね・・・そのナイトドレスとっても素敵だよ・・・」
紗理奈が頬を染め、恥ずかしそうにはにかむ
「し・・・白でよかった?黒もあるのよ?お好みがわからなかったから」
「まるで新婚初夜みたいじゃないか」
直哉が近づいてきて、ベッドに座っている紗理奈の前に膝間づいた、そっとドレスをめくり上げ紗理奈の膝小僧に、キスをする
「しー・・・ダメだよ・・・笑っちゃ・・・今から俺達の初夜なんだから」
クスクス・・・「だって・・・・あなたが大袈裟だから 」
紗理奈は両手を口にもっていって、クスクス笑っている
「キスしたことは?紗理奈?」
「まぁ・・・馬鹿にしてるわね、いくら私でもキスぐらいは経験あるわ」
彼女がきれいな肩眉をくいっと上げる、涙は渇き、顔には笑顔がこぼれている、とても可愛い
「馬鹿になんかしてないよ、じゃぁ・・キスして・・・・ 」
紗理奈はきょとんとした、こ・の・手・の職業の人はたしか、キスをしないと聞いたことがある
「・・・いいの? 」
「いいに決まってる 」
好奇心に負けて紗理奈は彼の両頬を挟んで、チュッと唇にキスをした
「上手だよ」
クスクス「チュッてしただけなのに?キャぁ!」
突然直哉が紗理奈を姫抱きし持ち上げた
「ナ・・・ナオ!私重いのに!降ろして 」
「小鳥のように軽いよプリンセス」
そっと優しく仰向けにベッドに寝かされる、上半身裸の彼が覆いかぶさって来て、彼の濡れた髪がカーテンのように、紗理奈の顔にかかる
「君のおもてなしは大したものだな・・・」
「し・・・仕事とはいえ・・なるべく楽しんで欲しかったの、だって私は30歳の処女―」
「シー・・・ 」
紗理奈の唇に彼の人差し指が押し当てられ、続きを遮られた、間近で彼の瞳を覗き込むと自分が映っていた
「自分を卑下する言葉は使っちゃいけないよまったく・・・いったいどこに隠れていたんだ?こんな素敵な人には会ったことない」
リップサービスだとしてもとても嬉しいわ・・・
じわりとまた涙が滲んで来た、この時点でこの人を送り込んでくれた、マダムに感謝せざるを得なかった
紗理奈は大胆にも彼の顔をつかんで引き寄せた、彼はすぐさまそれに応じて、紗理奈の唇に軽く唇を触れた
その温かさが電撃のように紗理奈を貫き、押し寄せる喜びで心臓が破裂しそうだった
彼はもう少し重みをかけてきて、唇で紗理奈の唇をからかい、さらに強く押し付けて紗理奈の口を開かせた
彼の舌が紗理奈の口の中をさぐる、なんて温かくて濡れていて柔らかい、そして歯磨き粉のミントの味がした
さっき自分が仕掛けたキスと全然違う、キスってこんなに気持ちがいいんだ・・・
枕に頭を押し付けていなければ、その不思議な感覚に驚いて後ろにのけぞる所だった
お腹の奥で、そして自分でもよくわからない体のあちこちで、喜びがメラメラと燃え上る
彼がもう一度自分の舌で、紗理奈の舌を絡め取られた時、思わず喉の奥から上がって来る色っぽい、声を抑えることが出来なかった
体から次第に力が抜けていく、そっと彼の豊かな髪に両手を差し込んでみた、湿っていてその髪質はまるで毛足の長い動物みたい
自分はライオンと戯れてるみたいだ