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夢見た世界まで_
「いい加減にしてよ!」
毎朝聴こえる怒声。弟のヴィッシュに怒っているのだろう。
「どうして出来ないの?!ヴィッシュなら出来るでしょう!」
毎日毎日。私もそうだった。
〜回想〜
「ふざけんじゃないわよ!あなたのせいで!ヴィーナスが!」
「お前が浮気したんだろうが!出てけよ!」
「ヴィーナスとヴィッシュが可哀想でしょう!追い出すなんてやめてよ!!」
〜回想終了〜
4年前。私は母親の期待に耐え兼ねていた。辛い辛い思いをしていた。その時お母さんも辛かったんだと思う。浮気して、気を紛らわせていた。それがお父さんにバレて、追い出されることになった。お母さんは私とヴィッシュの為と言って追い出されるのを防いだ。私はその時気づかなかったんだ。お母さんが…私たちの為じゃなく、自分の為に家に残ったんだと。
「ヴィッシュ!早く問題を解きなさい!後256問残っているでしょうが!」
「母さん、、疲れたよ」
「お母さん、ヴィッシュ疲れたって、休ませてあげなよ」
「はあ?!出来損ないが!!ヴィッシュまで何も出来ない子になるでしょう!私の育て方に口出すんじゃないわよ!!早く出てきなさいよ!!」
毎日毎日。
「早く!昨日もちゃんと500問解けていたでしょう??毎日続けるのが大事なの!1日15時間は勉強してもらわないと困るわよ!!」
「…うん」
「いい加減にするのはお母さんだよ!ヴィッシュが可哀想じゃない!勉強を強制的にさせるなんて酷いよ!まだ6歳でしょ??」
「はあ…!分かってないわねぇ!!ヴィッシュは望んで勉強をしているの!そうよねえ?」
「…う、うん」
「ねえヴィッシュ、自分の心に素直になってよ!」
「…辛くないよ、、、僕はやりたくて勉強しているんだ」
「…!そ、そう。じゃあもう知らない!!!」
当てもないのに。飛び出してしまった。もうよる七時なのに。
「あ、」
友達におすすめされたカフェを思い出し、その住所まで歩き出す。名前は確か…
「カフェアビアント…?」
素敵な雰囲気のお店だ。ゆっくり中に入るとお顔そっくりの店員さんがいた。姉弟かな。
「いらっしゃい。好きなところに座って」
「は、はい!」
慌てながら意味もなくカウンター席に腰掛けた。
「…コーヒーください、」
なにか頼まないとと思って咄嗟にコーヒーを頼んだ。甘党でコーヒーなんて1度も飲んだことないから飲めるはずないのに。
「失礼だけど、本当にコーヒーでいいの?」
女の店員さんが聞いてくる。私は慌てて
「あ、やっぱり……ココアで」
そう言い直した。弟さんの方が忙しく店内をまわり、お姉さんの方が中で色々してる。
「できたわ。どうぞ」
お姉さんにココアを渡される。ココアを眺めて、一息ついた。すると…
「あなた、名前は?」
お姉さんが話しかけてきた。
「え、っと。ヴィーナスです」
「ヴィーナス、なにか悩んでいるでしょう。気兼ねなく話しなさい。今はお客さんもいないし。聞いてあげられるわよ」
そう言われた。私は素直に話してみることにした。
「実は家族と喧嘩しちゃって…。お母さんなんですけど弟に勉強を強要してて、1日15時間勉強させてるんです。」
「…ふーん。それで?」
「それに怒ったら『出来損ないは出てけ』って…」
「それは酷いわね。」
「どしたのショコラ」
急に弟さんが話しかけてきた。
「ああ。ビター。今お客さんの相談受けてたの」
「是非聞かせて」
〜説明省く〜
「それ酷いね。」
「私今日泊まるところなくて…いいホテルとかありませんかね、」
「…うちに泊まる?」
「え、?いいんですか??」
「私はいいけど。ビターはどう?」
「無論OK。」
「!ありがとうございます!!閉店までお手伝いさせてください!」
「頼んだわね」