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我 的 我 @俺の夏を返せ
102
#国擬人化
きゃべつ
156
263,124
樂々
313
⚠️純度100%妄想産物。
実在するすべての人物・団体と一切関係ございません。
流れをもとにしているだけであり、現実の歴史とは異なる箇所がたくさんあります。つまりガバガバ歴史。気になったら自分で調べてみてください。
以上のこと含みます。了解して頂けた方のみ先に進んでください。
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「スカー! 見てよ、すっごい大きな大根採れたんだよ! 煮物作るからズゥとか姉ちゃんとか呼んで食べようよ!」
バンッとドアを勢いよく開けた少年を見て、その部屋に居た横須賀は驚いた。しばらくマグロ漁に行くから居ない、とか言っていた子供はどこに行ったか。あぁ、最近あった県の呼び出しで強制送還されたのか、と考えれば納得ではあった。
「そうしよか。僕も休憩にするよ」
隣に逗子もいるから呼んでくれるかい、と言えば元気のいい声が聞こえてきた。あれならきっと大丈夫だろう。スマホを取り出して葉山に連絡をする。なんだかんだ、彼女も三浦に会うのは久々ではないだろうか。返事はすぐに帰ってきて、今すぐ行くとのことだった。
隣から逗子を追い出し――コホン、連れ出した三浦は勢いそのままにキッチンへと走っていた。逗子はというと、腰に手を当てて小さく溜息をついていた。
「君ねぇ……休憩は必要でしょうが」
「いえ、解っていますよ。ただ、少々昔のことを思い出していただけです」
昔のこと? そう僕が聞くと、彼は目を伏せて頷いた。
「……変わりましたね、ってことですよ」
「おい、これで6町村目だぞ」
「流石に鎮守様は取り込みすぎではないか?」
「もとは軍の個ですから、心がないのでは……」
人間たちの話し声が聞こえる。横須賀がどうとか、そういう話。戦時の今、話題の主役となるのは俺らのような小さく辺鄙な町村などではなく、国が束ねる鎮守の精霊たち。何処へ行っても、俺らの近くに存在する鎮守・横須賀の話題で持ち切りだ。お国がどうとか、も、時々耳にするが人間は基本気にしない。彼らはいつも通り生活している。
そんな中、国から決められた俺ら小さな町村の処刑案。いや、処刑というのは少々語弊があるかもしれないが、それは周辺6町村を横須賀市に編入するというものだった。
初めて会った横須賀はとても冷たかったことを覚えている。ただ、残酷ではなかった。直ぐに精霊を殺そうとはしなかった。彼自身は、自ら手をかけることを嫌っているようにも感じた。しかし、1週間たったころから1人、また1人と消えていった。自然消滅みたいなものだ。そして一月後には、俺だけになった。
「君は消えないんだ」
あの時の目はどうだったか。何も写ってなかったと思う。きっと罪悪感と重圧で押し殺されそうになっていたんだろう。あの時の俺もそう思ったから、俺は横須賀に対して何も言えなかったんだろう、今になって思うことだが。横須賀的には、友人を殺したなとか、人間を犠牲にしてとか、恨み言をひとつでも言ってほしかったんだと思う。責められて、楽になりたかったんだと思う。
彼は残酷じゃなくて冷酷、本当にこの言葉が良く会ってると思う。
消えないんだ、という言葉を貰って以降、俺は度々横須賀から仕事を振られるようになった。何度横須賀に足を運んだか分からない。少なくとも、あの時から「何か」は変わりだしていた、と思う。
終戦の報告を聞いた。結局、醜い争いが終わってもあの人の心は変わらなかった。罪悪感と重圧、後悔、寧ろ悪化しているようにも感じた。だから余計に離れられなくなった。最初は憎んでいたし、いつか独立してやろうとか考えていた。けど、今離れたら、ふらっと海の泡となって消えてしまいそうだったから、離れられなかった。
消えてほしいわけじゃない。守りたいわけでもない。ただ、彼の心がどこか休まれば良いって。気が付けば、5年を超えた付き合いになっていた。
そんなある日だった。横須賀が態々俺の方までやってくる珍事件があった。驚いたものだ、あの自分のところにしか興味のないと思っていた彼が逗子まで足を運んだんだから。あぁ、当時は彼のところだったから今思えば違和感ないか。そんなことはどうでもいいや。
そして、ある書類を渡された。簡単に言えば「分立」の話だった。
彼は一言「おめでとう」とだけ言った。何がおめでとうかなんて、解らなかった。ただ、これだけは解った。俺の思っていること、感じていることをしっかり彼に吐き出さないと、彼は2度と俺の前に表れてくれないって。
すれ違ってることを理解した。だから俺は――。
「横須賀」
「……なに」
「俺は、貴方のやったことをずっと隣で見てきた。そして、貴方がすべて一人で背負ってきたのも見てきた」
「……殺したくなった?」
「違う。俺も見て見ぬふりをした。携わったのに、あなた一人に背負わせた」
「貴方も俺と同じ、心を持つ精霊なことを理解していたのに俺はそれを見捨てた」
「俺も貴方の抱えてる心の重みを背負います。横須賀の地に携わった精霊として、ずっと貴方の隣を歩みます」
だから、分立後もちゃんと会ってください、俺と。
なんて言ってったっけ、もう覚えてないや。――いや、何も言ってなかったかな。確か、2人して泣いたような、そんな気もする。あの後葉が分立のお祝いに来てくれたんだっけ。葉の第一声が酷かったことだけは脳にこびりついてる。「生きてたんだ」、うん、いつ聞いても酷い。ただ、対話で少なからず横須賀との足並みを合わせることはできた気がする。それ以降は、彼も少しは軽くなったような、そんな気がした。
三浦半島が、横須賀が決定的に変わったのは、間違いなく三浦の誕生だったと思う。無邪気で純粋な幼い精霊。生まれながらの市は他のところで何人か生まれていたらしいが、うちの周りでは初めて。俺は葉と人間たちに見守られながら育って、葉は自分で人間たちを見てノウハウを吸収して育った。横須賀は――もうわかんない、って言ってたな。藩の奴らに支えられた、とは言ってたか。俺はちょっと遠かったからあまり三浦の方にはいかなかったが、葉や横須賀は定期的に様子を見に行っていたらしく、どうも良く懐いていた。
三浦の持つ無邪気な明るさが、変えたんだと思う。あの子の誕生は全員を良い方向に向けたと思う。それは、間違いないって言いきれる。
いつか、昔話をする機会があれば絶対に言ってやろうと思っている言葉がある。
「あの時の貴方は、誰よりも冷酷でした」
コメント
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もうもうもう!!💦 第2話から心臓ぎゅーって掴まれたよ…!「あの時の貴方は、誰よりも冷酷でした」ってタイトルと、最後の伏線が重すぎてエモすぎる😭 横須賀の冷酷さの裏にある罪悪感と孤独、そしてそれを見守り続けた主人公の「離れられなかった」理由が切なすぎるよ…。でも三浦っていう無邪気な精霊がみんなを変えたっていう展開にほっこりした〜!✨ このシリーズ、めっちゃ気になる!!続き楽しみにしてるよ!🌸