私はずっと笑顔だったし
朝の占いだって悪くない
きっと今日も大丈夫
良い一日になりますように。
アメリカ民謡研究会
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「素敵な金色ね」
「吸い込まれるような赤を持っているな」
「もうずいぶん背が伸びたわね」
「髪の長さも充分だな」
「そろそろかしら?」
「あぁ、そろそろだ」
ぼくは、両親に愛されて育ちました。
溢れるほどの想いと、願いと、素敵なものを詰め込まれて育ちました。
ぼくは、明日で七歳になります。
「素晴らしい金髪だな」
「なんて美しい赤い目なのかしら!」
「ふむ?綺麗好き、本が読める、占いの精度は一級品…」
「それならあの部屋に置きましょうよ、
貴方!使い道のなかった、大きな本棚があるでしょう?」
「そうだな、バスルームにも近いから丁度いい」
ぼくは、両親に愛されて育ちました。
溢れそうなほどに詰め込まれた欲望と、輝く黄金のために育ちました。
ぼくは、今日で七歳になりました。
悲しくなんてありません。
愛されているし、綺麗な部屋、綺麗な服があります。お祝いのパーティもしてくれました。
哀しくなんてありません。
沢山の本とタロットカード、高そうな石鹸にピカピカのバスタブ、 焼きたてのクッキー。 他にも色々…。
かなしくなんてありません。
たりないものは、ひとつもありません。
「あら…どうしてそんな顔してるの?」
「笑っていろとは言わないが、お客様の前でも泣き腫らされていては困るな」
「…あぁ、そうだわ!」
「来年も再来年もその先もずっとずっとずーっと…こうして集まってパーティをしましょ!」
「きっと楽しいわ!ねぇ、だから…」
…笑って?
ぼくはずっと笑顔だったし、
朝の占いだって悪くない。
きっと大丈夫。
良い一日になりますように。
途端に堪らなくなって、俺しかいない部屋に嘔吐く音が響く。
薄橙、黄、赤。
うるさいほどに鮮やかな色の全部がいっぺんに飛び出してくる。
夕食のオレンジ、胃液、 ついさっきまで生きていたもの。
うずくまったまま、吐き出したものを 眺める。
ふと、自身の髪が目に映る。
未だ一度も切ったことの無い、唯一誇れるもの。
…いや、これは。
素敵な金色には程遠い、枯れた淡い黄色。
頭痛の酷い頭をあげる。
膝に手をやり、立ち上がる。
この部屋で最も大きな窓へ近づく。
何をするにも、ザワザワ、ガサガサと。
全身が音を立てている。
あぁ、身体の全てが、藁になっている!
「…悪魔の実、か」
某掲示板のワンピースカテゴリ、どこかしらのスレに投げたssのリメイクです。
1%の男、バジル・ホーキンスはいいぞ。
曲は上記の通り、アメリカ民謡研究会の
「私はずっと笑顔だったし朝の占いだって悪くないきっと今日も大丈夫良い一日になりますように。」です。
これを引用という名のほぼ丸パクリしてます。
ご存知ない方は原曲を聞いてください。
そして「宗教に犯されているのではないか。」も聞いてください。沼はこちらです。
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