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魔法少女「さーて、行くわよ魔法使いちゃん!」
魔法使い「はいっ!」
緑に輝く洞窟の入り口で、その声は洞窟内に響く。事の発端は昨日の夜のことだった……
――
雷神「……そろそろ、あの子達ダンジョンに連れていっても良いかなって思うんだ。」
雷神のその言葉が事の発端だった。
魔法少女「……あー……どうだろ?まだ危ないんじゃない?ほら、この前だって剣豪さんあれだったでしょ?」
剣豪「……ま、正直あいつはまだ荒削りだし、まだ不安ではあるからな……」
そもそもダンジョンは洞窟の中や森の中など、人目に付きにくいところに出来るものだ。ダンジョンに行かせて、誰も動けない状態にまでされてしまえば、生きて帰ることはまず不可能だ。普通のダンジョンなら冒険者ギルドに登録されていれば他の冒険者が助けてくれる可能性もあるが、ここは冒険者ギルドとは全く関係がなく、自分たちが行っているダンジョンが冒険者ギルドに登録されているかもわからない上、最近のモンスター大発生で登録が外されている可能性もある。
雷神「もちろん私達だって付いていく。危険なら私達が退避させるってことも出来る。」
剣豪「……確かにそれなら、多少は安全か……ただなぁ、ガキがそんな俺らの言う事聞くか?聞かねぇからあんなことになったんだぜ?……ほんっと、これだからガキは……」
ジェネ「……お前それ言って良いのかよ」
剣豪「別に。事実だろうがよ。それに、別に俺はガキのお守りをやるために師匠やってんじゃねぇ」
剣豪はそう呟くと、おもむろに地図を取り出した。
剣豪「あのあと鍛冶屋が話したんだが、この辺りに鉱山のダンジョンが4つ集中しているみたいだ。順番に、エメラ洞窟、サファ洞窟、トパー洞窟、ルビィ洞窟だ。まあこの辺なら、多少は安全なんじゃないか?あいつ曰く入れなくなったのは最近らしいし。……ついでに剣士と重戦士にも練習させるか。」
雷神「いいじゃん!」
――
魔法少女「ま、いろいろあってまず私達がエメラ洞窟に行くことになったのよ。」
魔法使い「なるほど……」
魔法少女「で、それにあたって私達に強そうな杖とゆくせさりを鍛冶屋君が作ってくれました!パチパチパチ~!」
魔法使い「……でもこの杖重くないですか?」
魔法少女「強い杖はだいたいそんなものよ?それに大体の魔術師は杖持ってるように見せかけてちょっと浮かしてるから」
魔法使い「そんなことあるんですか!?」
魔法少女「シッ!誰か来る!」
魔法少女の言う通り、向こう側から誰かの足音と、濃い魔力の気配が流れてくる。
魔法少女「……!……ティロさん……!」
向こうからやって来たのは、ティロだった。無数の銃口を2人に向け、発射する。
魔法少女「『バリア』!」
目の前で銃弾がすべて弾け飛ぶ。
魔法使い「(凄い精度だ……これだけ硬いバリアが張れるなんて……)」
魔法少女「危ない!魔法使いちゃん!」
魔法使い「……!『ミニマム』!」
魔法使いの体が、消えた。――いや、小さくなったのだ。そのままほうきに飛び乗り、銃弾を避けた。
魔法少女「(へぇ、なかなか面白い魔法出して来るね……これ、ネタ魔法の一種だと思ってたんだけど……)」
魔法少女はバリアを張って身を守りながら、少し笑った。
魔法使い「『フレイムランス』!」
姿を元に戻した魔法使いの手から、無数の炎の槍が現れ、ティロめがけて飛んでいく。
魔法少女「(おっ、精度もなかなかのものね……あんな仰々しい準備、ようやく捨てきれたか……)」
しかし、ティロには傷一つついていない。
魔法使い「嘘でしょ!?だったらこんなの……こうしてやる!」
魔法使いはほうきをティロの方へ投げ捨てた。
ティロ「魔法の基礎もなってないどころか、ついに頭までおかしくなったの?それじゃ、これは避けられないわね!『ティロ炸裂弾』!」
魔法少女「『マッドウォール』!」
目の前に土壁が現れる。
魔法少女「間に合った……」
魔法少女がそう呟く。マッドウォールはバリアとは違い、継続的に魔力を込め続ける必要がない代わりに詠唱から顕現までに少し時間がかかるのだ。
土壁の向こうで爆発音が聞こえる。おそらく土壁もえぐられているだろう。こちらがやられるのも時間の問題だ。
魔法使い「『クレアボイアンス』……」
魔法少女の隣で魔法使いがそう小声で言う。群青の目が少し光っている。
魔法少女「魔法使いちゃん!?何して……」
魔法使い「(今だ!)」
魔法使いが土壁の影から出る。ティロの気を引いた、その瞬間。
魔法使い「『サイコキネシス』!」
鈍い音と共にティロの背中にほうきの柄がめり込む。
ティロ「ぐっ……!」
そんな声が聞こえた。さらに追い打ちでティロの頭をほうきで殴ると、ようやくティロが倒れた。
魔法少女「やった……のかな……?」
魔法使い「やった……やりましたよ……!はぁ……はぁ……」
倒れかかる魔法使いを魔法少女が支える。
魔法少女「(透視で土壁の向こうのティロ先輩の動きを見て、タイミングを見てティロ先輩の後ろに投げたほうきでティロ先輩を……?まさか魔法で太刀打ちできないのなら物理攻撃で……とか……?)魔力切れか……とは言っても、私にも分ける魔力なんて残ってないしなぁ……帰るまで頑張ってね……」
魔法使い「……はい……」