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「稲垣家の大事な末っ子をいじめたら、俺らが容赦しないってことは昔から決まっているだろう・・・そいつには申し訳ないが血を見てもらう事になる 」
普段はとても優しい健司さんの瞳が怪しく光る・・・こんな健司さんは初めて見た
「電話の男を知ってるみたいだね」
信也さんが私に聞く
「ハイ・・・私の別れた元夫です・・・」
私はもどかしげに言った
「なんだ?三角関係のもつれってヤツか?それなのに身代金を持って来いって?元旦那はテロリストか?」
とレオ
「茶化すのは待てよ!ちゃんと彼女の話を聞こうぜ!」
健司が弟をたしなめた
「彼とは・・・一年前に正式に離婚しました、でも・・・最近になって私の前に姿を見せたんです・・・その時、偶然一緒にいた柚彦君に助けられました、たぶん・・・彼はお金に困っています 」
「それで君から金をせしめるために、うちの弟を誘拐したというのか? 」
フンッとレオさんが鼻をならした、彼が怒るのはもっともだ
感じている痛みは理解を超えていた、とらえどころがなく、同じ考えがグルグル回る
またしても私の過去の過ちのせいで、柚彦君がこんな目に会うなんて想像もしていなかった
そもそも私が俊哉と結婚なんかしなかったら、柚彦君と付き合ったりしなかったら・・・・
どうしよう・・・泣きたくないのに涙が溢れてくる
「誰もあなたを責めていないわ、そんな風に考えちゃダメよ」
私の肩に手を置いた沙也加さんの優しい声が、私を何万回もしている後悔から引き戻した
「そうだよ、あんまり思いつめない方がいい、それに警察もあてにならない、俺達でユズを取り戻そう 」
健司さんが言った
「とにかく君はもう帰って、ここからは俺達に任せて欲しい、身代金をもって待ち合わせの場所へは俺が行く」
「そんな!俊哉は私に来いって言ってました!兄に頼んでお金も用意します!お願いです!私に行かせてください!相手は俊哉一人なんですから! 」
そうだ、こんなことをした俊哉にどうしても一矢報いてやりたい
私は必死で信也さんにすがった、彼を取り戻すのなら、どんなことでもする
「一人ってわけでもなさそうなのよ 」
その時一斉にみんなが声のする入り口に顔を向けた、そこにはブラックと一人の可愛らしい女の子がいた
「なんだ!ブラック!どうした?その子は? 」
健司が尋ねる
「あら?その子って・・・例の反対運動の?」
沙也加さんもハッとして目を見張った