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井野匠
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#すとぷり
るぃ@BL好き 🎀♡
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権力に対して抗う権利。
現状打破のために、まずは校則を調べることにした。
生徒手帳には最低限の事項が載っているだけで、足がかりになりそうなものはなかった。
色々と考えた結果、文献がありそうなところといえば……、図書室だった。
「……校則、ですか」
「ああ、生徒会権限について知りたいんだ。 なんか、そういうの詳しく書いてあるもんとかねえか?」
「えーと……、ちょっと、探してみます……」
日継高校の図書室は広大だ。
他校の施設と比較すると、そのスケールは図書”館”と呼べるレベルに達していると言える。
そんな施設の一角にデスクを構え、ミクロに活動している生物が一人。
同学年の図書委員、星栞花撫香。目が隠れてしまいそうな前髪パッツンのお下げ髪に、大きな丸眼鏡の少女。
彼女はいつも図書室にいる。
少なくとも、オレが授業後に本を借りに来る時にはいつも。
受付をしてくれる際に毎度少しだけ会話を交わす。お勧めの本の話とか、学校行事のこととか。
そこで本人から直接聞いたが、彼女は身体が弱いらしく、保健室登校なのだとか。
部活動のような活発な環境に身を置くことも難しいと判断されたため、こうして毎日図書委員として仕事をしているらしい。
書庫検索用のPCをタカタカと操作したあと、その身に余る厚い本を両手で抱いて右の本棚と左の本棚を右往左往。
デスクに戻ってきたと思ったら、また奥の資料室らしき部屋に消えてしまった。
数分後、カフカは本と言うにはあまりにカラフルな、赤緑黄のブ厚い資料ファイルを持って帰ってきた。
「すみません……、探してみたんですけど……、生徒手帳以上に詳しい校則集みたいなのは、その、無くて……。 でも、代わりに、これ……、生徒会の方々の活動記録です。 直近三年分の過去号を持ってきました……」
「そうか……! 何も生徒会のことが知りたいなら校則なんかを真面目に一から読む必要ねえ、活動記録見りゃ一発じゃねえか。 ありがとうな、カフカ」
受け取ったファイルを両手に、オレはすぐさま近くの長机に座った。
順番に流し読みしていく中で、探すのは退学・除籍措置に関する事項だ。
一条に、生徒会に、この学校に、過去に追放宣告をした経歴があるのかどうか。あるなら、それはどういった件で行われたのか。それを知る必要がある。
「……一条は一年の時にはもう副会長だったのか。 まぁあの性格だし抜擢されそうってのは分かるが……。はぁ? 当時の生徒会長は選挙当選して二ヶ月後に退任を表明……? じゃあ実際は去年度も一条が会長ポジションを務めたってことじゃねえか……!」
一条が生徒会に入ってすぐの会長の退任に、二年目選挙の全対抗馬辞退。
流石にこいつは……、何か裏があるって思っても不自然な考えではないように感じる。
続けて読み進める。
一条はこれまでにも二度、同じ流れで生徒をたいがくさせたことがあると言い放った。
それが本当なら、時期的に一条は一年の副会長をしていた頃に件を起こしたとみてまず間違いはない。
つまりはこのファイルのどこかに、退学を推挙したことの詳細が記載されている可能性が高い。
「……六月。 部活動・同好会への部費申請書類……、違う。 募金活動……、違う。 缶のプルタブ回収……、違う。 七月……」
「……神無月さん」
「うおっ、いつの間に隣にっ……。 どうかしたのか?」
「……あの、図書室の中はお静かにしてくださると……、その、周りへのご迷惑が……、いえ、他に誰も居ないので問題はないんですけど……」
「悪ぃそうだった……、気をつけるよ」
「生徒会長さんのことを調べられてるんですか? 会長さんの名前が出ている部分を何度も確認されているので……」
「ああ。 なぁカフカ、一条が退学にした奴がいるって話、詳しいことなんか知らねえか? 生徒会記録読めばなんか分かるかもって思ったんだが、パッと見は何にも……」
「……それでしたら」
席を立ったカフカが持ってきたのは風紀委員会の活動記録書類だった。
「……噂には聞いたことがあります。 私が思うに、きっと会長さんは会長さんとしてではなくて……、風紀委員として件に当たったのだと思います……。 風紀委員は不良生徒の指導をすることも仕事の一環なので、生徒会の活動に載っていないのなら、こちらになら何か載ってる……、かも……」
「……そうか! 確かにな。 ありがとう見てみるよ」
受け取ったファイルの中身を、巻頭からパラパラと斜め読みしていく。
記載のほとんどはオレの探している案件と関係のないものばかり。だがその中盤、
「これだ! ……風紀委員会一年の一条大亞の担当案件で退学処分を受けた生徒……。 校則違反について風紀委員の多重注意を受けても改善の余地が見られず、暴行事件を機に教師に通達。 以降、生徒は不登校となり、出席日数不足を理由に退学処分が行われた……。 オレの件とはちょっと状況が違ったみてえだが、本当にあったんだ……」
状況が違うとはいえ、実績があるということは本気で退学になっちまう可能性だって無くはないと分かってしまった。
「あの……、神無月さんは会長さんに、退学させられそうになってるんですか?」
「……信じらんねえ話だが、そうなんだ。 こうして過去に生徒を退学まで追い込んだ経験も実際にあるみてえだし、もう校長まで提言書が回ってるくらいにはマジらしい。 どうすりゃアイツを止められるんだ……」
「……止めるなんて、そんなことができる方……、思いつきません。 生徒会長と同じ位、それ以上の権力を持っている方は先代の生徒会長か、先生方くらいしか……」
「担任の先生とか校長にはもう話してみたんだ、でも駄目だった……。 残るは先代の生徒会長だが……、前の生徒会長は辞退しちまったんだろ? 今更何か相談出来るとは思えねえし、それより前ってなるともう卒業しちまってるだろうし……」
生徒会長の権力に噛み付くには、同じく生徒会長だった人の力を借りればいいってのは良い発想に思えたんだがな……。
校内ヒエラルキートップと言っても過言では無い一条に、オレみたいなのがどうやって戦えばいい?
生徒会長を上回る権力なんて、知る限りじゃ存在するはずが…………、
「そうか…………」
「……神無月さん? 何か見つけられたんですか……?」
「いや……、思いついたんだ」
校内に、生徒会長を超えた権力を持つ生徒はいない。
つまりはオレじゃ、生徒会長に匹敵することは不可能ってことだ。
なら……、相手が生徒会長じゃなかったならどうだ?
「背伸びしたって届かねえなら、相手の足引っ張って降りてきてもらうしかねえ。 もし一条が生徒会長から降りたら、オレと同じ一般生徒になる」
「それって……、どういうことですか? 会長さんの悪い噂とかを流して、生徒会から後任させるってことですか……? そんな事ダメですよ!」
「いいや、それじゃあ時間がかかっちまう。 それに、オレだってそんな陰湿な戦術が組めるような性格じゃねえ。 もっとオフィシャルに、権利で権力と戦うんだ」
生徒会長を選ぶのは、生徒会選挙で投票をした生徒たちだ。
逆に言ってしまえば……、生徒会長を後任させるか否かを選ぶのだって生徒たちのはずだ。
「不信任決議をやるんだ。生徒会長と風紀委員を退任させるために、投票を募るんだよ。 あんだけ強引な手段を取る奴だ、オレ以外にも不満を持ってる奴なんて山ほどいんだろ。 そういう奴の声を集めて、一条から権力を奪っちまうんだ」
大袈裟で、スケールがデカすぎるやり方だと思われるだろう。
しかし、大袈裟でスケールがデカい処罰を提言してきたのは、あっちが先だ。
討っていいのは討たれる覚悟のある奴だけってことを教えてやる。
コメント
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おお、神無月、ついに動き出したな!図書室でカフカに協力してもらいながら過去の記録を掘り返すシーン、めちゃくちゃ熱かったわ。一条が過去に退学させた実績があるって確定したときの「これだ!」ってとこ、思わず声出そうになった。 んで、不信任決議っていう逆転の発想…!「相手の足引っ張って降りてきてもらう」って言葉、痺れるな。権力に正攻法で挑むスタイル、めっちゃ神無月らしい。一条の権力が絶対じゃないって証明しようとしてる感じ、応援したくなるわ。