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図書室での一件以来、伊織は自分の嫉妬心を藤堂の愛の言葉で満たしてもらう方法を覚えてしまった。藤堂の独占欲は強まるばかりだったが、伊織はそれこそが自分が愛されている証拠だと受け止めていた。週末。藤堂から「絶対に来い」と半ば強制的に呼び出され、伊織は初めて藤堂の部屋を訪れていた。藤堂の部屋は、人気者のイメージとは裏腹に、意外とシンプルで片付いており、伊織は少し安心した。
「いらっしゃい、伊織。さあ、上がるぞ」
藤堂は伊織の手を引いて部屋へ招き入れた。
「あの、今日は何するの? 本は持ってきてないけど……」
伊織が尋ねると、藤堂はニヤリと意味ありげな笑みを浮かべた。
「今日はな、秘密の遊びをしようと思って。伊織がもっと可愛くなるための、特別なイベントだ」
藤堂はそう言うと、クローゼットの奥から大きな紙袋を取り出した。中身を見て、伊織は思わず後ずさりした。
「こ、これは……」
紙袋の中に入っていたのは、フリルやレースがあしらわれた、淡いピンク色のワンピースと、ロングヘアーのウィッグだった。
「どうだ、伊織。お前に似合うと思って、昨日、買いに行ったんだ」
藤堂は嬉しそうに言うが、伊織は顔面蒼白になる。
「え、女装……?」
「そう! 伊織は顔立ちが中性的で、肌も白いだろ? 絶対に似合うって確信したんだ。俺だけの可愛い伊織を、もっと可愛く着飾ってみたい」
伊織は戸惑った。恥ずかしいという気持ちと、藤堂の期待に応えたいという気持ちが交錯する。
「で、でも……俺、男だよ?」
「知ってるよ。でも、それがいいんだろ。誰にも見せない、俺だけの秘密の可愛い子。さあ、着替えてくれよ。鏡で見てみたいんだ」
藤堂は、伊織の背中を押し、半ば強引に浴室へと向かわせた。
伊織は鏡の前で服と向き合い、しばらく固まっていた。しかし、藤堂の「可愛い」という言葉と、自分への期待を思い出し、意を決して制服を脱ぎ、ワンピースに袖を通した。
フリルの付いたワンピースは、伊織の細い体によく馴染んだ。次に、藤堂が選んだであろう、金色の長いウィッグを被る。鏡に映る自分は、確かにいつもとは違う、自分でも見惚れてしまうほどの「美少女」になっていた。
伊織が恐る恐るリビングに戻ると、藤堂は伊織の姿を見た瞬間、目を見開いたまま、立ち尽くした。
「い、伊織……」
藤堂の息を呑む音が聞こえた。彼の顔は、いつもの余裕のある笑顔ではなく、感動と驚愕に満ちた表情だった。
「ど、どう……?似合わないなら、すぐに脱ぐけど」
不安そうに尋ねる伊織に、藤堂はゆっくりと歩み寄り、その肩に手を置いた。
「嘘だろ……」
藤堂は呆然としたように呟いた。
「可愛すぎる。こんなの、反則だ」
藤堂は、伊織の頬に触れ、ウィッグの長い髪を指に絡ませた。
「完璧だ。俺の理想を遥かに超えてる。その瞳、その細さ、その表情……どこからどう見ても、最高に可愛い」
藤堂は伊織を抱きしめ、熱っぽい声で囁いた。
「なあ、伊織。もう、このまま俺の部屋から一歩も出すの、やめようかな。こんな可愛い姿、他の誰にも見せたくない」
藤堂の独占欲は最高潮に達している。伊織は恥ずかしかったが、同時に、藤堂にこんなにも深く愛され、求められていることに、胸がいっぱいになった。
「ふ、藤堂くん……」
「可愛すぎて、俺、どうにかなりそうだ。俺だけの、俺だけの可愛い子……」
藤堂は、伊織の女装姿を愛でるように、その顔を覗き込み、そして熱いキスを落とした。伊織は、完全に藤堂の甘い独占の世界に引き込まれ、抵抗することなく身を委ねた。