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女装をして藤堂に愛された週末から数日後、伊織はまだその余韻から抜け出せずにいた。鏡を見るたびに、あの時映ったウィッグ姿の自分がフラッシュバックし、藤堂の「可愛すぎ」という熱い言葉が耳に残っていた。火曜日。放課後、いつものように図書室で本を読み合っていると、藤堂が伊織の隣に座り、そっと囁いた。
「なあ、伊織。今週の金曜の夜、俺の家に泊まりに来いよ」
伊織は手に持っていた文庫本を危うく落としそうになった。
「と、泊まり……?」
「ああ。金曜は課題も少ないし、ゆっくりできるだろ。週末は俺だけの伊織を独り占めしたいんだ」
伊織は顔を赤くした。前回は女装という特殊なシチュエーションだったが、今回は「お泊まり」だ。一晩中、藤堂と同じ空間で過ごすことを考えると、心臓がバクバクと鳴り始めた。
「で、でも、荷物とか……」
「大丈夫。着替えは俺のTシャツでも着てればいい。歯ブラシとかは俺が用意しておくから。な? 来てくれるだろ?」
藤堂は伊織の髪を優しく撫で、熱い視線を送ってくる。伊織はもう、この顔に「ノー」と言えるはずがなかった。
「……はい。行くよ」
伊織が頷くと、藤堂は満足げな笑顔を見せ、伊織の手にキスを落とした。
「やった。じゃあ、金曜の放課後、駅前で待ち合わせな」
そして金曜日の放課後。伊織は、藤堂の家に向かう電車の中で、緊張でほとんど息ができなかった。最小限の荷物(着替えの下着と、読みかけの文庫本)が入ったリュックを抱きしめている。
駅前で藤堂と合流し、藤堂のマンションへ向かう道中、伊織はずっと俯きがちだった。
「伊織、そんなに緊張するなよ。俺の家、そんなに変なことしないから、安心しろ」
藤堂は伊織の手をしっかり握りながら、そう言って笑った。
「変なこと……って、何するの?」
「んー? 晩飯食って、お前の好きなファンタジー映画でも観て、あとは……お前が可愛いって、延々褒めちぎって、独り占めするだけだよ…俗に言う…ヤるってやつ?」
藤堂の言葉に、伊織は少しだけ安心した。少なくとも、藤堂は伊織のペースを尊重してくれる。
藤堂の部屋に入ると、前回と変わらず綺麗に片付いていた。
「ただいま、伊織」
「お、お邪魔します……」
藤堂は伊織をソファに座らせると、すぐに飲み物を持ってきた。
「伊織、とりあえずゆっくりしてくれ。晩飯、何がいい? 俺、パスタくらいなら作れるぞ」
「え、藤堂くんが作ってくれるの?」
「たまにはな。お前の好きなもの、教えてくれ」
伊織は、藤堂の家で、彼の作ったものを食べるという行為に、強い幸福を感じた。それは、二人の関係が、単なる学校での秘密の逢瀬ではなく、日常の中に溶け込んでいる証拠のようだった。
夕食後、二人は藤堂が選んだ映画を観たが、伊織は内容に集中できなかった。隣に藤堂がいるという事実が、強すぎる。彼の息遣いや、時折触れる肩の温もりが、伊織の心臓をずっと騒がせていた。
映画が終わると、藤堂は伊織に風呂に入るよう促した。伊織が藤堂の大きなTシャツを借りて部屋に戻ると、藤堂はソファに座って待っていた。
「おかえり、伊織。髪、乾かしてやるよ」
藤堂はそう言って、伊織を自分の膝の間に座らせ、ドライヤーを取り出した。伊織は、藤堂の太ももに背中を預けるという、かつてない親密さに、全身の力が抜けるのを感じた。
藤堂の手が、優しく伊織の黒髪を撫で、ドライヤーの温風が頭皮を包む。
「なあ、伊織」
「はい……」
「お前が俺の家に来てくれるって、すごく嬉しいんだ。特別だろ? 俺たちだけの時間」
「……はい」
藤堂はドライヤーを止め、伊織の耳元に顔を近づけた。
「今日は、お前の好きな本の話を夜通し聞かせてくれよ。それで、俺はお前のこと可愛いって飽きるまで言ってやるから」
藤堂はそう言うと、伊織の唇に優しくキスを落とした。その温もりに、伊織はもう、彼にすべてを委ねる覚悟を決めたのだった。その後 伊織激しいピストンを受けるのだった。