テラーノベル
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「うざッ……」
心の中でつぶやく声は、日を追うごとに、
大きく、 重く、
耳の奥にまで響くようになっていった。
最初は、苛立ちは全部自分に向けられていた。
思うように動けない自分。
泣き虫な自分。
弱くて頼れない自分。
誰かに優しくされるたび、逆にその優しさが、
自分の情けなさを突きつけてくる。
胸の奥がきゅっと締め付けられ、
呼吸が浅くなる。
そんな自分を責めることは、すでに無意識に
行う日課みたいになっていた。
誰もいない部屋。
時計の針の音だけが小さく聞こえる。
深く息を吐くと、ため息がやけに大きく響く気がした。
でも、今は違う。
もう、自分だけを責めたりしない。
心の中の苛立ちは、あの人に向かっている。
あの人の何気ない一言。
無造作な舌打ち。
冷たい目。
そのひとつひとつが、わたしの胸を鋭く刺す。
「……わたしだけが悪いんじゃない」
ぽつりと呟いた言葉は、静かな部屋に吸い込まれて消えた。
誰も聞いてくれない。
届かない。
返事もない。
邪魔なんかしていないのに、勝手に勘違いして、顔をしかめて、文句ばかり言うあの人。
それだけで、心の奥はギリギリとすり減っていく。
沈黙。長い溜め息。
気がついたら、また涙が滲んでいた。
泣きたくなんかないのに。
すぐに涙があふれてしまう。
そんな自分がまた情けなくて 、
嫌いで、
情けなくて、、、
涙をぬぐう手も止まる。
誰も見ていないのに、恥ずかしい気持ちだけが残る。
夜の部屋。蛍光灯の白い光。
静けさだけが広がっている。
何もする気になれず、ただ天井を見つめる。
「……はぁ」
溜め息だけが、やけに大きく聞こえ、胸の中の空洞に反響するようだった。
あの人がいると、わたしがどれだけ小さく、
何も持たない存在なのかを突きつけられる気がする。
「ブス」「アホ」「役立たず」
刺さる言葉は、もう痛みを通り越して、心の奥に沈んでいく。
笑顔を作ることさえ難しくなってきた。
時計を見ると、針の音がこんなに大きかったのかと思うくらい、静かだ。
布団にくるまっても、 あの人の声が耳の底に残っている。瞼を閉じれば、冷たい目が浮かぶ。
あの人の声を思い出すだけで、息が詰まる。
わたしは悪くない。そう思いたい。 でも、
心はどんどん沈んでいく。
沈んで、
沈んで、、、
深い海の底に 落ちていくみたいに、誰の声も届かない場所で、静かに息をしている。
……はぁ……。
溜め息だけが、確かにここにある自分を示していた。
全部、あの人のせいだと、思いたい。
勉強が苦手なのは事実。
でも、笑顔は忘れなかった。
誰かが悲しそうな顔をしていれば、 声をかけることくらいはできる。
愛想だけなら、あの人よりずっとマシだ。
悪口を言われても、
仲間外れにされても、
物を捨てられても、
わたしは学校に行く。
泣きながらでも、歯を食いしばってでも行く。それだけは、あの人とは違う。
そう胸を張りたかった。
……けれどもう、疲れた。
心も、体も、すでに限界だ。
あの人のことを考えることですら、面倒になってきた。
怒りも、 悲しみも、 全部燃え尽きて、
空っぽになったわたしの中には、 長い沈黙と、深いため息だけが、静かに、こだましていた。
コメント
1件
第1話、読み終えました…。 自分を責める内側の声から、誰かに向かう苛立ちへ、そして最後の「燃え尽きた」感覚、すごく丁寧に描かれてて胸が苦しくなりました。 特に「溜め息だけが確かにここにある自分を示していた」って一文が、静かな夜の孤独をそのまま切り取ったみたいで、心に刺さりました。 続き、どうなっていくんだろう…気になります。