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#御曹司
鷹槻れん

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#極道
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内容的に食べながら話すようなライトなお話には思えなかったので、私は「はい」とお答えした。
みんながデザートを食べ終わると、食後の飲み物が運ばれてくる。
私以外の皆様はホットコーヒーを、私だけミルクティーをお願いしていた。
珈琲を一口飲まれた修太郎さんが、健二さんをちらりと見られた後、先ほどのお話の続きを話し始められる。
「僕があの家をお役御免になれたのは、健二が生まれてくれたからです」
天馬氏と宮美さんの間に男の子である健二さんが生まれ、父親や義母に反抗的だった修太郎さんは、やっと一人で暮らしておられた絢乃さんのもとへ送り出してもらえることになったらしい。
修太郎さんは、まだ十にも満たない幼い身で、実母さまと引き離されていらしたんだと思うと、胸がちくりと痛んだ。
私は紅茶のカップをソーサーに戻すと、修太郎さんをじっと見つめた。
「僕は母のもとに引き取られてすぐ、戸籍を神崎から抜いて、母の籍の塚田に入れてもらいました」
修太郎さんと健二さんがご兄弟なのに苗字が違っていらっしゃるのは……そういう経緯があったのだ、と思った。
生まれていらした九つ年下の弟さんを可愛いと思う一方で、修太郎さんは絢乃さんを蔑ろになさったお父様のことをどうしても許すことが出来なかった、とおっしゃった。
「母と離婚してすぐに宮美さんと再婚した父を見て、僕は父親のことを汚い人間だと、そう思いました。一人の女性も幸せに出来ないような男が政治家だなんて笑わせる、と。今思えば男女のことなので、父が一方的に悪かったわけではないのかもしれない、とも思えるようにはなったんですけど」
そうおっしゃって淡く微笑まれる修太郎さんがとても寂しそうで……。
私は思わず修太郎さんの手を握った。
「無理にご自分を納得させようとなさる必要はないと思うのです」
それ以上の言葉を紡げば、健二さんのお母様や、お二人のお父様を非難することにもなりかねないので、多くは申し上げなかった。けれど、修太郎さんは私の意を汲んでくださったらしい。
私の手にご自身の手を重ねられると「ありがとう」と微笑まれた。
うちも亭主関白に見える家庭だけれど……それでも両親は離婚などすることなく仲睦まじくしているイメージで。
だからこそ、ご両親が上手くいかずに別れてしまった修太郎さんの本心は私には計り知れない。
でも。
でも……修太郎さんがお辛いと思っていらっしゃるなら、寄り添うことぐらいは出来るかもしれないから。
(私、修太郎さんの傍にいたいのです)
修太郎さんと手を握り合いながら、私はそんな風に思った。
「神崎から籍を抜いた後も、僕は健二や……その後に生まれた妹ら二人と縁を断つつもりはなくて……。父が、忙しさにかまけて異母弟妹を構ってやれないだろうことは自分の経験から知っていましたから、むしろ積極的に関わったぐらいです。あの夏、日織さんのお宅へうかがったのも、健二がついてきて欲しいとごねたからでした」
そこで、「父も、お前が一緒の方が健二も落ち着くから先方さんへ御迷惑をおかけしなくていいだろう、と言ったので」と吐き捨てるように呟かれると、
「でも、あの日健二に誘われて藤原さんのお宅を訪れたのは正解でした」
私の手をぎゅっと握って嬉しそうに微笑まれた。
「――貴女に会えたのですから」
幼い私を見たとき、妹さんたちには感じなかった感情が芽生えて驚いたのだ、と修太郎さんはおっしゃった。
「実は日織さんと一番下の妹は同い年なんですけどね」
健二さんのすぐ下の百合子さんは私より二つ年上、私と同い年だという妹さんは籐子さんとおっしゃるらしい。
「妹のことは異母兄妹でも、妹としか思ったことはなかったのに、何故か貴女のことは初めてお会いした瞬間から“女の子”だと思ってしまった。――本当に不思議です」
私も、お顔もお名前もすっかり忘れてしまっていたけれど、本を読み聞かせてくださった修太郎さんのお声が優しくて心地良かったこと、話してくださる物語がとても楽しかったことは消えずに覚えていられた。
コメント
2件
修太郎さん(涙)
うわあ…第52話、読み終わったよ…😭💕 修太郎さんの過去、壮絶すぎる…幼い頃に実母と引き離されて、父親の再婚相手の家で育ったなんて。健二さんが生まれたおかげで解放されたっていうのも複雑すぎるでしょ…それでも異母弟妹を自分から構ってあげる優しさ、沁みるよ。 そして何より「貴女に会えたのですから」って台詞が…!子供の頃から特別だったんだね、日織さんのこと。本の読み聞かせの声だけ覚えてたっていうのも運命的すぎて胸が熱くなった🔥✨ 手を握り合うシーン、すごくエモかった…!修太郎さんの寂しそうな笑顔を思うと、私も日織さんと同じように傍にいてあげたくなっちゃったよ🌸