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「リリーちゃん、今日のご飯はなに?」
ハル子はクローゼットの内側から上部の扉を開け、姪に聞いた。
「あらおばさん、ピラフが食べたいって言ってなかった?」「そう⁉じゃお願い…」バタッと扉を閉め、どうやらまた一人の世界に入ったようだった。
クローゼットの内側は、梨里がちょっと改造してやった。文庫本を積み上げ階段を作り、2階建てになっている。2階上の扉はガラスをはめ、内側からカーテンをつけた。ハル子のベッドルームで有り、1階はバスルーム、晩にお湯を張った洗面器を置くだけで有る。トイレは猫砂を利用してもらった。
叔母のハル子は、人形のように小柄になってしまったが、案外楽しそうで、いつも綺麗にしていた。叔母の洋服は、自分で作っていた。2階のベッドルームのクッションや装飾も叔母は自身でやっていた。
そして、叔母は仕事を持っていた。同じ用に高齢で背が低くなった女性のファッションコーディネート、服のデザイン、縫製をやっていた。
梨里はハル子に頼まれると、ネットで材料の買物をした。
「叔母さん、あたしのが先に死んだらどうするの? あたしだって婆さんなんだから。」「そうねえ、でも『死なない会』っていうのがあって、そこへ相談するわ。」その会は、叔母のような人達で成り立っていた。何故か行き続けてしまう人達で有る。