TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

​「……遥、我慢しないで。足、まだ痛むんでしょ?」


​ 私が思わず声をかけると、遥は一瞬だけ足を止め、バツが悪そうに顔を歪めた。


「……痛くねーよ。これくらい」


「嘘。さっきからずっと左側に重心置いてるじゃない」


​ 図星だったのか、遥は黙り込む。その隙を見逃さず、凌先輩が静かに私たちの間に割って入った。


​「そうだよ、遥。意地を張って怪我を長引かせるのが、今の君に一番許されないことだ。紗南ちゃんを心配させたいわけじゃないだろう?」


​ 凌先輩の言葉は正論で、それでいて遥の痛いところを正確に突いていた。


遥は悔しそうに拳を握りしめ、私と凌先輩を交互に睨みつける。


​「……チッ。分かったよ。乗ればいいんだろ、乗れば」

​ 結局、私たちは凌先輩が呼んだタクシーに乗り込むことになった。


後部座席の真ん中に私。右側に遥、左側に凌先輩。


狭い車内、窓の外を流れる夕暮れの街並みとは対照的に、車内には逃げ場のない沈黙と、二人の体温が入り混じる独特の緊張感が漂っていた。


​「……紗南ちゃん、合宿中、本当によく頑張ってくれたね。小谷先生も、君のことは高く評価していたよ」


​ 凌先輩が、隣で優しく微笑みかけてくる。その視線が、私の膝の上に置いた手に、ほんの少しだけ触れた。


​「えっ……あ、ありがとうございます」


「……先生が評価してるのは、紗南が真面目だからだろ。変な言い方すんなよ、兄貴」


​ 遥が低い声で遮る。車内の空気は、目的地に着くまで一瞬たりとも緩むことはなかった。

となりの加賀美くん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

7

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚