俺は何故か光に包まれている場所にいる。なのに前は見える。不思議な空間だ。ここは何処だろうか…?何も覚えていない…分からない…どうしよう…「……あ」俺の手には兄貴と同じ武器を持っていた。特殊警棒だ。「相良の兄貴…探そう」そう考えるとここがどこかなんて考えを捨て、走った。とにかく走って、走って、走って、走った。不思議と疲れはなかった。息切れもなかった。明らかに異常だった。でも、それより「兄貴」相良の兄貴の方がよっぽど心配だった。こんな事を思ってるとプライドの高い相良の兄貴は怒るだろうな。なんて色々考えてた。
しばらく走ると声が聞こえてきた。「戻れ!」「ここはお前の来る所じゃない」「後ろを向いて帰れ!」「お前はまだ…」なんの声だろうと思いながら走る。とても聞き馴染みのあり、落ち着く声をしている。まるでいままでずっと聞いていたような。そんな事を思いつつ走っていると声が聞こえなくなった。それと同時に一人の姿が見えた。相良の兄貴だ。「あっ!相良の兄貴!」俺は相良の兄貴に向かって大きく手を振る。相良の兄貴は俺と目が合うと下を向いてタバコに火をつけた。そしてもう一度こちらに顔を向け、こっちにこいとでも言うように手招きをした。その顔は笑っているようにも、泣いているようにも見えた。すぐに相良の兄貴の傍まで走って行った。「兄貴!久しぶりです!寂しかったんですからね!」俺は抱きついて相良の兄貴を見上げた。 兄貴は泣いていた「………え?なんで泣いてるんですか?」「……」兄貴は何も言わずに静かに泣いている。その顔は、誰よりも美しい様に思えた。しばらくの沈黙の後、兄貴が言った。「なんでこっち来ちゃったんだよ…お前まだ若いんだぞ…もっと遊べよ」兄貴は泣きつつも作り笑いで俺に言う。兄貴の言葉は軽いように見えて、伝えたい事を隠しているように思えた。「…そんなに俺の事が好きかよ」少し経って兄貴は冗談交じリのように笑いながらそう言う。だが、その質問は兄貴の本心のように聞こえた。「はい!大好きですよ!」「はっ……?」俺は咄嗟に〝大好き〟という言葉が出た。嘘はついていない。相良の兄貴は、ぽかんとしてタバコを落としていた。その後すぐに顔が真っ赤になって口を覆う。「……俺…も……好き…だ」兄貴が顔を隠しながら言う。それでも真っ赤な事がわかる。「…顔…真っ赤ですね」俺は意地悪っぽく言ってみる。「なっ…おまっ…クッソ…」兄貴は途中で言うのをやめてこっちを向いて言った。「来たからには仕方ない…お前呼び止めても無駄だったみたいだしな…」「え?…あっ」そこで初めて聞こえていた声が相良の兄貴だった事に気付いた。オイと軽く頭を叩かれた。でも痛くはなかった。優しかった。 とても 暖かかった「ほら、行くぞ?」相良の兄貴が声をかけ、歩き出す。ああ、やっぱり好きだなぁ…と思う。俺はこんな空間にずっといれたら幸せだ。「はいっ!」俺は元気よく返事をして兄貴について行った。
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神イイイイイイイイ!
神ッッッッッ!!!!!!だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!!!