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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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桃視点(最終話)
無人に続いて、猫宮の姿も忽然と消えた。
嘘みたいな本当の話だ。
さっきまでそこに確かにあった気配に無言で思いを馳せる。
たった1日…その時間は永遠のように長くも、あっという間にも感じられる矛盾したものだった。
「あいつら帰れたかなぁ」
「帰れたんちゃう?」
ダイニングテーブルの椅子に座ったままの俺の肩に、まろがぽんと手を置いた。
そしてそのままソファの方へ向かう。
大きな音を立てて座ると、ずるりと身を落としながら背もたれに深く腰かけた。
こんなに1日かけて遊んだのは、多分俺もまろも久しぶりだった。
だから単純に疲れたのもあると思う。
今のまろは完全に子守をした後の休日のお父さんのようだった。
楽しかった分、あの2人がいなくなってしまったことに対する虚無感みたいなものもあったのかもしれない。
無言のままずるりずるりと背もたれから更に落ちていくまろ。
「よっと」と椅子から立ち上がると、俺もそのソファの方へと向かった。
もう半分ずり落ちているような態勢のまろの横に座る。
横向きになって片足を乗り上げる形で対すると、まろはゆるりとこちらに視線を返してきた。
青い瞳を見つめ返すと、さっきまで見ていた猫宮の目を思い出す。
同じ色のはずなのに、それは放つ光も自分へ向けられる感情も全く違うのだから不思議だ。
「ね、まろ。ちゅーしよ」
唇を人差し指でさして言うと、あいつはこっちの真意を計りかねるみたいな顔で眉間に皺を寄せた。
「ほら、よく漫画とかであるじゃん。好きな相手の目の前で他のやつとちゅーしなきゃいけなくなってさ。後で『お仕置き』とか言われるやつ」
「意味わからんし漫画の見すぎやし、そもそもお仕置きも何もほっぺにちゅーしたん猫宮からじゃなくてないこからやろ」
肩を竦めて言って、まろは少しだけずりずりと背もたれをよじ登るようにその身を起こした。
ソファに座り直して、どこか呆れたような視線をこちらへ向けてくる。
「ふーん、じゃあいいよ別に」
まろがしないなら俺がするまでだし、そう付け足してまろのシャツを掴む。
ぐいと引き寄せるようにしてその唇にキスをした。
啄むようなキスを繰り返すと、やがてその動きに合わせるようにまろもこちらの唇を吸い返してくる。
そのまま互いを求め合うかのように、段々と深さを増していった。
重ねたままの唇を大きく開くように誘導されて、隙間からは舌が差し込まれてくる。
びり、と電気に似た感覚が、首を素通りして腰まで駆け抜けるように伝った。
それに合わせてこの先にあるだろう快感を脳の記憶が呼び覚まし、ぶるりと一つ身震いしてしまう。
同時に自分の中心が熱を持ち始めるのも感じた。
「…っ、まろ…っ」
高校生の2人はかわいかったし、一緒にいて楽しかった。
まだ青いながらに一生懸命互いを想い合っているのも微笑ましかった。
一部の大人なら「青臭い」と表現するのかもしれないその彼らなりの恋愛が、俺には少し眩しくて羨ましかったのも事実だ。
自分たちにはもうあの必死さはない。
だけどそれでも、大人になった今でも時折胸の奥底から沸き起こる感情を制御しきれないことはある。
激情に似た想いに無性に囚われてしまって、たまらずその名を呼びながらキスを繰り返す。
今頃向こうの2人も似たようなことをしているんだろうか。
そう思ったけれど、その思考はすぐに捨てた。
まろが俺のシャツの裾から手を滑り込ませてきたせいだ。
そしてその手はすぐに上下を反転させ、ズボンの中にぐいと差し込まれる。
「ん…っ」
期待しかけて持ち上がり始めていたそこが、ズボンをずらされたことで空間的に余地を残され主張を始める。
まろの大きな手が包み込むようにして触れ、優しく撫でられただけで徐々に硬く張り詰めていった。
…前言撤回。
今日のあの様子じゃあ、あっちの2人がいきなりこんなことしてるわけがない。
そんなことを考えながらも、下着の上から擦られるたびに自ら腰をゆらゆらと動かしそうになる。
「あ、もっ、と…っ」
速く、と言いかけた言葉は形を成す前に消えた。
懇願するように響く声。
それに応じるようにまろの手が擦るスピードを速めていった。
じわりと先端が濡れそぼっていく感覚が走る。
それを自覚すると共に、絶頂まで昇りつめる道がいつもよりも遠くないことを予感した。
…あの高校生2人に当てられたかな。
純粋な想いと関係性への羨ましさみたいなものが、それに比例するかのように今目の前にいる男への想いを増幅させる。
「まろ…っ」
再び名前を呼んだ瞬間、まろが下着の中に直に手を差し入れてきた。
頭と体のどこかがそれを待ち望んでいたかのように、ぶるりと震えた気がする。
「ないこ」
手の速度は緩めないまま、まろは俺のモノを上下に扱きながら耳打ちして呼んだ。
「好きやで」
甘く響くその声に、腰が意図しないうちに更に上へと持ち上がる。
「……っ」
声にならない言葉を飲み込みながら、俺はその凝り固まった欲望みたいなものをまろの手の中へと勢いよく吐き出した。
「…んー?」
シャワーを浴びて髪をタオルで拭きながら、小さく首を傾げて唸った。
そんな俺を、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出していたまろが振り返る。
「なに、どしたん?」
ボトルの蓋を開けて一口飲み、尋ね返してきた。
そしてそのままソファまで歩いて来たあいつが持つボトルに、俺は無言で手を伸ばす。
受け取ったそれに口をつけ、勢いよく喉に流し込むと冷たい水が体内の熱を急速に冷ましていく気がした。
「…なんか…肝心なこと忘れてる気がするんだよな…」
首を捻る俺の肩から、まろは当たり前のようにタオルを手に取る。
ボトルを奪われた代わりのつもりなのか、手にしたそれでまだ濡れたままの俺の髪をわしゃわしゃと拭き始めた。
「肝心なこと?」
「そう…なんだっけな…なんかこう、この辺に引っかかってる感じ」
喉の辺りをとんとんと指さして言うけれど、まろも思い当たることはないらしい。
「ふぅん?」と訝し気に目を細めたまま、タオルを動かす手の勢いを少し強める。
されるがままに身を委ねていると、頭につられるようにして体もぐらぐらと揺れる。
「……あぁ!」
やがてまろが、大きな声を上げた。
なんだようっさいな、と言わんばかりに眉を寄せ、頭上に被せられたタオルの下から目を覗かせてる。
すると見上げたあいつは、部屋の隅のとある一点を見据えていた。
それから「……あれちゃう?」と顎でそちらを指し示す。
その視線の先を追うと、そこには紙袋が2つ並んでいた。
俺が前に服を買ったときのブランドのショッパーだ。
今その袋の中身は、もちろん俺の服ではない。
「あー!!!!そう!あれだ!!!」
休日らしく外に出かけるからと、あの2人を俺の服に着替えさせた。
元々着ていたあいつらの制服を丁寧に畳んでそこに入れておいたんだっけ。
「…あいつら…月曜から学校行くときどうすんだろ……」
「んはは、まぁ何とかなるんちゃう? 私立って言うとったし、サブの制服とか持ってないんかな」
最後にもう一度着替えさせればよかった。
それかあのショッパーごと持たせておけばよかった。
そう思ったけれど、まろは苦笑いを浮かべながらも楽観的に答えてみせた。
「まぁ、そのうちまた会うこともあるかもしれんし」
何の根拠もないその言葉だったけれど、…そう、確かにその可能性もないわけじゃない。
無人も言っていたっけ。
2つの世界がまた交わるなんて、本当は世界の理としては許されないことなのかもしれない。
だけど…たとえ、そうだとしても。
「また…、いつか」
あの2人に会える日が訪れる、そんな未来を望まずにはいられない。
その日が来たとき、少しは成長した2人が見られるんだろうか。
猫宮はもう少し素直に愛情表現ができるようになっていて、無人は…と考えかけて、不意にやめた。
あいつはあのあざとさ全開のまま大人になりそうだ。
答えのないそんな想像をしては、思わず笑みが漏れる。
いつかまた会える日を願うくらいなら許されるだろう…と、祈るようにそっと胸の内で呟いた。
コメント
7件
桃さんも乾さんも考えることは似ているのですね…✨✨ 夢みたいで夢じゃない……最初から最後まで最高すぎました💕 まさかの忘れていたものが制服だなんて予想もしていませんでしたが…ꉂ🤭︎💕 どこまでも想像の斜め上を行くので尊敬でしかないです😭😭 最後まで楽しませてもらいました…大好きですー!!🙌🏻︎💕
とても素敵な作品ありがとうございます😭 良すぎて♡いっぱい押しちゃってました( ´∀`) 次の作品も楽しみです!☺️😘
最終回!!制服、、、忘れたのか、、、大丈夫かな、、wまぁ、、無事に戻れたからよしw 向こうの世界ではどうしてるんだろう、、?🤔