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その瞬間、サリアは激怒した。
関係もない、孫のアリンを傷付けた。それがサリアの怒りを深く抉った。
『…シウル、貴方はそんな人だったの?』
そして、サリアはその呪いにさらに呪いをかけたのだ。
『貴方が使ったその魔法は作り物でありながら古代の禁忌の魔法。貴方にしか解けない。だけど、その魔法に上乗せするのはお手のものよ』
それからまたアリンの傷は青色から橙色へと変わり、『これはね、アリンを殺せない呪い。貴方への呪いよ』とサリアは言った。
そうしてまた、シウルは怒りに頭を狂わした。
『お前…どこまで俺に失望させる気だ』
目線は下を向き、サリアの方を見ようともしない。サリアはまた魔法を使うだろうと思い、全てのものに結界を張った。地球の全てに。
ここまでの結界は今まで彼女自身、張ったこと使ったことはなかった。だけど、彼女は何十年ものの間1度も魔法を使わず生きてきたのだから、ここまでの魔法が使えるほどの魔力が蓄積されていて当然だった。
『別に貴方に失望させる気なんてさらさらない。私を苦しめたいのなら、私を拷問すればいいわ。もし、私に勝てるのならね』
『お前はずっと、その力を俺に隠してきた。魔法が使えることは察してたさ。あの場所に住んでいるのは“そういう”人間だけだったから。だけど、お前が…神をも世界を狂わす聖罪の魔族だったとは知らなかった。そしてその中でトップを取ったということも。どうして…なんだ。どうして俺の前から離れていく?消えていく?隠し事をするんだ』段々とシウルは怒りが鎮まり代わりに激しい悲しみと喪失感に襲われ、涙を流し始めた。
『…それは、私はこの力が好きじゃなかった。利用されるの繰り返しばかりで、縛られて生きてきた。自由がなかった。だからこんな立場私は捨てたいって思った。それには魔力が消えればよかったんだけど、消えるわけもなくただひたすらに無限に沢山の魔力が身体の中に埋められていった。そしていつしか私は我慢と怒りが爆発してしまった。でもそんな時、貴方シウルを見た時、一瞬時間を忘れたかのように落ち着くことができた。それから貴方には素でいたいと思ってわざと魔法を隠してシウルと一緒にいた』
サリアはその時初めてシウルが泣いているのを見た。そして罪悪感が生まれた。
あの時、私がずっと待っていれば───。
でも、もう遅い。ならば、
『とりあえず、話はこれだけよ。じゃあさようなら。今までありがとうシウル』
そうして、サリアは一方的に別れを告げ、孫の元へと姿を消し、シウルを本当の世界へと返還した。
それから、5年後。
サリアは死ぬことを決意した。
いや言い方があれだ。
そう、サリアは全ての力を使い果たし、守りたいものが出来たのだ。魔力を全て使ってまでの。
それが何か。迷わずともそれは孫のアリン。
シウルがそう簡単に諦めるはずがない。
命の保証はない。もちろん、この地球という世界の保証も…。そうして、サリアは時計を作った。
それが、アリンの持つその“シウル”だっ─────。