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月乃水萌さんのお話ほんとうに最高すぎます😊お互いが大切すぎて考えて行動下結果がすれ違ってしまったなんて,,,, でもシンちゃんも湊さんもお互いが大切に想ってるからなんだろうなぁって思いました💕 湊さんはシンちゃんのこと大好きですね♡♡
わああああ🫣🫣 好きです!!!😍😍
どんな時でも、お互いがお互いのことを思ってとった行動が裏目に出て、すれ違いが起きちゃうんですよね... でも、そんな所もシンみならしいって思うし、それぐらい大切に想ってるんだなって感じます☺️
「湊さん……俺のこと…避けてます……?」
始めての夜以来、湊はシンと一緒に寝る事を拒んでいた。
何かと理由をつけてはシンを避けるようにそそくさと1人で部屋に入ってしまう。
やっと恋人として結ばれたのに…シンは内心複雑な思いでいっぱいだった。
それでも、湊が嫌がることはしたくないと今日まで我慢してきた。
でも、それももう限界だった。
「…そんなこと……」
濁す湊の言葉がもどかしい。
「俺達…付き合っているんですよね?一緒に暮らしているのに、まだ一度きりなんて…俺の事好きじゃないんですか?」
つい、詰め寄って攻め立ててしまう。
「……」
湊は黙って俯き困った顔をした。
「どうして何も言ってくれないんですか……?俺そんなに……下手…でした……?」
「ちげぇよ……」
湊は眉を寄せシンを見上げ急いで否定した。
覗き込むシンの目と合わせるのを避けるように再び俯く。
そんな湊の姿ですらシンには愛しいと感じてしまう。
湊の頬に触れ顔を上げさせ無理に目をあわせ真剣な眼差しでもう一度、湊に問う。
「俺のこと好きですか…?」
確認したい。
湊の口から直接聞きたい。
爆発しそうな想いが湊をまた困らせてしまっているなんてわかってる。
でも…止められるわけがない。
「……き……だよ……」
耳を澄ませなければ聞こえないほど小さな声で湊が言った。
「…え…?……」
聞き返してくるシンに照れながら「だから…」そう言ってまた目をそらし
「好きだよ…お前のこと…」
今度ははっきりと言ってくれた。
思わずシンに笑みがこぼれる。
「俺も…」
そう言って湊を引き寄せ
「好きです…湊さん」
囁き抱きしめた。
「ちょ…ちょっと待て…」
シンの腕からもがき逃げようとする湊の手をシンが掴む。
「どうして逃げようとするんですか?たった今、お互いの気持ちを確かめ合ったばかりじゃないですか?」
「焦んな、ばか…。それとこれとは話が違うんだよ…」
「なにが違うって言うんですか?」
「…ったく思春期は……これだから……」
「また子供扱いですか?」
「……そうだよ………お前はガキで…学生で…だから俺なんかに現(うつつ)を抜かしてる場合じゃないだろ……?」
「俺の原動力はいつだってアンタだよ。アンタがいるから俺は頑張れる…だから湊さん……俺のこと避けないでください」
「…避けてたわけじゃ…ない…」
「だったら今から一緒に寝てくれますか?」
「…いっ…今から!?」
「はい。今から」
「………それは…だめ…」
「やっぱり避けているじゃないですかっ」
「避けてねぇって…」
「なら毎日一緒に寝ても良いですよね?俺達付き合っているんだし」
「毎日!?……それは絶対にだめっ……」
「どうしてっ」
「どうしてって………」
「避けてるわけでも、嫌いなわけでもないなら…」
「俺がっ……」
そう言いかけて湊はやめた。
「え……?」
「……いや…なんでもない…」
「俺はいつだって湊さんに触れていたいし、一緒にいたい…」
「だからそれは…だめ…だって……」
「なんでですか……?」
なんでって…そう言いながら湊の目が泳ぐ。
「ほ…ほらっ。……お前のご両親に申し訳がない…」
「どうしてそこで両親が出てくるんですか?俺はもう大人です。親は関係ない」
「関係ないわけないだろっ…俺達のこと認めてくれたのに…それだけでも俺は有り難いって思ってる。なのにもし…お前の成績が落ちたりしたら…合わせる顔がない…」
「そんな理由で…?」
湊が避けるようにしていた理由がわかってシンは少しだけほっとした。
「そんな理由って。大切なことだろ…」
成人したとはいえ、シンはまだ学生だ。バイトをしてはいるが自立しているわけではないので少なからず親からの支援を受けている。そんなシンと付き合っている自分にもシンの将来を担う責任があると湊は考えていた。
「それなら大丈夫です。俺、湊さんと一緒に暮らすようになってから成績上がったんですよ。きっと湊さんが近くにいてくれるお陰だと思います。だから…頑張れるようにもっと近くにいたい。湊さんに触れていたい…それでもまだだめですか?」
拒否する理由が無くなった。しっかり者のシンは着実に成果を残している。
当然だ。努力している姿を間近で見て知っていた。なのに、そんな分かりきった理由をこじつけて、避けていたのには他にも理由があった。
湊を見るシンの瞳は相変わらず真っ直ぐで湊の本心を見抜いてきそうな目をしていた。
一歩も引く気のないシンに半ばヤケクソになって
「……もぅっ!知らねぇからなっ。覚悟できてるんだろうなっ」
「望むところです」
「わかったっ!じゃあ、枕持って今すぐ部屋に来いっ」
つい言ってしまった…。
そして、言った後で頭を抱えた。
※※※
初めての夜のように向かい合いベッドに座る。
手を伸ばし湊の頬に触れると、ビクッと湊の身体が跳ねた。
きつく目を閉じ硬直している湊の様子はシンを拒んでいるように感じて
「俺に触られるの…嫌ですか……?」
聞かずにはいられなかった。
湊は目を閉じたまま首を左右に振る。
「…ごめん」
「どうしたんですか……?」
急に湊に謝られ困惑する。
「……シン…ごめん…」
「やっぱり嫌……ですか?」
「…そうじゃなくて………」
初めて交わり合ったあの日。湊は今まで感じたことがない喜びと幸福感で溢れていた。
壊れ物を扱うように優しく、そっと…シンは湊に触れた。湊が声を荒げる度に…顔が歪む度に心配そうに湊を気遣うその優しさに泣きそうになるのを必死で堪えた。
シンが触れる度に火照る身体と高鳴る鼓動全てが、シンを好きだと叫んでいた。
頭の中がシンでいっぱいで、胸が痛いほどシンが好きで、身体がシンを求めてしまう。
次の日から自分の気持ちを抑えるのに必死だった。触れたい気持ちと、触れられたい気持ちが激しく打ち付ける雨の如く次々と降りそそいでくる。
次、また抱かれたらきっと…
「あんなに優しく触れられたら、もっと…って求めてちまう…お前を離したくねぇって思っちまう…だから…」
「だから俺を避けていたんですか?」
「あぁ…そうだよ……」
アラサーの自分が10も離れた年下に骨抜きにされたなんてみっともなくて認めるのが怖かった。シンに自分の気持ちを伝えればきっとシンは何よりも優先して湊の想いに迷わず応えてくれるだろう。それが1番怖かった。
「ホント情けねぇ…」
苦笑しながら小さく呟く。
「俺は嬉しいです。湊さんがそんな風に俺を思ってくれていたことが…すごく…」
覚悟を決めた湊は絞り出すようにゆっくりと話し始めた。
「俺は…お前を離したくない。もっと傍でお前に触れていたい。でも、それではいけないって…気持ちを抑えていた。だから避けるような態度とっちまってた…」
「……」
「お前の将来を大切にしたい。なんて自分勝手に思って…結果、俺がとった行動がお前を苦しめていたのだとしたら……本末転倒だな…」
抑えていた気持ちを吐き出した。
黙って聞いていたシンが口を開く。
「湊さん…俺のこと好き?」
「……好きだよ…何度も言わせんな…」
「俺のこと独り占めしたいくらい?」
「………あぁ…」
「俺もアンタを独り占めしたい。ずっと俺だけのもんにしたい」
「……」
「もっと俺を求めて欲しい。もっと俺だけを見て欲しい。もっと……。もっと俺を好きになって欲しい…」
真っ直ぐ見つめるシンの瞳から目が離せない。
「これ以上お前を好きになったら…どうなるか………それでも知らねぇぞ…」
「どんな湊さんでも受け止める自身はあります」
その言葉に嘘偽りがないことを湊はわかっていた。わかっているのに…
「お前は本当の俺を知らないからそんなことが言えるんだ…」
突き放すような言い方をしてしまう。
「だったら教えてください。もっとアンタのことが知りたい。俺の知らない湊晃の全てを俺だけに見せて…」
何を言ってもこいつは引かないだろう。
もう誤魔化しは効かない。
シンにしか見せない自分は、年上なのに…年下のこいつに恋焦がれた1人のちっぽけで情けない人間の姿かもしれない。
それでも…シンならその全てを受け入れてくれるだろう。
「…シン………」
引き寄せられるように互いの唇が重なると 閉じ込めたはずの想いの施錠が一気に外れる音がした。
シンの未来を考える余裕なんてもうない。
今、目の前にいるシンに触れたい。
「好きだよ…シン…誰よりも…」
【あとがき】
久しぶりに時間があったので、ちょっとだけ長めのお話書いてみました♪
やっぱり、シンみなのやりとりが好きです♡
それでは、また…。
2025.4.13
月乃水萌