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見返りを求める愛じゃなくて、本当にただただ愛する気持ちだけなんだもんねー!若井に伝わってホントに良かった!
エピローグ:新しいルーティーンは、愛の確認
涼架side
若井との関係が恋人になってから、約一ヶ月。
僕たちのルーティーンは、着実に変化していた。練習後、僕たちは変わらずいちごミルクを二本並べるけど、それはもはや「心の安全地帯」を探すためではない。
ただの、「僕たちの好きな味」になった。
そして、最も大切で、甘い新しいルーティーンが加わった。
その日も、スタジオの片付けが終わると、元貴はさっさと帰ってしまった。
「もう二人で勝手にやってて」と言わんばかりに。
僕がキーボードに布をかけ終わると、若井が僕の隣に寄り添ってきた。
彼の顔は、いつもの練習後の疲労感ではなく、これから始まる「お楽しみ」への期待に満ちている。
「ねぇ、涼ちゃん。準備はいい?」
「なんの準備かな?」
僕はわざととぼけて、彼の顔を見上げる。
「決まってるじゃん。今日の『無条件の愛の証明』の準備だよ」
若井はそう言って、僕の腰に手を回し、自分の方に引き寄せた。
「あのね、若井。前はいちごミルクで満足してたのに、今はキスじゃないとダメになったの?」
「ダメだよ。いちごミルクは、確かに甘い。でも、あれは『リセットボタン』だったんだ。俺だけの一方的な甘え」
彼は僕の耳元で囁く。
「でも、キスは違うでしょ。涼ちゃんの愛情がダイレクトに伝わる。俺がどれだけ涼ちゃんに愛されてるか、再確認するための、最高のルーティーンなんだよ」
彼の言葉が正しくて、僕は思わず笑ってしまう。若井の熱と僕への想いが直接伝わるキスの甘さには、もう抗えない。
「そうだね。若井の愛情ほど甘いものはないよ」
僕がそう言うと、若井は満足そうに微笑み、キスを始めた。
深く、長く、練習で熱くなった体をさらに熱くするようなキス。
彼の唇が僕の唇を優しく辿るたび、彼の「無条件の愛を受け入れた」という確信が、僕の心を満たしていく。
「ん……若井、ここ、スタジオだよ」
わずかに息を離した瞬間、僕は囁く。
「誰もいないじゃん。それに、俺が不安で逃げ回った時、涼ちゃんが言ってくれたこと、覚えてるよ」
若井はいたずらっぽい瞳で僕を見つめ返す。
「『若井が何者であっても、僕の気持ちは変わらない』って。だから、俺がここで涼ちゃんにキスを求めても、涼ちゃんは逃げないって知ってる」
「…ずるいな、本当に」
「涼ちゃんに教えられたんだよ。逃げずに、求めることをね」
若井はそう言うと、僕の腰を抱き直し、再び甘いキスを始めた。
さっきよりも少し強引に、でも優しさを失わない彼のキスに、僕の思考は完全に停止する。
僕の不安も、若井の不安も、すべてがこの甘さの中で溶けて消えていく。
しばらくして、若井は額と額を合わせたまま、息を整えた。
「はぁ…これで、1日の不安が全部消えた。充電完了」
「もう、若井は本当に僕の愛がないとダメなんだから」
「ダメだよ。涼ちゃんは、俺にとっての酸素であり、いちごミルクであり、そして最高の恋人なんだから」
若井はそう言って、僕の唇にチュッと音を立ててキスをした。
「さて、じゃあ帰るか。明日も、このルーティン、よろしくね?」
「もちろん。僕の充電も、若井のキスじゃないと完了しないから」
僕たちは笑い合い、手を繋いでスタジオを出た。
僕たちの新しいルーティーンは、誰にも邪魔されない、愛情という名の世界一甘いルーティーンとなったのだ。
次回予告
[番外編:ブラックの苦さといちごミルクの救済]
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ここまで読んでいただきありがとうございました♪
番外編もお楽しみに!