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ゆの
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第2章:視界の独占「ねえ、仁花ちゃん。今日の昼休み、またバレー部以外のやつと話してたよね」
翌日の昼下がり。誰もいない用具室の薄暗い空間に、ガチャンと冷たい扉の閉まる音が響いた。中には、日向と谷地。
外の喧騒が嘘のように遮断された密室で、日向は腕組みをしながらじっと谷地を見つめていた。
「み、見てたの……?」
谷地は青ざめた顔で、持っていたプリントの束をぎゅっと胸に抱きしめた。
「見てたよ、ずっとね。クラスの男子が仁花ちゃんにプリントを渡すとき、やけに馴れ馴れしく笑いかけてたじゃん。あんなやつ、無視すればいいのに。どうして笑い返したりするの? 俺以外の前であんな顔、しないでよ」
「そんなの……クラスメイトだし、普通に挨拶されたから……」
「普通? 普通ってなに? 俺以外の男と仲良くすることが普通なの? 違うでしょ。仁花ちゃんの視界に入るのは、俺だけでいいの。他の男の顔なんて覚える必要ないよ。ねえ、わかった?」
日向はそう言うと、谷地の顎をキュッと強い力で掴み、無理やり自分の方を向かせた。
拒絶しようと首を振るが、日向の指は万力のようにビクともしない。
彼の目は血走ってはいないものの、どこか狂気を孕んだ濁りのない黒い瞳で、谷地の恐怖心をじっとりと抉ってくる。
「分かったって、言ってよ。仁花ちゃん」
「……わ、かった……から……」
「いい子だ。じゃあさ、約束の証として、これをつけて」
日向がポケットから取り出したのは、安物の、しかし不気味に黒光りするミサンガだった。
無理やり谷地の細い手首に巻き付け、きつく、ほどけないように固く結びつける。
「これ、絶対に外しちゃダメだよ。お風呂でも、寝るときでも、ずっとね。もし外してるところを見つけたら……そのときは、もっとひどいこと、しちゃうかもしれないな」
脅しともつかない低い声で囁かれ、谷地は涙を堪えるのに必死だった。
手首に食い込む黒い紐が、まるで自分を雁字ルメにする鎖のように感じられて、息が詰まりそうだった。
誰も助けてくれない。この部室から出たら、またあの笑顔の裏に隠された絶望的な執着が自分を追いかけてくるのだ。
コメント
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読了しました。ああ、この回は本当に胸が苦しくなりました……。用具室という密室、外の喧騒が遮断された空間で繰り広げられる日向くんの「独占欲」が、静かでいて強烈に描かれていて。特に「他の男の顔なんて覚える必要ないよ」という台詞の裏にある、歪んだ愛情の形が怖くて切ないです。黒いミサンガが「鎖」に感じられるという谷地さんの視点が、読んでいるこちらにもじわじわと伝わってきて、息が詰まるような感覚になりました。次の展開が気になります……!