テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
そのままシオンの後を追う形でシオンの家へ向かうが、どういう訳かシオンはミアレシティを出る
「お前、ミアレの外から来とんか?」
「違いますよ〜!」
「じゃあなんでこんなとこでたんや」
「だから家に向かってるんですよー」
「は?」
疑問に思いながらもシオンの後を追いとある洞窟の中へ入る
さると暗闇の奥から〖グルル……〗とドラゴンタイプらしきポケモンの唸り声が聞こえる
「お前!ここ野生ポケモンかなんかおる──」
「ん〜?大丈夫ですよ〜」
そう言って少し奥に入ると、赤い炎が見えたと思いモンスターボールを手に構えるが奥から現れたのは色違いのリザードンだった
リザードンはシオンを見るなり嬉しそうに近寄り頭を擦り寄せ、シオンに甘える
「なんや此奴もお前のポケモンか」
「いや、捕まえてはないですよ。」
「は!?」
「この子は───」
驚くカラスバに対し、シオンは笑いながらリザードンのことを説明する
リザードンとは、野宿の為この洞窟に入った際洞窟の中で弱っている当時ヒトカゲだったリザードンを発見し、手当したことで出会ったらしい
それ以降、この洞窟に住み着きシオンがいない間は野生ポケモンが来ないよう洞窟を守っていたという
「(しかしヒトカゲからバトル無しで、リザードンになったって事は…この洞窟を守る為に色々戦ったんやろな……)」
シオンの前で甘えているリザードンだが、見かけによらずかなり強いことが安易に予想できる
「お前、ここにずっと住んどんか」
「うーん、お金に余裕ないのもあるんですけど案外ここが心地よくて!
────外の景色も見れるし…」
そう笑いながら、大きな石の上に木の実やポケモンフードを出す
それらをバクバクと食べるリザードンと匂いにつられたのか先程捕まえたオンバットが出てきてポケモンフードを食べる
〖ばぎゅあ!〗
〖キュー!〗
リザードンは特に食いしん坊なのか、よく食べている
「そういやなんの仕事しとんや」
「普通にパン屋とかですよ〜」
そう笑いながら、カラスバにミアレガレットを渡すシオン
「私の事調べようたって、カラスバさんが思う様な情報は出てきませんよ」
そう言って笑いながら、職場で余ったパンだろうか少し硬そうなパンを頬張るシオン
そんなシオンが幼少の自分と重なる
「私箱入り娘だったんで、ポケモンの事もあまり教えて貰えずだったんですよね。
だからミアレに来て、ポケモンと共存していたりバトルしていたりする所を見ると素敵な所だなって思って」
「家出して来たんか」
「そうですね…家出、みたいなものですね」
そう言って何処か何かを考えているように目を伏せつつ静かに言葉を放つシオン
「というか、カラスバさんここで寝ちゃいます?私は全然大歓迎ですよ!!」
「阿呆か!!絶対変なことする気やろ!!」
静かな雰囲気を崩すすように1枚の寝袋を手にニヤニヤしながらカラスバを見つめるシオン
しかし断られ「ちぇっ、」といいながら寝袋をポイッと端に置く
「はぁ、もう帰るで。」
「は〜い!お気をつけて〜!!またいつでも来て大丈夫ですよっ!♡♡」
「一生来んわ」
「え〜!!」
そう言いつつも、笑みを浮かべながらシオンの手にダークボールを1つ渡し「ミアレガレットのお礼や」とだけ話しその場を去る
「(にしても彼奴、ますますわからんなったな……)」
リザードンの食費が酷いにしても、あんな野宿生活をする程困窮はしないはず
知れば知る程謎が深まる
『────外の景色も見れるし』
あの言葉を聞くと、シオンはかなりの箱入り娘だったのだろうか。
ポケモンに触れること無く、育てられてきたということは安易に想像できる
「ジプソ、シオンの事もう一度念入りに調査し」
「はっ」
ポケモンに対して憧れがあるのだろう
オンバットを手にした時の目の輝きよう思い出しその日は仕事を早めに終わらせ、自宅へ戻った
───次の日
「カラスバさ〜ん!!今日もカッコイイですね!」
「朝からうっさいやつやな………」
「返事してくれた!もしかして昨日の件で興味持ってくれました?」
「んなわけないやろ。けどあの後リザードンはどないしたんや。ボールあげたやろ」
「あ、お陰様で捕まえました!!」
そう言うとダークボールからリザードンを出す
するとリザードンはカラスバを見るなり嬉しそうに近寄る
「お前も主人見つけれてよかったな」
〖バキュア!!〗
リザードンを撫でるカラスバと喜ぶリザードンを見て嬉しそうに笑みを浮かべるシオン
「カラスバさんってポケモンにも優しいんですね」
「ポケモンは悪ないからな、主人を裏切らんし」
「私もカラスバさんのこと裏切りませんよ?」
そう言ってリザードンを撫でながらカラスバの方へ近づき目を細めて笑うシオン
そんなシオンに目を見開きつつ、フッと気の抜けたような笑みを浮かべたあとシオンの頭を軽く叩く
「阿呆か。お前程信用ならんやつはおらん」
「えー!!こんなにカラスバさんのこと想ってるのに〜??」
「そもそもなんで日陰もんのオレなんや。」
「顔がいいから」
「聞かんかったら良かったわ」
そういいつつも、カラスバは無意識にシオンに対し気の抜けたような笑みを浮かべていた