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「私ね、師匠に拾われるまでずっと1人だったんだ」
そう言って、千夜は話し始めた。
ザァーーーーー
雨の中、1人の狐人間…私(千夜)がボーッと立っていた。
みんな、そいつを見てはこんな事を吐いた。
「気持ち悪い」
「ここから消えてほしい」
「近づくな」
などの言葉を、私に放った。
私はそれが嫌になり、逃げる様に走ってその場から離れた。
来たのは路地裏、そこで1匹の猫を見つけた。
「にゃ〜…」
「(猫…)」
私は猫の隣に座って、猫を撫でた。
「にゃ〜」
「……こんな所に居たら、風邪ひくぞ」
なんて、人の事言えないか…
そんな事を言っていたら、ある1人の人間が来た。
「こんな所で、何してるの?」
私は、その声に気づき人間を見た。
その人間は、長い髪に黒色で、瞳はオレンジ色だった。そして服は巫女服。
私は、最初は怖かった。また何か酷い事を言われるんじゃないかって、そう思ったら、震えが止まらなかった。
「…大丈夫?」
「…え?」
その人は、持っていた傘を私の方に傾けて、雨が当たらないようにしてくれた。
「その猫、賢いんだよ!」
そう言いながら、猫を撫でた。
「にゃ〜」
「君、1人?」
「えっ…あ、えっと……」
急に言われて、少し驚いた。
「あ、私は零《れい》だよ。よろしくね!」
「よ、よろしく…?」
零はニコッと笑ってくれた。
「君の名前は?」
「……千夜。」
「千夜ね!」
どうして、この人はこんなにも優しく笑って…優しくしてくれるんだろう…
「あ、そういえばさっき聞いた事なんだけど、君1人なの?」
「…………」
私は頷いた。
「じゃあ、家来る?」
「えっ…?」
私は見開いて、目をパチパチさせた。
「君が嫌じゃければ、私の家来る?」
「……いいの?」
「もちろん」
零は、優しい笑顔で言ってくれた。
「っ………ありがとう…っ!」
私は我慢できず、泣いてしまった。
「気にしないで。じゃあ行こう!」
零は、手を差し伸べてくれた。私はその手を握った。
数十分後
零の家は、和風な屋敷だった。
「ここが……」
「ほら、上がって!」
零は玄関の扉を開けて、笑顔でそう言った。
「う、うん。」
私は、家の中に入った。
「千夜は、この部屋を使って!」
「あ、ありがとう…」
「……ねぇ」
「ん?」
部屋を去ろうとした零を、私は呼び止めた。
「どうして…そんなに優しくしてくれるの?私、醜い狐人間なのに……」
「………………………」
零は、黙って聞いてくれた。
「私は、気持ち悪いのに…私なんか、存在していなければ…!」
言っている途中に、零が私を抱きしめた。
「…!」
「そんな事ないよ」
「…え…?」
優しい声で言ってくれた。
「千夜は、醜くなんかないよ。気持ち悪くなんかないよ。存在してよかったよ。」
「…!!」
私は泣いた。ただ泣いた。
「私が、保証する。」
「うっ…うぅ…ありがとう…!」
「っていうのが、私と師匠が出会ったきっかけなんだよ」
「…ねぇ、その路地裏ってさ…」
「あぁ…麗華と、会った所と同じだよ」
「やっぱ…そうなんだ。」
「うん。じゃあ、師匠が…死んだ理由を話すね。」