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日々が過ぎ去って行き、あっという間にプールに行く日となった。
そんな大荷物ではないものの、タオルが幅を取るし、下着のパンツも入っている。
濡れた水着を入れるためのビニール袋も入っている。
リュックを背負い待ち合わせ場所に向かう。音楽を聴きながら電車に揺られる。
京央かきかいランド駅で待ち合わせだ。勝手に終点だと思って油断していた。
運良く音楽の終わりに「京央かきかいランド」というアナウンスが流れ
ちょうど耳に届いて助かった。降りる準備をして、扉前に行き、電車が止まり、扉が開いてホームに下りる。
まだ夏の暑さはあるものの、陽射しは恐らく8月がピークだった。と思う。
改札を出るとすぐに女子陣と白髪が目に入った。
音成が僕に気づき、恥ずかしげもなく手を振ってくれる。こちらが恥ずかしくなるくらいだ。
「おっすー」
「おはよう」
昼だったが「おはよう」と挨拶するのが、なぜか少し面白いなと心の中で思った。
「おはよ!」
「音成テンション高ない?」
「え?普段通りじゃない?」
「慣れただけか」
「それだ!」
「暑ノ井先輩ちっす!っす!」
「ちっすっす?」
「ちっすっす!」
「元気だねぇ〜さすが姫冬ちゃん」
姫冬ちゃんとハイタッチをする。
「妃馬さんも、おはようございます」
「おはようございます」
妃馬さんの笑顔が9月の夏の陽射しより眩しく感じる。見る限り鹿島がいない。
「もっさん、鹿島は?」
「ん、あぁ〜。どうだろ」
と言って森本さんがスマホを取り出しいじり始める。
「あ、なんか終点まで行ったっぽい。今戻ってるって。アホだなぁ〜」
「しまくんアホやなぁ〜」
「京弥はそーゆーやつだから」
僕も終点だと思っていたので、鹿島のことをアホだなぁ〜とは言えず黙って笑顔で頷く。
しばらく鹿島を待っていると、アホをしたとは思えないサングラスをかけてカッコつけた鹿島が合流した。
横断歩道を渡り、階段を上がってゴンドラのお金を払い、ゴンドラに乗っていざかきかいランドへ。
ゴンドラなんてしょっちゅう乗るものではないので
初めてではないものの、動いているゴンドラに乗るのに少し緊張したりした。
ゴンドラからは豊かな自然や野球場が目に入り
1年振りに「おぉ、プールだ」とテンションが上がってきていた。ゴンドラを降りる。
プール入場口と書かれた場所から中に入る。
当たり前だが料金を支払い、男子は男子の方で、女子は女子の方で水着に着替える。
着替えの場所でもうプールの香りがしてなぜかドキドキする。
膨らんでいない浮き輪やビーチボールを持って合流地点へ行く。
高校生はもう夏休みが終わり学校が始まっており
平日なのもあってそこまで混み合ってはいなかった。パーカーを羽織った女子陣が合流する。
妃馬さんと僕で浮き輪やビーチボールの空気を入れるための列に並び、他のみんなには場所取りをお願いした。
高校生は…恐らくいなかったが、列はそこそこ人が並んでいた。
やっと僕たちの番が来て浮き輪2つ、ビーチボールを膨らませ
僕が2つ浮き輪を胴体で持ち、妃馬さんがビーチボールを抱える。鹿島たちを探す。
匠の白髪のお陰ですぐに見つかった。
「お、わんぱく少年」
「誰がわんぱく少年だ誰が」
「浮き輪2つ装備しててそんなツッコミ…恥ずかしくないの?」
鹿島の顔が妙に腹が立ったので
妃馬さんの抱えているビーチボールをお借りして思いっきり鹿島に投げつけた。
「痛って!お!やるか!おら!」
「やってやんよ」
「やってやんよ。いいね左馬刻様ですね」
鹿島もTシャツを脱ぎ、僕もTシャツを脱ぎ
転がっていったビーチボールを拾って、プールに入った。海とは違ってちゃんと冷たかった。
「うぅっ!いいね!冷たい!プールや!」
「いいな。1年振り」
鹿島が潜った。バサッっと顔が出てきた。ツンツンの髪に水が滑る。夏の陽射しが反射し、キラリと輝く。
顔が良いお陰でドラマの夏の1シーンのようで腹が立ったので
顔面に向かってビーチボールを投げつけてあげた。
「おうっ!」
鹿島の顔にバウンドしたビーチボールがプールの水面に落ちる。
「今仕返ししたんねん!待っとれこら」
鹿島が進みづらそうにビーチボールの元へ向かう。
「来い来い!」
その後鹿島とビーチボールのぶつけ合い…になると思っていたが
気がつけばただのバレーボールになっていた。なるべく落とさないように…。
落としてしまい、パッっと匠たちのほうを見た。
「怜ちゃん、見てみ?」
「うん。見てる」
「匠ちゃん、イケすかないハーレム漫画の主人公みたい」
「それな。でもあの顔ならモテるよな」
「それな」
鹿島が匠にビーチボールを投げる。
ビーチボールは匠には当たらず、ふわっっと浮き上がって、匠の目の前に転がった。
「なんだよ」
鹿島と一緒に匠に向かって
「「来いよ」」
と挑発した。
「なんだよ」
やれやれと言ったようすで匠もTシャツを脱ぐ。すると音成や妃馬さん
姫冬ちゃんに森本さんもTシャツやらパーカーを脱ぎ一気に賑やかになった。
みんなでバレーボールをする。ただ落とさないだけ。それだけなのになぜかものすごく楽しかった。
匠の後ろのほうに飛んでいったビーチボールを後ろの女性が拾ってくれて匠に渡して
匠が「ありがとうございます」と言って、こちらに歩きづらそうに歩いてくるときに
そのビーチボールを拾ってくれた女性が友達であろうもう1人の女性と
声は聞こえないが恐らく「え!めっちゃイケメンじゃなかった!?」とか
「ヤバい!髪綺麗すぎ!」とか言ってそうに顔を煌めかせていたので、なんとなく腹が立った。
鹿島もそれを見ていて腹が立ったのだろう。鹿島にパスが来たときに思いっきり匠にアタックを決めていた。
匠はもろに喰らってわざとらしく沈んでいった。浮かんできたときに
「なにすんだよ!」
と最もな疑問を鹿島にぶつけていた。
「いや、なんか女の子がキャッキャしてて腹立って」
「しょーがないだろ。イケメンは生まれつきなんだからっ!」
「っ!」の部分で僕に向かって、ビーチボールを叩いてきたので
「しょーがないだろ。イケメンは生まれつきなんだから」発言も腹が立ったので
来たビーチボールをまた匠に向かって思いっきりアタックを決めた。
また匠がもろに喰らって、わざとらしく沈んでみんなで笑った。
一旦上がって音成と匠が波のプールに行くというので妃馬さんと僕も行くことにした。
森本さんと鹿島は残ると言い、姫冬ちゃんにどうするか聞くと迷っている様子だったので
「良かったら一緒においでよ」
と誘うと満面の笑みで
「はい!」
と言って5人で波のプールへ行った。姫冬ちゃんが浮き輪に入り、その周りに音成と妃馬さんが
匠が浮き輪に入り、僕がその浮き輪に掴まる。奥から波が来てふわっっと1回浮き上がって下がる。
また波が来てふわっっと浮き上がって下がる。ただそれだけなのに楽しかった。
特になにをすることもなく、ただ人工的な波に揺られ続けて、森本さんと鹿島の元へ戻った。
「落ちてきた?」
「こないだ入れたばっかなんだけどね」
鹿島が森本さんの髪を触ってなにかを話していた。
「お、イチャついてる」
「お、帰ってきた。おかえりー」
「ただいまー。なに話してたの?」
「ん?あぁ、髪色落ちてきた?って話」
「あぁ、もっさんのインナーカラーの話?」
「そうそう。ほら。ピンクっぽくなってきてる」
「こないだ入れたばっかなんだけどなぁ〜」
「匠ちゃんは落ちないよねぇ〜」
「毎回ムラシャンみたいなのしてるからね。シャンじゃないか。コンディショナーだからムラコン?」
「聞いたことねぇ」
鹿島が笑う。
「え、小野田さんそんな毎回やってるんすか」
「そうですね。もっさんもー…たぶんこないだって言っても1週間くらい前でしょ?色入れたの」
「そー…ですね。よくおわかりで」
「まあ、もっさん地毛がそんな黒くないから
そんなブリーチしてないでしょうからそんな髪も傷んでないと思うんですがけど
やっぱ色の持ちはそんな長くないんでね。だいたいそれくらいかな」
「美容師さん?」
「いや、まあ美容師目指そうかなぁ〜なんて思ったときもありましたけどね」
「おぉ」
「でもやっぱ漫画家なりてぇなって。あ、そうだ。
オレの髪切ってもらってる美容室で色長持ちするシャンプーとか売ってますよ」
「マジっすか!教えて」
「じゃLIMEで送りますわ」
「近いっすか?その美容院」
「はい。たぶんもっさんのほうが近いんじゃないかな。七幡山駅の近くなんで」
「おぉ、なら近くだ」
そんな話を聞きながら、別の話もして、しばらくして森本さんと鹿島が波のプールに行くと言って
浮き輪を持って波のプールのほうへ向かった。僕たちはレジャーシートの上に座って話した。
音成、妃馬さん、姫冬ちゃん、森本さんがナンパされたときの話。
もしかしたら同じ日に鹿島とプール行っていたかも。とか匠の髪が綺麗な話などをしていると
森本さんと鹿島が戻ってきたのでみんなでスライダーに行くことにした。
有料のほうの大きな浮き輪のようなゴムボードに乗って下るタイプのほうに並んだ。
僕たちは7人だったので音成、森本さん、鹿島、匠の4人と
妃馬さん、姫冬ちゃん、僕の3人でわかれた。先に音成たち4人組が下る。
「いってきまっす!」
「いってきー…マッスルマッスルぅ〜!ハッスルハッスルぅ〜!」
「匠ちゃん恥ずかしくないん?」
「全然?好きな子のギャグだから」
「5男」
「正解」
そんな変な会話をして音成たち4人が僕たち3人に手を振って滑っていった。
「ふぅー!」や「キャー!」が聞こえる。みんなの楽しんでいる顔が手に取るようにわかった。
しばらくすると係りの方が僕たちの乗るゴムボードを用意してくれる。
「ではどうぞ」
と言われ、まずは姫冬ちゃん、次に妃馬さん、そして僕が乗り込む。
ゴムボードに足を踏み入れると少し沈むような、でもちゃんとゴムの張りがあって歩きづらい。
僕が歩くと妃馬さんも姫冬ちゃんも揺れる。僕が座る位置に行き腰を下ろす。取手が付いていてそこに掴まる。
「それでは行きまーす」
係りの方が手を離す。するとゆっくりと滑っていく。
ゴムボール自体もゆっくりと回転し、徐々にスピードを増していく。
風を切るほどのスピードではないものの、絶妙なスピードで
さらにはみ出すことはないんだろうが
流しそうめんの竹のようになっている部分からはみ出してしまうのではないか
そんな恐怖も少しあってスリルは充分。回転して落ちるところなんて
シルフィーランドにでも来たのではないかというほど楽しいものだった。
目の前の2人、妃馬さんも姫冬ちゃんも「キャー!」と叫びながらも表情は楽しいそれだった。
屋根のついた筒状の部分を通っていよいよゴール。激しい揺れからだんだん揺れが落ち着き
ゴムボードから降りて、妃馬さんと姫冬ちゃんが降りるのをアシストして
全員で「楽しかったね」とか「結構怖かった」など話しながら
今度は生身のウォータースライダーの列に並ぶ。
かきかいランドのウォータースライダーは2本あり、長い方に自然と並んだ。
生身で滑る方は無料とだけあってそこそこの人数が並んでいた。
並んでいるときもなんでもない話をし盛り上がった。
長らく待って渋滞のように少し進んで止まってまた進んでを繰り返し
階段を上っていざ階段の終わり、ウォータースライダーの始まりの場所に辿り着いた。
「待って。高くね?」
鹿島は高所恐怖症で先程のゴムボードのときも、階段をある程度上っているときから怖がっていた。
「慣れろよ。一昨年も去年も滑ったろ」
「慣れない慣れない。うちのマンションも怖いもん」
「でも京弥旅行のとき、ふつーにベランダで外見てなかった?」
「いや、あんときは、なんてーの?「自然」だったじゃん」
「自然?ほお」
「なんてーの?高さを比較するものがないじゃん?人も歩いてなかったし、あの時間」
「あぁ、他の建物とか?」
「そうそう。こことかあとマンションとか「現実感」が強すぎて無理無理無理」
「無理無理無理無理ノーセンキュー?」
「そうそう。ノーセンキュー」
「マモ様ね」
音成が滑り、森本さんが滑り、姫冬ちゃん、妃馬さんが滑っていった。
「オレのー番ー」
匠がノリノリで発車口へ行って
「いってきー…マッスルマッスルぅ〜!ハッスルハッスルぅ〜!」
たしかに恥ずかしくないのかな?と思うようなことを言って消えていった。
「はい。次鹿島」
「あぁ〜…高い…」
「いってこい」
背中を軽く叩く。
「あぁ!やめて!押さないで!怖い!」
「押してない押してない」
つい笑ってしまった。鹿島がビビりながらスタンバイして
「じゃ、いってくる」
「おう、いってら」
鹿島が座った体勢から寝転がる。すうぅ〜っと流れていった。
流れていったら流れていったで「ふぅー!」という声が聞こえてきたので
楽しんでいるんだろうと思った。そして僕の番。水がザーザー流れているところに座る。
足の背中側に水が流れていって、くすぐったくはないのだが
どこかくすぐったいような気持ち良いような。僕は高所恐怖症ではないがここに座るとドキドキして少し怖い。
意を決めてお尻を少し前に出し、仰向けに寝転がる。
すうぅ〜っと滑らかに、徐々に流されていく。段々とスピード感が増していき
かと思ったらカーブで少し落ち着き、でも水のお陰でそこまでスピードは落ちることなく
滑らかにカーブを幾度も曲がり、長いようであっという間にザバァ〜ン!
と出口、受け口のプールに流れ落ちた。顔を上げ、顔を振る。
髪についた水たちが飛んでいくのがわかる。顔を上げたまま平泳ぎで陸地へ。
みんなでレジャーシートのある部分へ戻る。
「いやぁ〜楽しかったぁ〜!」
「京弥滑るまで怖がってたのにね」
「ね」
「滑ってしまえばこっちのもんよ」
「バンジージャンプと同じか」
「そうそう」
「じゃ今度バンジーね」
「あ、それはマジで勘弁してください」
全員で笑った。その後流れるプールへ行き、女子陣は姫冬ちゃんが浮き輪に入り
その周りに音成、妃馬さん、森本さんが掴まっている。そして僕ら男子陣は匠が浮き輪に入り
鹿島と僕が周りに掴まり、流れに身を任せ、ただ流れていく。
音成、妃馬さん、姫冬ちゃん、森本さんは流されながら笑顔で楽しそうに会話をしていたが
僕たち男子陣3人はそれぞれの大切な彼女、僕に至っては大切な彼女の妃馬さんの大切な妹の姫冬ちゃんにも
変な男が寄り付かないか、触るなんてもっての外
エロい目で見るやつがいないか睨みを利かせていた。1周、2周して上がった。
気がつけばもう陽は落ちかけていて、着替えてゴンドラに乗って駅前に着く頃にはもう夕暮れになっていた。
プール後特有の怠さに襲われて恐らく全員電車の揺れの中眠っていた。
森本さんと鹿島以外は永大前で降り、乗り換えを行った。
匠も僕と一緒に音成と妃馬さん、姫冬ちゃんを家まで送った。
音成に手を振り、妃馬さん、姫冬ちゃんを数メートル送る。
「小野田先輩髪パキパキだー」
「そうなんよ。触ってみる?」
「いいんですか!」
「そんな?いいよ」
姫冬ちゃんが匠の髪を触る。
「おぉ〜!人形の髪みたい」
「それ担当の美容師さんにも言われた」
姫冬ちゃんと匠が笑う。
「妃馬さんて染めてるんでしたよね?」
妃馬さんがこちらを向く。
「あ、はい。染めてます」
「それってブリーチしてから色入れてるんですか?」
「そうですね。美容院で1回?ブリーチしてから色入れてもらいました」
「怜夢よ。色ってのはな、抜かないと入れられないのだよ」
「なんか博士入ってきた」
「博士」
妃馬さんが笑う。
「なるほどな」
「怜夢、染めなかったもんな。ブリーチしたとき」
「そーだね。金髪からの黒染めして真っ黒。不自然なほど黒かったわ」
「冬休み前くらいには茶髪になってたよな」
「お前もな?」
匠と2人で笑った。
「姫冬ちゃんはー。ミルクティー色かな?」
「おぉ!小野田先輩すご!正解です!」
「おぉ、やったぜ」
「似合ってます?」
「うん。似合ってると思うよ」
「ほんとは真っピンクとかにしたいんですけど」
と言って姫冬ちゃんがジーっと妃馬さんを見る。
「妃馬さんがどうかした?」
「お姉ちゃんが」
「うちの両親、ピアスもそんなに…否定はしないと思うんですけど
開けるってなるといい顔しないと思うので、真っピンクなんてしたら…」
「あぁ」
「小野田先輩はご両親に何か言われなかったんですか?ピアスとか髪色とか」
「んー。いや別に。まあ驚いてはいたね。「開けたねぇ〜」とか
「派手な色にしたねぇ〜」とか。でもそんくらい」
「いいですねー」
「うちの母ならたぶん苦笑いですね」
「じゃあダメだ。姫冬ちゃん我慢だね」
「うぇ〜ん」
「でも似合ってるし、いいじゃん」
「まあぁ〜。小野田先輩のお墨付きならいっか」
「いいんじゃない?」
根津家の入っているマンションのエントランス前に着き
「じゃ、妃馬さんも姫冬ちゃんもまた」
「小野田先輩、暑ノ井先輩、今日超ーー…楽しかったです!またどっか連れてってください!」
「おう」
「またみんなで遊ぼうねぇ〜」
「いえい!」
「いえい」
「いえい」
パチン!姫冬ちゃんが匠と僕にハイタッチする。
「妃馬さんまた、後でLIMEでも」
「はい。また、後でLIMEでも」
「姫冬ちゃんもまたね」
2人に手を振って匠と帰る。
「来年…就活?」
「うえっ。吐きそう」
「ま、オレはしないけど」
「できない、の間違えだろ」
「そーともゆー」
「来年か…。オレも卒業できるかなぁ〜」
「オレは無理だな〜」
「てかなんで急に来年のこと?」
「いや、来年もプール行きたいねーって言おうとして、来年…来年…あぁオレら4年じゃんって思って」
「あぁ〜…。来年。プール行けるかな」
「行こうと思えば」
「オレらバカどもはいいけど、音成とか妃馬さんとかまともだろ」
「まあ、そうだよなぁ〜」
見たくもない現実を垣間見て、匠もそんな現実を見たくないのか
しばらく2人無言で歩いた。そして匠ともわかれて自分の家への帰路を歩く。
プール後特有の怠さで家までの道も遠く、時間がかかったような気がした。
家の扉を開き、水着をお風呂へ投げ、手洗いうがいを済ませ、部屋に戻り、部屋着へ着替える。
Tシャツと下着のパンツを持って1階へ下りる。Tシャツと下着のパンツを洗濯籠へ放り、リビングへ。
「また焼けた?」
など母や妹に言われ、父は帰りが遅いらしく、母と妹と3人で夜ご飯を食べた。
夜ご飯を食べ終えた頃に父が帰宅し、僕はお風呂を作りにいった。
お風呂ができるまでリビングのソファーで寛ぐ。
スマホのロックを解除し、音成、妃馬さん、姫冬ちゃん、森本さん
鹿島、匠、僕の7人のグループLIMEに入る。
みんな「楽しかったー!」や「また行こー!」とのLIMEをしていたので僕も
「ぜひまたみんなで行きましょう」
と打って堅いかなぁ〜?などを考え、首を傾げたが他にいい文が思いつかず送信ボタンをタップした。
姫冬ちゃんが送ってくれた複数枚の写真をタップして見ていく。
つい数時間前なのに、思い出して楽しくなる。
お風呂ができた合図が聞こえ、まず妹、そして母。父の後に僕が入った。
水着は恐らく母が洗ってくれていて、もう干されていた。お風呂から出て、リビングに戻って
自分のグラスに四ツ葉サイダーを氷入りで注いで部屋に戻った。
グラスをローテーブルに置きテレビをつけて寝転がった。
すると睡魔という名の悪魔が忍び寄って来ていて
僕の身体も抗うことをやめているようだと気づいたので
バッっと起き上がって、冷たい四ツ葉サイダーを飲み干して寝転がった。
すると案の定すぐに睡魔という名の悪魔に添い寝されて
誘われるまま腕の中に抱かれ、スッっと眠りに落ちた。