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ピンポン🎶と玄関のインターホンが鳴った。
「はーい」
画面に映し出されたのは、義母だった。
_____なんで?
近くまで来たから寄ったらしいけど。
「あら、雅史、圭太ちゃんと遊んでるなんていいパパさんね」
「普段なかなか相手してやれないからな、たまには遊ばないと」
「さすが、今流行りのイクメンってやつね。じゃあ心配ないのね、よかった」
「何がです?」
義母が何を言いたいのかわからず、聞き返す。
「いえね、仕事が休みの日にも、何かと用事を作って出かけてしまう夫がいるでしょ?ほら、女と遊ぶとかね」
「え?」
「なんだよ、お袋!なんの話だよ」
雅史が慌てている。
「世間ではよく聞くでしょ?そんな夫を許せなくて離婚する夫婦の話。雅史はそんな心配がなくてよかったってことよ。離婚でもされたら大変だからね。私たちの老後をみる人がいなくなってしまうんだから」
「……」
私という嫁を、自分たちの介護のための人間だと決めている義母の本心が出た。
いつかはそういうことにもなるかもしれない、でも、それはその時にちゃんと対応するつもりだったのに、最初から私のことを介護士扱いしてるなんてひどい。
私は何も答えず雅史を見た。
「そんな心配いらないって。離婚するようなことにはならないし、お袋たちのことは杏奈がちゃんとみるから。な?杏奈」
「えっ、あ……」
_____私が?私だけが?雅史は?
はいと素直に答えられない。
雅史も義母と同じように考えていたということがショックだった。
「まぁね、雅史も我が息子ながらいいとこもあるから、モテてしまうんでしょうけど。杏奈さんを泣かせるようなことはしちゃダメよ、わかった?」
_____お義母さんは私が離婚してしまわないようにしろって、雅史に言ってるんだ、自分の老後のために
「ったく!しつこいな、お袋は」
「先のことなんてわかりませんよ、もしかしたら私の方が何かの病気や怪我をしてしまうかもしれないし。そしたら雅史さん、お願いね」
どうでもいい嫌味を口にしてしまう。
でもそれは当然のことじゃないだろうか?
先のことなんてわからない。
私だって、別の誰かを本気で好きになるかもしれない。
ついさっきまで、家族が一番大事だと再確認したのに、私の心もいい加減なものだと我ながら呆れた……。