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「荒覇吐の実験が行われたのは”私のせい”なんだ。」
「それって、どういう──」動揺を隠せない中也。苦しそうに顔を顰めるヴェルレエヌ。悲しそうに笑う零。
「その前に。」そう言って義母の首を掴み腕を上げ、床に投げ捨てるが如く投げた。
「ポール兄の身体に触れようとしてんじゃねぇよ、クソババア。手前ぇの汚ぇ血で服が汚れちまってんじゃねぇか。」普段の口調とまるで違う喋り方に普通の人間なら泣きなくて泣きたくて仕方がない程の迫り来る死の気配。───殺気。
周りの人間は義母のこの発言を尊敬したいとさえおもうだろう。何故なら零の逆鱗にさらに触れると誰でもわかるような言葉を吐いたのだから────
「良いじゃない別に。減る訳でも無いんだし、何なら貴女の代わりにでもしようかし──、
そこで止まった。否、言えなかったのだ。何故ならその瞬間、声帯が”重力によって潰された”から。
誰がやった?
中也?違う────中也の異能対象は”触れている物質”のみ。義母から離れている中也には不可能だ。
ならヴェルレエヌ?それも違う──確かに触れていたが異能を発動する気なんて微塵もなかった。
なら誰?
時限式の異能ででも起こした?こんな好都合なタイミングで?不可能だ
持病か何か?違う。義母は持病なんて無かった
まず声帯を潰した正体は重力だ
この世に重力を操れるものはヴェルレエヌに中也、後あるとすれば惑星の変動くらいだろう…否違う。
もう1つある。零の異能である重力操作だ。
ならば、触れずに相手の重力を操れるというのか?そんな疑問に辿り着くであろう。
答えは───操れる。
理由?そんなの簡単だ。異能そのものが2人とは別物なのだから。
どういうことか…零は中也と同じ荒覇吐を根源とする異能。また、ヴェルレエヌと同じ魔獣ギーヴルを根源とする異能。この2つが混ざりあい、衝突したことでできた零自身の重力操作───異能力名「───その対象は触れている物質ではなく、”過去に一度でも目視したもの”である。
───ねぇ、死んで?
その瞬間──────義母は身体の至る所が刃物で寸断されたように切れ、崩れていく。床に着く前に跡形もなく、血の一滴も残らずに潰れて
────消失した。
比喩では無い。実際に消えたのだ。
散る瞬間は皆が見届けた
けど、身の前には義母が立っている。理由?簡単だ
「そうだ忘れていたよ。旦那様の異能力効果。───異能対象の人間が1度死んだ場合、対象の時間を死ぬ直前の状態まで戻す能力。まぁ、死ぬ直前に負っている傷は治療されないらしいけど。その代わり代償として自分が死ぬ。この反動が効果に対してデカ過ぎるあまりあの人は私達のような特一級危険異能者には認定されなかったが危険な異能を持つ者として、数年前から異能特務課により、拘束中だったか。子供達は親の育児放棄により孤児院に居たが買い手がついて今は普通の生活を送ってたはず。」
───つまりあの人は今頃……
「まぁ、あの人もあの人でこんな屑に惚れて異能をかけてあげちゃうなんて馬鹿可哀想よね」零はそう言って鼻で笑う。
笑う零を見て沸点を越したのか義母は言う
「そんなこと言うんだったら貴女だっておかしいじゃない!異能力は一人の人間につき一つだけってあの人が教えてくれたわ!なんで貴方はそんなに幾つも持っているの!?」声帯がまだ潰れかけているのか叫ぶ声は枯れている。
零はいつものような冷徹な目に戻りこう告げる
────それを知るのは貴女では無いし、 今でもないわ