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第9話:真実の告白:外交官の涙
登場人物
トントン:書記長
オスマン:外交官
グルッペン:WrWrd軍総統
本文
ひとらんらんからの戦慄の告白を受けたトントンは、その夜、眠れぬまま執務室でオスマンの外交記録を調べていた。彼らの裏切り行為は軍に損害を与えたが、トントンは二人を切り捨てることを躊躇していた。彼らの**「隠し事」が、どれほど重い「過去」**に繋がっているのかを知る必要があった。
午前2時。ノックもなく、静かにオスマンがトントンの執務室に入ってきた。彼の顔はやつれ、目元は赤く腫れていた。彼は、ひとらんらんがトントンに全てを話したことを知っていた。
オスマン「トントン……僕も、話したいことがあるメウ」
トントンは黙って座るように促し、温かいお茶を入れた。
トントン「……ひとらんらんが、自分の手が殺戮のために訓練されたと話した。お前も、グルッペンが言ったように、W国のスパイなのか?」
オスマンはカップを両手で持ち、震える声で話し始めた。
オスマン「僕は、スパイじゃないメウ。でも……僕の家族は、僕がこの軍に入ったことと、深く関係している」
彼は、自身の故郷がWrWrd軍と敵対するW国の支配下にある小国だったこと、そしてその小国が戦火に焼かれた**トラウマ(隠し事②)**を語った。
オスマン「僕の家族は、代々W国に仕える名門の外交官一族だった。僕がWrWrd軍に入隊したのは、W国が僕の家族を解放する**『交換条件』**だったんだ」
トントン「交換条件?」
オスマン「W国は、WrWrd軍の動向を知るために、**『WrWrd軍に信用され、機密情報を得られる人間』**を欲していた。そして僕に、外交官としてWrWrd軍に入り、情報を流せと命じたんだ」
トントン「つまり、お前はW国の二重スパイとして、グルッペンに潜入したのか」
オスマン「最初はそうだったメウ。でも、グルッペンの理想、仲間たちの温かさに触れて、僕はWrWrd軍に忠誠を誓った」
オスマンは涙を流した。
オスマン「だから、僕はW国には**『偽の情報』を、そしてWrWrd軍には『真実と偽りが混ざった情報』を流し続けた。家族と、仲間の両方を守るために。でも、僕の家族は、今もW国で人質(隠し事④)**なんだ。彼らが少しでも危険に晒されたら……僕は、グルッペンを裏切るしかない」
オスマンは、自分の抱える全ての隠し事が、家族を守るという過去の協定に繋がっていることを告白した。彼の持っていたW国軍に関わる機密の装飾品(隠し事⑤)は、外交官一族の血の誓いの証だった。
トントンは静かに報告書を閉じた。
トントン「分かった。グルッペンには、お前の全ての過去と、家族の状況を報告する」
オスマン「待ってくれ、トントン! もしグルッペンが僕を敵だと判断したら、僕の家族は……!」
トントン「お前たちの隠し事は、グルッペンが仕掛けた罠によって暴かれた。グルッペンは、お前たちが真実を話す時を待っていた」
トントン「だが、言っておく。お前たちの行動は、WrWrd軍に損害を与えた。その贖罪は、必ず果たしてもらうことになるぞ」
オスマンは、トントンからの冷徹な言葉と、それでもなお自分を切り捨てない軍の姿勢に、複雑な感情を抱いた。彼は、WrWrd軍に加わった者として、自分の過去と決着をつけるしかないことを悟った。
ここまでの隠し事の状況(9話終了時点)
オスマンが、自分が家族を守るためにW国から派遣された二重外交スパイであったことを告白。(隠し事④、⑤が完全に露呈)
トントンが、二人(ひとらんらん・オスマン)の全ての隠し事と過去をグルッペンに報告する準備が整った。