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misaka
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放課後。
体育祭まで残り一週間。
訓練場には、まだ何人もの生徒が自主練習を続けていた。
「《電光石火》!」
バチッ!
天城の身体を電気が駆け抜ける。
一瞬だけ視界が流れる。
だが次の瞬間。
「っ……!」
膝から崩れ落ちた。
「また……。」
身体は動く。
だが、力が入りきらない。
「17%なのに……。」
まだ長時間は維持できない。
何度やっても結果は同じだった。
「はぁ……。」
ため息をつき、ベンチへ腰を下ろす。
その時だった。
「……下手。」
小さな声。
振り向くと、ベンチの端で紙パックのジュースを飲んでいる白峰千夏がいた。
「白峰さん?」
「いつからいたの?」
「最初から。」
「えぇ……。」
天城は少し恥ずかしくなる。
失敗ばかり見られていたらしい。
白峰は無表情のまま立ち上がる。
「ちょっと走って。」
「え?」
「いいから。」
言われるままに走る。
バチッ。
数歩進んだところで速度が落ちる。
「はい、終わり。」
「どうだった?」
白峰は首を横に振る。
「全部、力んでる。」
「え?」
「電気を流すことばっかり考えてる。」
天城は思わず黙り込む。
確かに。
毎回、「電気を流せ」「失敗するな」と考えながら使っていた。
「水って。」
白峰がぽつりと話し始める。
「高い所から低い所に流れる。」
「うん。」
「誰かが押してる?」
「……押してない。」
「勝手に流れる。」
天城の目が少しずつ開かれる。
「電気も同じ。」
「流そうとするから止まる。」
「流れると思えばいい。」
その一言だけだった。
白峰はまたジュースを一口飲む。
「……試して。」
天城は深呼吸する。
電気を無理に押し出すんじゃない。
心臓から全身へ。
血液のように。
神経をなぞるように。
自然に流れる。
そんなイメージ。
「《電光石火》。」
パチッ。
音は小さい。
それでも身体は軽かった。
一歩。
二歩。
三歩。
今までより滑らかに走れる。
「すごい……!」
思わず振り返る。
白峰はもうベンチへ座り直していた。
「……まだまだ。」
「でも、さっきよりはマシ。」
「ありがとう!」
白峰は小さく肩をすくめる。
「別に。」
「ただ見てて気になっただけ。」
「それと。」
天城が首をかしげる。
白峰は眠そうな目のまま言った。
「異能は力比べじゃない。」
「イメージで伸びる。」
「想像できないことは、できない。」
その言葉は、天城の胸に深く刻まれた。
力だけを追い求めるのではなく。
どう使うかを考える。
その積み重ねが、自分だけの戦い方になる。
夕日が訓練場を赤く照らす中、天城はもう一度だけ拳を握った。
「次は……もっと上手く使いこなしてみせる。」
体育祭まであと1週間
コメント
3件
寺島あおいです🌷 「流そうとするから止まる。流れると思えばいい」──この白峰さんの言葉、すごく沁みました。力任せじゃなくて、自然に任せるイメージ。天城くんが「電気を押し出す」から「流れる」に変わった瞬間、私も一緒に息を呑みました。無理に動かそうとすると逆に固まっちゃうの、書く仕事でも同じで…。二人の静かな距離感と、夕日の描写も相まって、とても好きな回でした。体育祭、楽しみですね!