shk × sm
キス表現あり
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sm視点
家に帰りたくない。
そう思ったのはこれで何度目だろうか。家に帰れば暴言を吐かれ、ご飯なんてろくなもの食べさせて貰えない。テストがあった日なんてもっと最悪。いくら点数が高くても学年で1位じゃなければ家にすら入れてくれない。
俺の身体はだんだんアザだらけになっているのに、クラスメイトどころか担任ですら、見て見ぬふり。頼れるような友だちはいない。
「…寒い」
誰もいない静かな公園でポツリと呟いた。ここの公園、夕方は子供たちがワイワイはしゃいでいるから賑やかなのに、日が落ちた今この公演にいるのは俺だけ。
ここは車通りの多い場所だから仕事帰りのサラリーマンが乗った車が多く通る。この時間逆に子供がいなくて良かったな。きっと、今頃暖かい家で暖かい家族と一緒に暖かいご飯を食べてるんだろうな。…早く帰らなきゃ、また怒られる。
帰り際、公園のきっと誰にもみられないだろう場所に「つかれた」って書き残して、重い腰を上げて帰路についた。
「…ただいま、」
玄関の扉を開ければ、そこに居たのは鬼の形相をした母親。遅いって怒鳴って、頬を叩かれる。リビングからはきっと酒を飲んだであろう父親が、うるせぇって怒鳴って、母親はアザだらけの俺の腕を力ずくで引っ張って、カバンの中を漁ってテスト用紙を開いた。
なんなのこの点数、って。98点だよ?1問間違えただけなのに。また殴られて、それじゃあ医者になれないぞって。医者になんかなりたくもないのに。ごめんなさいって謝って、ご飯なんか用意されてないから、部屋で勉強してきますって言って逃げた。
次の日。ちょっとだけ家を早く出ることにした。昨日公園に書き残した文字、もし誰かに見られたら大事になりそうだったから。って昨日の夜ちょっと反省して、消しに行こうと思ったから。いってきますなんて言っても誰も返事してくれないから、無言で家を出て足早に公園に向かった。
「…ぇ?」
確かにここに書き残したのに、そこには俺が書いたものとは別の言葉が書き加えられていた。
『どうしたの?』
誰かが、見たんだ。ちょっと遅かった。
だけど…誰…だろう。ちょっとだけぶっきらぼうな字だな。男の子…っぽい?
好奇心が湧いてしまった。消すつもりだったけど、少しだけこの人と会話をしてみたくて、『つかれた』って文字だけ消して、そこに『家に帰りたくないんだ』って書いて、そろそろ学校に行かなきゃ遅れちゃうから、早歩きで学校に向かった。
相も変わらず誰も挨拶はしてくれないし、完璧少年でいなきゃいけないことには変わりないけど、少しだけ気が楽だった。
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帰り道、今朝の公園にまた足を運んだ。そしたら、やっぱり文字が書き加えられていて、
『そうなんだ。俺と一緒だね』
って書いてあった。そっか、この人も何らかの事情で帰りたくないんだ。夜、ギリギリまでここで待ってたらこの人来るかな、って少しだけ期待しながら、でもまた怒られて殴られるのは嫌だから、日が落ちる少し前まで勉強しながらベンチに座って待ったけど、その人は現れなかった。俺は『君もなんだ。お互い大変だね』って書き残して(会話したかったけど、イマイチ何を話したらいいか分からなくて)家に帰った。
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それから、数ヶ月見えないその人と公園の砂で会話を続けた。その人の名前が“シャークん”っていうこと、俺と同い年だってこと、ゲームが好きなんだってこと、とか色々話した。多分誰にもバレてないと思う。
日々憂鬱だった俺の日常もこの会話のおかげで楽しかった。
とある日の朝、いつものように公園に行って会話の続きをしようと思った。今日はなんて書いてあるかな。
sm「…え?」
そこに書いてあったのは
『俺、引っ越すんだって。』
のひとことだけ。なんで?どうして急に…?俺は少しだけパニックになった。どんなゲームが好きなのかとか、話したいことまだまだあるのに。
俺は『なんで?』ってそれだけ残して、暗い気持ちのまま学校に向かった。
帰り道。その公園を覗いても文字が書き加えられてはいなかった。引っ越しって言ったし準備大変なのかもしれない。それか、もしかしたらもう、シャークんはどこかに行ってしまったのかもしれない。俺は親からスマホを持つことも許されてないから、連絡手段はこの砂の上だけ。
まだシャークんは行ってない。それを信じるしかなくて、『俺、待ってるからね』って書いて、家に帰った。
もちろん、その翌日以降も文字が加えられることはなくて、俺もその公園に足を運ぶ回数もだんだん少なくなった。
そんな中、俺の両親が消えた。
多分捨てられたんだと思う。いつも通り学校から帰ったら家の中がもぬけの殻みたいに何も無くて、俺が必死にバイトして貯めて、隠してたお金も全部取られてて、残ってたのはカップラーメンの食べ残しとか、母親の使い古した化粧道具とか、父親が割ったグラスとかそんなものばっかり。
憎い親がいなくなって清々するはずなのに、急に1人になった孤独感に耐えられなくて、このオンボロアパートの一室で学校にも行かなくなって、1人でバイトだけしながら、生活を送った。学費なんて払えたもんじゃない。家賃が安いアパートなのだけが本当に救いだった。
ある時、たまたまあの公園の近くを通る予定があったから、ついでにあの場所を覗いて見た。
sm「確かこの辺…」
sm「ぁ、あれ…?」
多分もう1年以上前のやり取りだから、薄れてたけど、『俺、待ってるから』って自分の書いた文字が残ってて、しかもその下に新しく
『ただいま』
って。
シャークんが帰ってきた…?いや、でもそんな訳…。どうせ誰かのイタズラだろう。
そう思ったけど、もしかしたら、って言うことを考えて、『シャークんなの?』って書き足しておいた。俺が学校に行ってなくて、こんな根暗な性格だなんて思ってないだろうな。
そろそろ戻らないと、バイトに遅れてしまう。俺はそそくさとその場を後にした。
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バイト終わり、既に夜は更けていて時刻は23時を回ろうとしていた。学校には行ってないとはいえ、まだ高校生。高校生にこの時間まで労働させるとか、犯罪だろ。なんてことは言わない。だって、俺がお願いしてるから。
家までの道のりをゆっくり歩いて帰った。もちろんあの公園の側も通って。
sm「…ん…?」
暗くてよく分からない。けど、ベンチに誰か座ってる…ように見える。…あれ、なんかこっちに来て…
??「…スマイル…?」
sm「っえ、え、だ、だれっ…、、」
??「やっぱり、スマイルだよねっ、」((手,掴
怖い
反射的にそう思った。誰か知らない人からいきなり自分の名前呼ばれて、手を掴まれて、こんなの恐怖心を抱かない人の方がいない。
??「俺、シャークん、だよ。」
sm「っあ、しゃ、くんっ…?」
shk「うん。シャークん」
sm「ほ、ほんと……に……、、?」
shk「嘘つくメリットないだろ笑」
sm「そ、そ、だけど…っ、」
shk「会いたかった」
shk「ずっと、どんな人なんだろうって」
sm「俺…も、会いたかった、」
sm「なのに、なのにっ!」
sm「なのに、急に居なくなっちゃうからっ…」
shk「ごめん笑 おばあちゃんの様態が急に悪くなったって聞いたから、」
sm「そう…なんだ、」
23時を回ってるのに、こんなところで高校生2人が喋ってたら近所の人からどんな目を向けられるか分からないのに、
ずっと会いたかった人に会えて、こうやって話せて、
嬉しい以外の何物でもなかった。
sm「シャークん、家…は、?」
shk「ないよ」
sm「は…?」
shk「親に捨てられたの」
shk「おばあちゃん、死んじゃってさ。ばあちゃんの遺産だけ抜き取って、どっか行っちゃった」
捨てられた。俺と一緒じゃん。
shk「っ!?すまっ、ちょ、え、?」
俺の顔の近くからシャークんの困惑する声が聞こえた。
気づいたら俺はシャークんに泣きながら抱きついていた。泣きながら抱きつかれたらそりゃ誰だって困惑する。だけど、本当に無意識に抱きついてしまって、離れなきゃって分かってるのに体は動いてくれなかった。
shk「…辛かったな、お互い。」((撫
俺が抱きついたことに何も触れないシャークんは優しい。自分だって1人で寂しいはずなのに…。
sm「…ぇ、俺…、の家くる…、?」
shk「え?」
sm「あ、いや、ほら、さ、。ね?俺も…その、捨てられてるし、?」
shk「…」
sm「俺、今1人で家住ん、でて、。」
shk「逆にいいの?迷惑でしょ、俺」
sm「シャークんなら、いい。」
shk「…え、どういうこと?」
sm「っ…、」
sm「…、一緒にいたいって思っただけだし」
shk「…」
shk「…なぁ、スマイル」
sm「な、なに…」
shk「見てて」
そう言って、近くに落ちてた棒を拾って砂の上に文字を書く彼。目の前に話す相手いるんだから直接話せばいいのに。
砂の上に一生懸命文字を書く背中を見てふと思った。…いつも、こんな感じで書いてたのかな。
小さい身体がもっと小さく見えて、ぶっきらぼうな字で棒を滑らせる。
shk「ん」
そこに書かれてあった文字─それは、
『付き合ってください。』
sm「付き…合う……、?」
shk「…」
シャークんはポカンとする俺の顔をじっと見つめている。…返事、砂に書けってこと…?
てか返事…、付き合う…?俺と?シャークんが?男同士だけど?それに、文字で会話はしてたけど今日会ったばっかりで…、連絡先もまだ知らなくて、だけど…断る理由もなくて、
好き…かどうかは分からないけど、嫌いじゃないし、むしろシャークんのこともっと知りたいし、なにより、、同じ境遇の人間だから、きっと分かり合える…と思う。
『俺で良かったら。』
きっと俺の顔は今真っ赤なんだと思う。夜風が吹いて少し冷えるのに顔周りだけ暑くて、鼓動が早い。
シャークんは俺が書いた文字をまじまじと見つめて、それで………
え、?
い、今、シャークんの頬を光る何かが…
sm「シャークん…、?」
そう、彼のことを呼べば、俺の方に振り返ってニコッと笑った。その顔には目から大量の涙が溢れていて、そこでさっき光ったものの正体が涙だということに気づいた。
shk「っ、絶対、絶対幸せにする、っ、」
shk「二度と、1人になんてしないから、」
shk「もうっ、寂しい思いさせない」
shk「だから、っ、ありがとう、スマイルっ、!」
なんだよそれ…、なんだよ、、そんなの、、
sm「っ、そんなの、俺だって一緒だよっ…、」
sm「お互い様、な、」
shk「っはは笑 そうだな、!」
shk「…あ、でも、」
(( ちゅっ
sm「…は、へっ、、?」
shk「へへっ、初キス貰いました〜」
sm「……っ//」
sm「、お、俺だってっ…、」
(( ちゅっ
sm「……」
shk「へぇ?可愛いね、スマイル」
shk「あ、てか、やっぱり言わせて。」
「好きです。一生幸せにするし、絶対手放さないから、俺と付き合ってください。」
「はい。」
コメント
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うぅ、、なんですかこの幸せな空間……まじでsmさんの親はぎったぎたにしてやりたいですけど()