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「ふぅ〜…気持ち良かったなぁ〜」
少し濡れている短めの綺麗な黒髪をわしゃわしゃする希誦(きしょう)。
「ねぇ〜」
「ありがとうぅ〜杏時(あんじ)ぃ〜」
汝実(なみ)が杏時に抱きつく。
「それはよかった」
「お風呂上がりといえばがあるよ」
と芽流(める)が自動販売機を指指す。
その自動販売機は街中にあるペットボトルや缶の飲み物が売っている普通の自動販売機ではなく
瓶の飲み物が売っている、少し横幅の広い
番号を押すとアームがその番号の物を掴んで取り出し口に運ぶというタイプの自動販売機だった。
「おぉ〜」
「いいじゃん。牛乳?コーヒー牛乳?フルーツミックスもあるでよ?」
汝実はお財布から150円を出し、手の中でジャリジャリと擦り合わせる。
アニメとかマンガでは定番だけど、実際に目の前にするとなににするか悩むなぁー
と思う汝実。
「私は牛乳かな」
希誦が自動販売機に150円を入れてボタンを押す。
「じゃあ私はコーヒー牛乳」
杏時はコーヒー牛乳を買う。
「私は牛乳にしようかな」
芽流も希誦と同じく牛乳を買う。
「私はー…。牛乳かな」
残念ながらフルーツミックスは選ばれなかった。
「ごめんよ。フルーツミックスちゃん」
とフルーツミックスに謝りながら汝実も牛乳を買った。
みんなで揃って蓋を外し、シンクロするように4人で飲んだ。
「「っ…はぁ〜…」」
お風呂上がりのビールを飲んだおっさんさながらである。
「杏時、コーヒー牛乳どお?どんな感じ?」
「美味しいよ?飲む?」
「お。いい?」
「その一言がほしかったんでしょ?」
牛乳を飲みながら希誦が言う。
「まあ、そぉーともゆー(し○ちゃん風)ちなみに苦い?」
「いや?そんなに苦くはないとー思うけど」
「じゃ、杏時には牛乳を飲ませてあげよう」
「ありがとう」
汝実が杏時からコーヒー牛乳をもらい、逆に汝実は杏時に牛乳を渡した。
「んん!んん、んん。美味しい!苦くない」
「あ、牛乳もいいね」
「これ北海道とかだったら、お風呂上がりの牛乳も違うのかな」
と瓶を見ながら言う希誦。
「たしかに。濃厚そうだよね」
芽流が同意する。
「お?4人で行っちゃう?北海道」
「金金。めっちゃかかるって」
「そかー」
「あと北海道行くんだったら冬だよね」
「「「わかる」」」
そこはみんな同意だった。
「あぁ〜でも夏に猛暑を避けるために行くって手もあるよね。セレブリティみたいに」
「あ、汝実、セレブじゃなくてセレブリティって言う派なんだ?」
「あぁ、いや、今なんとなくセレブリティって言っただけで
「あぁ〜セレブだ」とかふつーに言うよ」
「へぇ〜」
なんて言うなんでもない、どうでもいい会話をしながら、お風呂上がりの飲み物を飲んでいた。
「ワーピィーWin!!」
という声がテレビから聞こえる。
「へいへいへぇ〜い!2連勝ぉ〜」
明空拝(みくば)が煽る。
「2連勝なだけです。その前はオレが勝ちましたー」
「じゃあ次の対決でどっちが本当のワーピィー使いか決めようや」
「いいよ?じゃあ2先(2回先に勝った方)な」
「オッケー」
と2人は相変わらず大騒乱スパイクファミリーズをプレイしていた。
「コンビニでアイスでも買って帰ろうか」
牛乳やコーヒー牛乳を飲み終え、素晴らしの湯を出た4人。
汝実の提案でアイスを買うことにした。
しかし、コンビニではなく、駅の下にあるスーパーで。そちらのほうが安いためである。
アイスを買って電車に乗って芽流の住んでいる家がある最寄り駅まで行った。
駅から少し歩き、エントランスに入り
オートロックの鍵を差し込む部分に鍵を入れ、ガラス製のスライドドアを開ける。
たかだか1時間ちょっとでなにも来ているとは思わなかったが
一応ポストをチェックしてから芽流の部屋へと向かった。カチャッ。ドアを開けて
「ただいまぁ〜」
なぜか汝実がいの一番に言う。
「さてさてアイスパーテーじゃー!」
4人で芽流の家に帰ってきて、テレビを見ながら、ローテーブルを囲んでアイスを食べ始めた。
「汝実のみかん美味しそう」
「お。しょうちゃん食べてみる?」
「じゃ、交換」
「芽流これ食べてみる?」
「いいの?じゃあ杏時にもこれ食べてもらおう」
という感じでそれぞれアイスを交換し合った。
「全然話変わるけどさ」
汝実がバニラアイスを木のスプーンで食べながら言う。
「な?」
「ん?」
「しょうちゃんスタイル良いよね」
「ほんと全然話変わってるね」
希誦(きしょう)が食べ終わったバー型のアイスの木の棒を咥えたまま喋る。
「いやぁ〜。温泉のときから思っとった」
「それは私も思ってた」
と芽流も同意し、杏時も頷く。
「そんな?」
「いやぁ〜おっぱい大きいし、スラッっとしてるし」
「いや、胸は杏時のほうがあるでしょ」
「いや私はただ太ってるだけだから」
「いや太ってなくない?」
「うん。太ってはいない。で?なんでしょうちゃんはスタイル良いの?」
「いや、だから良かないって」
「あ」
なにかを閃いたような汝実。希誦を指指し
「運動部だった?」
と名探偵のように聞く。
「え?まあ、運動部ではあったよ」
「お。何部?」
「一応陸上やってたよ」
「あぁ〜ぽいわ」
「わかる」
「わかる」
全員同意。希誦が陸上部っぽいと思った。
「なんでよ」
「え。なんとなく?」
希誦が杏時と芽流を見る。すると2人も頷く。2人もただ「なんとなく」ぽいということだった。
「ちな競技は?」
「私はトラックの800を基本的にやってた」
「トラック?」
「トラック競技。ま、要は走りだよ」
「ほおほお」
「体力つけるために長距離の友達と一緒に走ってたから、たまに長距離の欠員で出ることもあったけどね」
「へぇ〜。もうやってないの?」
「今?やってないやってない。…あぁ〜でもスタイルのうんぬんだと、夜ちょっと走ってるのは関係あるかも」
「え。大ありでしょ!」
大ありだと思う。
「え。毎晩?」
「まあ。ほぼ?」
「そりゃースタイル良いわ」
「ランニングしてるのかー。私もしようかな」
杏時が呟く。
「おぉ。一緒に走る?」
「ちなみにいつも何時頃走ってるの?」
「いつもは夜ご飯の後。時間は固定じゃないけど、8時ちょい過ぎ、9時前とかかな」
「そうなんだ?私もしばらくはしょうちゃんと走ろうかな」
「しばらく?ずっと一緒に走ればいいじゃん」
「まあ、それもいいんだけど。しょうちゃんはしょうちゃんのペースもあるだろうし。
だから走り方とかコツ?とか聞いて体で覚えたら、私は朝、朝ご飯前に走ろうかなって思ってさ?」
「私は別にペースとかは。気にしなくていいけど。
ま、たしかに私は朝弱いから、杏時が早朝ランニング派なら、すぐ切り替えた方がいいかもしんないね」
「ちなみになんだけど。朝に走るのと夜走るのってなんか違ったりするのかな?」
「…知らん」
「知らんのかーい」
汝実がわざとらしくコケる。
「でもご飯前から後は違った気がする。なんだっけな。
エネルギーがうんぬんって話だった気がする。もう忘れたけど」
「ちなみにしょうちゃんが使ってる服とかランニングにおすすめの靴とかある?」
「私が使ってんのはねー。…ちょい待ちー」
希誦(きしょう)はスマホで自分の使っているランニングシューズを検索し始めた。汝実が芽流に近づく。
「芽流はランニングしよーとは思わんの?」
「え?なんで?」
一瞬汝実に
太ってんだから芽流もランニングすればいいのに
と思われてるんじゃないかと思う芽流。しかし
「いや?別に大した理由はないけど。なんか杏時がやるーってなったら私もーって流れになるかなーって」
汝実のその言葉には嘘感はなく、考え過ぎかと思う芽流。
「いや私運動好きじゃなくて」
「おぉ!」
目を輝かせて芽流の手を両手で包む汝実。
「私もだよぉ〜。運動嫌だよね?」
「うん。体育も好きじゃなかったな」
「そうそう。いや、体育のときでもさ?一軍って輝いてんだよね。
それが運動できてもできなくても。というかなぜか一軍と呼ばれる人間は大概運動できるんだよね。
顔良くて運動できて、でコミュ力もあって…。え?何ができないん?って感じ」
と言う汝実に
「うん。一軍ね」
とまっすぐ汝実を見る芽流。
「あぁ。私?私は一軍ではなかったけどねぇ〜」
「汝実で一軍じゃなかったって汝実のとこの一軍はどんなレベルなの」
と笑う芽流。
「た、たしかにぃ〜?」
「はいー。オレの勝ちー」
明空拝(みくば)がコントローラーを置く。
「まだ2先じゃないだろ」
「ちょ、一旦タンマ。たかが2連勝が全然できない」
当分2人で大騒乱スパイクファミリーズで対戦していたものの
2人とも2先という連続勝利をすることができずにいた。
「休憩休憩」
「ま、いいタイミングか」
流来もコントローラーを置く。
「一旦。一旦テレビ見て休憩」
と言いながら明空拝がテレビのリモコンで入力切替を行い、地上波にする。
「お。Zzzzz夢の中zzzzZ(ずっと夢の中)だ。さすがに顔は出してないわな」
「あぁ。今流行りのアーティストか」
「そそ。オシャレよね。Zが10個で「ずっと」って読ませるとことか」
「初見読めないけどな」
「まあね」
なんてなんでもない話をして少し休憩してから大騒乱スパイクファミリーズの対戦を再開した。
「さてさて。どうします?あ、芽流のテレビって
ニャマプラ(nyAmaZon(ニャマゾン) プライムの略称)繋げるテレビ?」
「あ。うん。ていうか見れるよ」
「あ。そうなのね。スマホから繋げんでも」
「そうそう」
芽流がテレビのリモコンでnyAmaZon プライムを開く。
「じゃあどうする?ゴリゴリ胸キュンアニ…じゃなくてドラマとか映画見るか
ゴリゴリのホラーエンターテイメント見るか」
「その2択なんだ?」
「え、そうじゃない?しょうちゃんなんか他に案ある?」
「…あぁ〜。ニャマプラなら同席酒場とかほへとに百舌鳥とか」
「おぉ。しょうちゃんまさかの百舌鳥さん好き」
「いや、まあ、好きだね。おもしろいし」
「なるほどね。バラエティで大笑いパティーンもあるか。じゃ、ゴリゴリ胸キュン恋愛見る人!」
手を挙げる人、0。
「0票でございやすね。じゃあ、ゴリッゴリのホラー見るーって人!」
手を挙げる人、0。
「あらあら。ということはバラエティかな?」
「いや、正直言うと恋愛じゃなければどっちでもいいかなって」
「私も同じ」
芽流も頷く。
「おぉ。ま、ぶっちゃけ私もそうなんだけどさ」
「汝実もそうだったのか」
「じゃあ、私と芽流がホラー代表。しょうちゃんと杏時がバラエティ代表で、じゃんけんして勝った方見よう」
ということでじゃんけんが行われた。結局汝実と芽流が勝ち、ホラーを見ることになった。
そんな女子会を朝まで行った。しかし結果から言うと
ホラーを見た後、怖過ぎて、結局バラエティで大笑いもすることになった。
芽流はベッドで、他3人はローテーブルを端に寄せて、布団を敷いて寝ることにした。
「恋バナする?」
汝実がウキウキで3人に持ちかける。
「寝る」
希誦(きしょう)が寝る体勢を整えながら言う。
「そんなこと言ってぇ〜。実はしょうちゃんみたいなタイプの子が
めちゃくちゃ恋愛経験豊富だったり、逆に純粋だったりするのよ」
「どっちだよ」
「たしかに」
「たしかに」
笑う杏時と芽流。
「ちなちな。高校んときは恋愛どんな感じ?皆さん」
と恋バナをしたのか、していないのかは皆様の想像にお任せしますが、そんな女子会をして眠りについた。