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「……っ……」
乱れた息を整え、悩んでいるのか環奈は俺から視線を外し、
「…………私、万里さんにそこまで想って貰える程の女じゃ、ないです…………殴られても、酷い事されても、彼を憎む事も、嫌いになる事も出来ない……馬鹿な女なんです……だから、私……」
自虐ともとれる言葉を口にする。
「そんな事ねぇよ。俺にとって環奈は誰よりも魅力的だ。俺は初めてなんだよ。女をここまで愛おしいと思ったのは。後にも先にも、環奈だけ。お前以外、愛せないよ」
「……でも、私は……」
「それ以上、自分を悪く言うな。あんな男の事は、俺が忘れさせてやる。俺だけを見て、感じて欲しい。俺に、全てを委ねてくれよ、環奈」
頭を撫でて軽くキスをすると、迷っていた環奈は、
「………………忘れさせて、ください。私を、万里さんで……満たして」
手を伸ばして、俺を求めてくる。
この手に触れたら最後。
もう、止められない。
「――ッんん!」
環奈の手を取り、その細くて長い指に自分の指を絡めると、俺は彼女の唇を強引に奪う。
「……っはぁ……ッん……」
そして、何度も角度を変え、息継ぎが出来ないくらい、貪るようなキスをする。
環奈に惚れてから、ずっとこうしたかった。
「……ッあ……、はぁ……ッん……」
「……気持ちいい……?」
「……ん……っ」
触れたくて、俺に溺れさせたくて仕方無かった。
「……ばんり、さん…………ッすき……」
彼女の仕草も、声も、全てが愛おしい。
「――俺も、環奈が好きだ。誰にも、渡さねぇ」
女を抱いて、こんなにも余裕が無くなるのは初めての経験だった。
「……ッ、ばんりさ……、そんなとこ……だめっ」
「駄目? イイの、間違いだろ?」
「ッんん――」
身体の隅から隅まで沢山口付けをしていき、恥ずかしがる環奈の全てを暴いていき、そして、
「……そろそろ、いいか?」
「……ん…………来て、万里……さん……」
俺を受け入れてくれた環奈に再びキスを落としながら、
「――ッ」
二人の想いは重なり合い、深く繋がり合って幸せな気持ちに包まれながら――共に果てた。
「……ん……」
そのまま眠ってしまった環奈を腕の中に抱きながら、俺は明石さんにメッセージを入れていた。
流石にこれから店には行けないから、明日の朝に行く事を告げてスマホを置く。
ぐっすりと眠っている環奈の寝顔を見ながら、俺は一人幸せに浸っていた。
人を好きになる事が、こんなにも幸せで心が満たされる事なんだと知り、胸が熱くなる。
そして、それと同時にある事を思い浮かべた。
それは、これまで幾度となく身体を重ね合わせてきた人たちの事。
あくまでも俺は金の為でしか無かったけど、相手からすれば俺に恋愛感情を抱いていて、抱かれてる間は幸せを感じてたのかと思うと、何とも言えない複雑な心境だった。
(もう金輪際、金を積まれても女を抱くのは辞めよう。環奈以外の女は抱けねぇし……抱きたくねぇからな)
そして、今後いくら金を積まれたとしても、例え指名を取れなくなったとしても、環奈以外の女を抱かないと心に決めた。