「汚ねぇ……なんだよ、これ」
九井が三途の部屋に入ると、床には資料や食べたあとのゴミ、机にはヤクやら注射やらが散らばっていた。
その机の上で三途がヤクをキメてぶっ倒れている。
三途がおかしくなったのは、先週妹こと、千咒に会ってからだろう。
いや、今思うとこの頃ずっとおかしかったのかもしれない。
「おい三途、起きろ。」
「……九井。なんだよ」
「いや。資料届けに来ただけだ。」
「そうか。ならとっとと出てけよ。」
「はいはい。」
九井は残りの資料を片付ける為に、薄暗い廊下を1人でコツコツと進む。
その時、オフィスで奇妙なものが目に入った。
「……は、ヤバ……」
三途のオフィスには大量のヤクが広がっていた。
さすがの三途でもこの量はイカれてる。
おそらくヤクだけでゴミ袋1個分は余裕だろう。
ガチでイカれてる、アイツ。
1週間前
「あぁ、三途なら予定あるって帰ったよ」
スクラップしながら余裕に話す灰谷蘭に、三途春千夜の居場所を尋ねると、彼はさらりと言った。
「はぁ?まじ?アイツ予定とかあんの?」
俺がそう言うと灰谷蘭はもうスクラップを終え、いつの間にかこちらを向いていた
「いやぁ、俺スマホの画面見えちゃってさぁ、多分、今頃あいつの妹とあってるところだろ。」
「妹?」
「瓦城千咒。」
「は?」
「俺も最近知った」
どうやら瓦城千咒は死んだらしい。つまりLINEの送った主は他のやつなのだろう。
「アイツ、No.2だし仕事量も多いから休みも必要なんだよ。ほっとけ。」
「……まぁ、な。」
────────────
翌日、机が真っ白で綺麗なオフィスに三途は座って仕事をしている。
「よぉ、三途 」
九井がそう言いながら肩を叩くと、彼は驚いたように口を開いた。
「……っ!きたねぇ!触んなよ!」
三途は手の甲を口に当てながらこちらを睨んでいる。
「悪かったって、三途、お前ずっとここにいたのか?」
「あぁ、仕事が終わらなかったからな。」
「そうか、お疲れ。それとお前の資料今回の取引に使うから見せて欲しいんだけど。」
「は、お前取引行かねぇだろ。」
「マイキーからの命令で俺も行くことになったんだよ、お前とな。」
「……ふーん、わかったよ、ちょっと待ってろ」
三途の言葉を聞いて、九井は三途別に変わってねぇじゃんと思ったが、昨日と同じ現場を目撃して足を止めた。
「………お前さぁ、まじどうしたの?」
「は?何が?」
九井はオフィスのゴミ箱を指差した。
そのゴミ箱の中には大量の薬のゴミが捨ててあった。
三途が表情1つ変えずにこちらを見つめた。
「……あ?」
「……いや、なんでもねぇ、」
2人は再びオフィスに席をつき、三途の資料を確認しようと準備していた。
2人の準備が終わると、九井が三途の口が開くのを待っていた。
しかし、三途の口はなかなか開かない。
不思議に思い、三途を見ると、驚いて音を立てて息を飲んでしまった。
「っ」
三途は、いつの間にか手を口に持っていっていて、表情を変えず泣いていた。
「……は!?……マジで何、どうした…」
九井は心配と驚きを隠せなかった。
三途は九井の声がまるで聞こえないかのように表情1つ変えずポロポロと涙を落とすだけだった。
九井はその様子を伺いながらも三途が口を開くのを待っていた。
「……わり、九井、」
「……いや、お前マジで大丈夫か?」
三途はそう言い放ち、資料を説明しようと再び口を開こうとした。
九井は、安心しかけたが、三途の呼吸が異常に荒いことに気がつく。
「ッふ、っはぁ、」
「三途、大丈夫か、?」
「………九井…っ、まじでっ、やばいかも……っ」
三途はそう言うと、両手で顔を覆ってしまった。
「おいおい、マジで大丈夫かよ、」
九井はそういうと三途の資料をどけて、背中をポンポンと叩いた。
やっぱり三途、おかしい。
蘭が言ってた様にきっと妹が死んだからだろう。
数分経って、三途は顔を上げて九井の手を握った。
「大丈夫か、三途。」
三途の指は小刻みに震えている。
いや、冷静に考えれば普通におかしい。
今までの三途なら例え過呼吸になっても手を握るなんてことは絶対ないし、やばい、ガチで心配になってきた。
1回真面目にマイキーと話すか。
昼間からの会議が始まりココと三途の取引の件の予定を梵天幹部で話し合うことになった。
「来週の取引について会議を行う。ココと三途、前に出てこい。」
「……ん…」
「……ず」
「さ……ず!」
「三途!!」
三途は肩をビクッと揺らし、驚いたようにコチラを見上げた。その瞳には涙が浮かんでいた。
コメント
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最高すぎ、、、続き待ってます!