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雨の音が静かに校舎を包んでいた。
放課後、教室にはまだ数人の生徒が残っていたが、もうすぐ全員帰るだろう。
3年B組の黒板に、昼休みに誰かが書いた謎のメッセージがあった。
「今夜0時、音楽室で待ってる。」
誰が書いたのかも、誰に向けてなのかもわからない。
担任の川島先生は、授業中にそのメッセージを見つけて「落書きはやめなさい」とだけ言って、消さなかった。
だが、放課後。
生徒の一人、**篠原怜(しのはら・れい)**はふと教室に戻ると、黒板がきれいに拭かれているのを見て眉をひそめた。
(……さっきまで、確かに書いてあったのに)
違和感を覚えた怜は、黒板消しを持ち上げてみた。
そこには、黒いチョークで書かれた小さな文字が残っていた。
「黒板を消したのは先生じゃない。」
その瞬間、背後の廊下から、ギシ……と床のきしむ音が聞こえた。
怜は振り返った。
だが、誰もいない。
…本当に誰も?