私はひび割れた箇所を見詰める 。
雲一つない快晴で 、 夏の太陽がギラギラと空間を照らしていた 。
『 リン …… 一緒に行こ ! 』
私はリンの手を掴もうとする 。
「 …… 待って 、 絵名ちゃん 」
リンは悲しそうな顔で私を見詰めた 。
『 … ? 』
「 …… 私は 、 現実世界に行けない 、。 」
『 は …? 何で ……! 』
「 だって …… 私と絵名ちゃんじゃ住む場所が違う… 」
「 今この空間に絵名ちゃんが居れるのは私が無理矢理引き込んでるからで …… 」
リンはハサミを取り出す。
『 な 、 何で ……! 待って 、 ! 』
そしてリンは私とリンの間にある透明なイトのようなものを切った 。
カシャン 、 と何処かで音がした 。
そしてこの空間に光は失われて 、 現実世界からの光のみになってしまう 。
『 っ ……! 嫌 …! 私が責任を追わなきゃなんでしょ !? なら 、 なら …! 』
「 …… ごめんね 、 絵名ちゃん 」
リンは虚しく呟いて 、 私の手を握る 。
「 … 私は 、 バーチャルシンガー ……。 」
「 現実世界には似合わないの 」
『 そんな事ない …! 』
「 ううん …… また 、 必要な時に現れてあげるから … だから 、 サヨウナラ絵名ちゃん 」
リンは目にいっぱい涙を溜める 。
だがそれでも精一杯の笑顔で 、 私に手を振る 。
『 っ ……! 』
私の目からも不思議と涙が零れる 。
それでも 、 現実は惨い 。
リンに押され 、 私は現実世界へと落ちた 。
「 絵名ちゃん …… また会う時まで … 」
そんなリンの呟きが聞こえた気がした 。