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春の日、凛は敬太をあの丘の上に呼び出した。
桜の花が舞う中、2人は目を合わせる。
「敬太くん、私……“全部”思い出したよ」
『俺も。前世のこと、死んだこと、君をストーカーしていたこと、君に監禁されたこと……全部……。』
沈黙。
だけどその間に、ふたりの手は重なっていた。
『「でも、それでも……」』
『また君を好きになったんだ』
「うん、私も……。」
ふたりは微笑み合った。
その瞬間、凛の胸元のペンダントが、やわらかく光を放った。
“カチャッ”
小さな音とともに、鍵が開く。
まるで、その光が見えない何かを解き放つように、2人の周囲に暖かな風が吹き抜けていく。
桜の花びらが、ひとひら。
2人の肩に落ちた。