もっくん嫉妬と情けなさでぐるぐるしてます。
イライラ不機嫌そうな顔をしている俺を涼ちゃんがチラチラと心配そうな顔で見てくる。そしてその様子に俺のイライラはまたつのっていく。
「おい、なんて顔してんだよ」
後ろから頭を叩かれ振り返ると、ちょっと怒った若井の顔があった。
「なんだよ」
そんな若井をぶうっとちょっと拗ねた顔をしながらにらみつける。
「何あったか知らないけど、そんなんじゃ進むもんも進まないだろ」
自覚のある俺は何も言わず唇を尖らせたまま下を向く。
「もしかして例の彼女とうまくいってないのか?」
何も言い返せない。そんな俺に若井は一つため息をつき「ちょっと頭冷やしてこい」とレコーディング室を放り出された。
しょうがないのでふらふらと歩き、自販機前の椅子に座ってジュースをチビチビと飲みながら考える。仕事にプライベートは持ち込まない。それが俺の信念だったはずなのに。
頭を抱えて大きなため息をつく。
どうしてもあの日の涼ちゃんとアツシさんの姿が頭から離れないのだ。
自分で自分がコントロールできない事にイライラする。これが嫉妬なんだろうか…。歌には歌ってきたがこんなにキツいものだったのかとガックリうなだれる。
そううだうだと時間を潰していた俺の耳に突然聞こえるはずのないアツシさんの声が聞こえた。
「涼架くん」
「あっ、アツシさん。こんなところでどうしたんですか?」
涼ちゃんの声も聞こえる。
「いや、この近くまで来たんだけど、君たちがここでレコーディングしてるって聞いたからちょっとのぞかせてもらおうかなと思ってさ」
声からもアツシさんの楽しそうな様子が伝わってくる。
「この間は楽しかったよ。涼架くんってお酒強いんだねぇ」
「いえ、そんな大したことないですよ」
えっ?涼ちゃん、アツシさんと飲みに行ってたの?いつの間に?それに『涼架くん』なんて。前は普通に藤澤くんって呼んでたはずなのに。
盗み聞きするつもりはないが割って入る事もできない。
「そういえば涼架くんって今日これ終わったらその後何か用事ある?」
「いえ、ないですけど…」
「じゃあさ、また飲みに行こうよ」
「えっ、あの…」
とまどったように答えに困っている涼ちゃんの顔は真っ赤に染まっている。向こうから涼ちゃんを呼んでいる声がした。
「ほら、呼ばれてるよ。仕事なんだから待たせちゃダメ。終わったら連絡くれたら迎えにくるからさ、約束だよ」
そう強引に約束を取り付けて涼ちゃんを向こうに追い立てる。
涼ちゃんはとまどいながらも軽く頭を下げて向こうに走っていった。
「アツシさん…」
涼ちゃんの姿が見えなくなった後、俺は我慢できずにアツシさんに声をかけた。
「あれ?大森くんそんなとこにいたんだ」
アツシさんは軽く驚いたようだが、別に慌てた様子もなく笑顔で応対してくる。
そんなアツシさんに俺は勇気を振り絞って意見した。
「ウチの藤澤に変なちょっかいかけるのやめてもらえませんか」
次回、直接対決になります。さて、もっくんアツシさんに勝てるでしょうか?
コメント
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頑張れもっくん!
おおっ!大森さん✨ 思わず言っちゃったのねぇ… アツシさんに軽く流されそう✨
もっくんがアツシさんに立ち向かっている!?その姿すらカッコイイのはもう罪なのでは(˙▿˙)涼ちゃんもっくん以上に良い男はいないよー(・∀・;) 続きが気になる( ˶>ᴗ<˶)