「上は大水、下は大火事、な~んだ?」
「…えっと…」
美子が本を読むのは大抵ぼくのひざの上だ。
最近、美子はなぞなぞの本が好きだ。
だから美子のなぞなぞに答えるのもだいたいぼくの役目になっている。
ただ、ぼくは人間の考えがいまいちわからない。
「そういえば、タカシくんの通ってた小学校はね」
美子は不思議そうにぼくを見上げた。
「学校の屋上にプールがあるんだって」
美子はさらに首をかしげた。
「答えはきっと大雨の日にタカシくんの学校が火事になったんだよ」
「えっと…」
美子は答えを調べた。
「残念!!お風呂でした」
「え?」
おかしい…ぼくの答えは完璧のはずだ。
「じゃ…次ね。
赤くて四角で口を開けて立っていて手紙を食べるものな~んだ?」
手紙を…食べる…?
不思議な生き物だが…どこかで聞いたフレーズだ。
「えっと…手紙は読んでから食べるの?
それとも読まずに食べるの?」
「多分読まずに食べるよ」
「そうか、わかったぞ!!
白やぎさんと黒やぎさんに続く、赤やぎさんだ!!」
自信満々に答えた。
「違うよ、ポストだよ」
いきなり吹き出して女神様が言った。
「なぞなぞってね、言葉遊びみたいなものよ」
「言葉遊び…?」
「もう少しなれないとコマには難しいかな」
でも、考えるのは大事よ、と女神様は付け加えた。
しばらく美子から本を借りて読んでみた。
わかるようでいまいちわからない。
人間の発想には脱帽するばかりだ。
翌日、タカシくんに聞いてみた。
「そうだなぁ…自分で作るとわかるかも」
ちょうどそのとき、タカシくんはサスペンスを見ていた。
ぼくはテレビの台詞から一つ思い付いた。
「美子、美子」
ぼくは美子を呼んだ。
「お葬式に持っていくお花はな~んだ?」
「えっとねぇ…」
すると、女神様がにこやかに言った。
「あら、コマ、なぞなぞ作ったの」
しかし、目は笑っていなかった。
「でもそれは趣味が悪い」
ぼくは気がついたら正座していた。
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