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[笑顔の裏に隠された真実]
若井side
俺は、家に戻る途中、ずっと涼架のことが頭から離れなかった、、
彼女の焦った様子、顔を上げて俺の目を見ようとしない態度、謝罪の言葉を口にする時のまるで震えているような声。
すべてが、彼女の『大丈夫』と言う言葉とは裏腹だった
翌日、俺は休み時間になるたびに、彼女のいる教室の近くに足を運んだ
すると、彼女がいつも、ある女子グループに囲まれているのが見えた
グループの一人が
「ねぇ、今度の日曜、数学の課題手伝ってくれない?もちろん全部やってくれるんだよね?」
と高圧的に言い放っていた
涼架は、いつものように
「もちろん!私に任せて!」
と笑顔で応じていた。
その笑顔は、あまりにも不自然で、見るもとにとっては彼女の優しさだと映るかもしれないが、俺にはそれが彼女が自分を守るための
脆い仮面に見えた
放課後、俺は部室のドアを閉め、一人ギターを抱えた
俺は、昨日見た夢主の姿からインスピレーションを得て、一つのメロディを奏でる
それは、まるで楽しそうに笑っているのにどこか悲しそうな、涼架の心そのもののような音色だった。
俺は、彼女の笑顔の裏に隠された、本当の感情を表現しようと、何度も何度もギターを掻き鳴らし続けた
その時、ドアがそっと開いた
そこには、涼架が立っていた。
彼女の手の中には、昨日断ったはずのクリーニング店のリボンを握りしめて何か言いたげに俺を見つめてくる
「あの…やっぱりクリーニング…」
彼女が口を開こうとした瞬間、俺はギターを膝に置き、出来るだけ優しい声で言った
「君が笑う時、君の目は笑ってない」
涼架side
私は、その言葉に驚き、持っていたリボンを落としてしまった
私の『大丈夫』と言う言葉が、誰にも気づかれずに隠してきた心の傷を、若井君が見抜いていたからだ
「なんで…」
涙が、私の瞳に浮かんだ。
その涙は、これまでずっと私の心の中に閉じ込めてきた感情だった。
若井は、涼架のそばにそっと寄り添い
「無理に笑わなくてもいい。泣きたい時に泣けば良いんだよ」
と告げる
涼架は、彼の優しい言葉に、これまで張り詰めていた糸が切れたように、静かに涙を流し始めた
若井君の優しい言葉は、私の心に刺さったガラスの破片を、一つひとつ溶かしていくようだった
「なんで……なんで、そんなことわかるんですか…っ」
嗚咽が喉の奥から込み上げてきて、私は若井君の顔をまっすぐ見ることができない。
これまでずっと、周りの期待に応え、傷ついた心を隠し通すために、必死に頑張り続けてきた笑顔の仮面が、若井君のたった一言で、音を立てて崩れ落ちていくのを感じた。
「みんな…笑ってるから、大丈夫…って言ってるから、私も大丈夫なフリ…しなきゃって…っ、思って…っ…」
震える声で、断片的な言葉が口からこぼれ落ちる。
溢れ出す涙は止まることを知らず、制服のスカートに次々とシミを作っていった。
息を吸い込むたびに、嗚咽が混ざり、声にならない悲鳴が喉を締め付ける。
私は、自分がこんなに泣けることを知らなかった。
ずっと涙を流すことすら許されないと、自分で自分を縛り付けていたからだ
若井君はそんな私の隣にそっと座り、何も言わずに、ただ私の背中を優しく撫で続けてくれた
彼の大きな手が、まるで壊れてしまった私の心を慰めるようにゆっくりと一定のリズムで背中を叩く
その温かさが、私の心をさらに揺さぶり、私は子どものように泣きじゃくる
「っ…だって、いつも…チビだって…っ、ドジだって…っ、笑われてっ、…本当は…っ
嫌なのに…っ…怖くて…っ何も…言えなく て…っ」
これまでの我慢と孤独が、堰を切ったように、
一気に流れ出す。
私は、誰にも見せることのなかった心の奥底の叫びを初めて若井君の前でさらけ出した。
若井君は、私の言葉を遮ることなく、ただひたすらに耳を傾けてくれた。
彼の隣は安全で、暖かくて、そして何よりも私がこれまでで一番『居場所』だと感じられる場所だった。
彼の前では、無理に笑う必要も、強がる必要もなかった。
私はずっと求めていた安心感を若井君の隣で初めて見つけたのだ
次回予告
*[シンデレラの罠]
コメント
5件
笑顔の仮面…か あー、若井先輩来てくれないかなそれで私の笑顔の仮面も壊してくんないかな…笑 涼架ちゃんんんんんんんんんん!!!
次のお話はハート500いったらあげます🙇♀️❤︎
涼架ちゃん 私の学生の頃に似てる。私も似たようなイジメに合っていた。あの時、若井先輩が居てくれたらな…😢