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吉田仁人side
最近、ありがたいことに仕事が本当に増えた。
テレビ出演はもちろん、雑誌、CM、ラジオなど様々な仕事に呼ばれる機会が増えた。分刻みで予定が詰まっていて、帰宅したら日付を回っているのも珍しくない。そりゃもう忙しくて忙しくて。だからこんなことに悩んでる暇ないんだけど。
『最近、他メンバーからの視線が怖すぎる件』
最初は気のせいだってそう思った。けどおかしすぎる。
俺がマネージャーとスケジュール確認してる時の勇斗の刺さるような視線。
バラエティで共演する芸人さんと雑談してる時の太智の冷たい視線。
雑誌の撮影でディレクターさんと打ち合わせをしてる時の柔太朗の無機質な視線。
後輩と話してる時の舜太の狙うような視線。
これらは全部俺に向けられるのではなく、俺が話してる相手に向けられているのだ。
最初に気付いたのは舜太の視線だった。マネージャーと翌日のYouTube撮影について打ち合わせをしていた時だった。背中に刺さる異様な感覚。周りを見渡したら舜太と目が合った。その目線の鋭さに背筋が冷えた。舜太はすぐにいつも通りの人懐っこい笑顔でこっちに微笑みかけたがあの目線はそんな程度では誤魔化しが効かないほど怖かった。
それからその目線が他のメンバーからも発されてるとわかった時は疑問で頭がパンクしそうだった。
なんで?みんな機嫌が悪いのか?忙しすぎて顔が怖いだけ?もしかして俺がなにかした?いや、だとしたらあの目線は俺に向けられるはず。じゃあなぜ?
頭をフル回転させて思考を巡らせるが答えは思い付かない。
俺が自分の知らないうちにみんなになにかしてしまったのだろうか。
結局その答えにたどり着いた。他に答えが全く出ないのだ。いつまでも悩んでも仕方ない。これは本人たちに聞いてみるしかない。
そう思った俺はバラエティ番組収録後、全員が揃った楽屋で聞いた。
「ねぇ、ちょっといい?みんなに聞きたいことあるんだけど」
「いいけど。どうした仁人」
「いやー、俺の気のせいだったら笑って欲しいんだけど」
「なになに?じんちゃんどうしたの!!」
俺がなにかしたんなら謝らないといけない。みんな素直に言ってくれるかな。
「最近みんな変じゃない?なんというか俺が話してると怖い目をしてるというかー、まじで気のせいならごめん!!」
「えー、、え、えー、いや考えすぎじゃない?」
「そ、そうそう!!じんちゃん気のせいやと思うよ!」
柔太朗と舜太に気のせいだと言われた。だが納得が行かない。これは隠し事をしてる時の反応だ。ずっと一緒にいるんだから流石にわかる。みんな嘘つくの下手だからな。てことであの目線は気のせいじゃないのが分かった。質問した時勇斗と太智は何も言わなかったがやっぱり少し動揺してたし。
じゃあ理由は?なぜ怖い視線を向ける?
そこだ。いちばん大事なとこを聞かないと。
「いや絶対嘘じゃん」
そう言った瞬間のみんなの反応、俺は見逃さないぞ。
舜太は分かりやすく動揺して、勇斗は目線が少し鋭くなった。柔太朗は雑誌読むフリしてるけど上下反対だぞそれ。太智は急いでスマホ見だしたし。
「な、なんでよ!」
「いや舜太分かりやすすぎ。で、なんで怖い目線を向けてくる訳?俺なんかした?」
「いやそれは違う!じんちゃんがなにかした訳じゃない!」
「じゃあなんでそんな怖い目向けてくるんだよ太智」
「そ、それは、、」
「はいはい。まぁこの話はまた今度にして、今日は解散!仁人あんまり考えすぎんなよ」
勇斗がそういうと他のメンバーがそそくさと帰る準備を始め、それ以上聞くことができなくなってしまった。
クソ、勇斗め。
いや、全員だ。全員なにか隠してるな。これは早急に真実を明らかにしないと。
コメント
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のりもちさん、第1話読了しました! 「視線」の向き方が全員違う(刺さる・冷たい・無機質・狙うような)のが、それぞれの性格を感じさせてすごく上手いなと思いました。仁人が「何かした?」と聞く場面で、柔太朗が雑誌を上下逆に持ってるディテール、思わず笑っちゃいました。嘘が下手なメンバーたちの反応が可愛くて、でもなぜか背筋が冷えるミステリー感もあって…続きが気になります!