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karua_0121
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#大学
きの子ちゃん
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#あおはる。
輪廻˖ ࣪⊹
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「…そこで何をしている?勝手に入るなと言っただろう」
体育館に響いた低い声に、空気が変わった。
まだ照明も衣装もない。床には楽譜と水筒と、使い古された台本。
それでもその一声だけで、そこにいる全員が「野獣」を見た。
「山田さん、今のいい。でも“怒り”だけじゃなくて、“怖がらせたいのに本当は怖がってる”感じ入れて」
日本語で飛んできた先輩の指示に、山田あやかはすぐ頷いた。
「はい」
一見怖そうだが、普段のあやかはもっと笑うし、後輩にも優しい。
だが練習中だけは違う。
演劇部でも有名な、男役声量トップクラスの一人として。
もう一人のトップは――
清藤陽花里。
ガストン役。
低く響く声。堂々とした立ち姿、大きな動き。
はっきりした顔立ちは、見る人を虜にさせる。
女子校の舞台なのに、なぜか「町一番の男」がいると先輩たちからもよく言われる。
演技の時は誰よりも舞台に真剣で、努力して。
普段は犬みたいに笑ってる。
そういうところがあやかは好きだった。
「あやー」
名前を呼ばれただけで、心臓が跳ねる。
「どうしたの」
できるだけ普通に返す。
陽花里は台本を片手に近づいてきた。
「この決闘シーンさ、もうちょっと間近で睨み合った方が迫力出るかな?」
「……そうだね」
「清乃なら絶対怖い顔できるし。野獣似合ってるもん」
その言葉に、胸が少し痛む。
似合ってる。とてもかっこいい。
そういわれて嬉しいけれど、本当は。
ベルみたいな役もやってみたかった。
ドレスを着て、歌って。誰かと恋をする役、やってみたかった。
元々私はかわいいものが好きだし、かわいいって言われるようにがんばってきた。
でも、声が低いし、背が高くて、学年の男役がいなかったから。
いつしか男役しか任せれなくなった。
王様。
貴族。
父親。
そして今回は、野獣。
「……あやか?」
「何でもない」
陽花里は不思議そうな顔をした。
本当に何も気づいていない。
ちょっとにくくも思えてくるし、そこがかわいいなとも思う。
それで私をメロメロにする。
「戦いのシーン、通します」
先輩の声で全員が位置につく。
町の人々が野獣への恐怖を歌う場面であり、
そして――
ガストンと野獣の対決。
陽花里が前に出る。
「彼を…野獣を倒すんだ!」
声が体育館を震わせる。
ガストン。
自信満々で、人を惹きつける。
その正反対に。
あやかはゆっくり顔を上げた。
「好きにしろ…迎え撃つ!」
低い声、怒り、悲しみ、孤独…
全部が混ざった声。
部員たちが思わず息を止める。
二人の声がぶつかる。
ガストンと野獣。
陽花里とあやか。
舞台の上では敵。
でも。
あやかにとっては、ずっと隣にいてほしい人。
「もっと!」
先輩の声が飛ぶ。
「二人とも声はいい。でも感情もっと出して!」
「はい」
二人同時。
完璧に揃う。
陽花里が笑った。
「あや、今めっちゃ野獣だった」
「陽花里も」
「ほんと?」
「うん。ガストンだった」
「やった!」
かわいい。
その顔を見ると。
全部どうでもよくなる。
男役しかできないことも。
ベルになれないことも。
恋人役じゃないことも。
……だって。
今、自分の隣にいるのは。
誰よりも輝いているガストンだから。
コメント
1件
「野獣」って言われた時のあやかの胸の痛み、すごく伝わってきた…。男役しかできないもどかしさと、陽花里への想いが重なって切なかった。でも最後の「だって、今、自分の隣にいるのは、誰よりも輝いているガストンだから」ってところ、めちゃくちゃ好き。敵同士の舞台の上でも、心では隣にいたいって思ってるのが伝わってきて、胸がぎゅっとなったよ。続き、絶対読みたいです🌙